もっと知りたい「死刑」
「死刑のはんこ」発言で改めて考えさせられた、日本の「死刑制度」
葉梨康弘氏が、自身の職務について「朝、死刑（執行）のはんこを押して、昼のニュースのトップになるのは、そういう時だけという地味な役職」と述べて、法相を辞任しました。
「法相辞任」や「首相の任命責任」、「大臣の資質」を取り上げるメディアが多いが、本質は「死刑制度」にあることを考える必要があると思います。
死刑廃止を進めるアムネスティ。先進国でまだ「死刑制度」があるのは、米国の一部の州と日本だけ
ボクはアムネスティの会員になって約45年、就職し、社会人の責務として「人権・環境・平和」についての活動をしたいと思ってアムネスティに加入した。アムネスティは国際的な人権団体で、活動の中心として「良心の囚人」と呼ばれる非暴力による活動で収監された人々の釈放や処遇改善を求めるはがきを政府や法務大臣、刑務所長に送る活動と死刑廃止を進めています。いわゆる先進国で「死刑制度」を持つのは米国の一部の州と日本だけで、「死刑制度廃止」は世界標準となっています。
国連加盟国の約７割、１４０カ国以上が死刑制度を廃止
「死刑廃止条約」（死刑廃止を目指す市民的及び政治的権利に関する国際的規約第2選択議定書 ）は1989年 12月，国連総会にて採択され，91年7月に発効しました。70カ国（2022年4月現在）が締約し、106カ国が死刑制度を廃止し、事実上廃止した国（制度はあっても10年以上執行されていない国）は140カ国以上に上ります。国連加盟国の約7割が死刑制度を廃止しています。
まだ死刑が行なわれている国。アフリカやアラブの独裁国家、中国、北朝鮮…そして「日本」
アフガニスタン、アンティグア・バーブーダ、サウジアラビア、パレスチナ自治政府、バハマ、バーレーン、バングラディシュ、バルバドス、ベラルーシ、ベリーズ、ボツワナ、中国、コモロ、北朝鮮、キューバ、ドミニカ、エジプト、アラブ首長国連邦、アメリカ（一部の州）、エチオピア、赤道ギニア、ガイアナ、インド、インドネシア、イラン、イラク、ジャマイカ、日本、ヨルダン、クウェート、レソト、レバノン、リビア、マレーシア、ナイジェリア、オマーン、ウガンダ、パキスタン、カタール、コンゴ民主共和国、セントルシア、セントクリストファー・ネーヴィス、セントビンセント及びグレナディーン諸島、シンガポール、ソマリア、スーダン、南スーダン、シリア、台湾、チャド、タイ、トリニダード・トバゴ、ベトナム、イエメン、ジンバブエ
「冤罪死刑囚は二重に苦しむ」（犯していない罪を認めてしまった苦しみと、死刑がいつ執行されるのか、という苦しみ）と言っていた、冤罪死刑囚、免田栄さん
ボクは30年ほど前に冤罪死刑囚だった免田栄さんと一晩ビールを飲んだことがあります。うちの近所で行われたアムネスティ死刑廃止グループの合宿のときでした。ボクも飲めるほうでしたが、免田さんにはかないませんでした。ほぼ一晩飲み明かしても免田さんはケロッとしていたことが忘れられません。免田さんは「冤罪死刑囚は二重に苦しむ」と言っていました。犯していない罪を認めてしまった苦しみ、死刑判決を受けていつ執行されるのかという苦しみの二つが大きな苦しみだと教えてくれました。印象に残っているのは、そのとき「今でも田舎には帰らない、帰れば『あいつはほんとはやったのにうまくごまかした』と言われる」と言っていたのには心が痛みました。冤罪によって取り返すことのできないものを失ったことを切実に思いました。
そのころ亀井静香議員（当時、自民党衆院議員）の話を聞く機会がありました。当時、亀井氏はアムネスティ議員連盟の会長で、知り合いの保坂展人（当時、社民党衆院議員、現世田谷区長）が事務局長で彼に誘われたからでした。亀井氏は「ボクは元警察官僚だから冤罪が起こることはよくわかる」と言っていたことが記憶に残っています。
袴田さんの無実を確信しながら死刑判決を書かされ、一生苦しんだ裁判官
袴田事件（1966年に清水市であった殺人放火事件）の静岡地裁第一審担当裁判官３人のひとりであった、元裁判官の熊本典道さん は「無罪を確信しながら判決を書いた」と2007年の記者会見で告白しました。そしてさらに最高裁に再審を求める陳述書を最高裁に提出しました。
袴田巌さんは1968年に静岡地裁で死刑判決を受け、1980年に最高裁で死刑が確定し東京拘置所に収容されました。しかし、2014年に静岡地裁が再審決定し釈放されましたが、その後最高裁が再審を認めず、現在も争われています。
袴田さんは「世界最長収監記録保持者」としてギネスブックに認定されています。有実ならば罰を受けるのは当然ですが、無実ゆえに冤罪に苦しむのは理不尽極まることです。
取り返しのつかない「冤罪で死刑にされた」人たち
冤罪は身近にあります。交通違反や痴漢行為など犯罪者とされて無質で有罪となり事件もあるのです。冤罪で死刑執行された事例もあります。取り返しのつかない「死刑」という刑罰の構造的問題を考え、死刑制度の廃止を議論する必要があります。（近）
（編集部より：こんな漫画や記事が話題になっています。「住みたい習志野」の今までの記事もご参照ください。）
（集英社オンラインより）
「絞首刑台のスイッチは4つあって4人で押す。その執行手当が２万円。押したら罪の意識は消えません」【辞任した“死刑はんこ大臣”に元刑務官たちが怒り心頭】
死刑制度があるの、日本以外ヤバイ国しかない？ - 住みたい習志野
「死刑のハンコ」発言で更迭された法相と、「えん罪で死刑」に悩みぬいた裁判官 - 住みたい習志野
当日に告知される「死刑執行」の「残酷」、昔は２日前に告知され、最期の別れをすることもできた - 住みたい習志野
今日深夜、日テレで「無実なのに死刑にされた、とされる飯塚事件」を放送 - 住みたい習志野
えん罪訴え獄中で被告が病死した「日野事件」。「娘の嫁ぎ先をガタガタにする」と脅されてウソの自白 - 住みたい習志野
鶴見事件、元死刑囚の妻が再審請求。無実なのに死刑囚にされる日本の司法の闇 - 住みたい習志野
無実なのに死刑が執行されてしまったハンセン病患者「菊池事件」 - 住みたい習志野
免田栄さん死去 死刑囚として初めて再審無罪が確定（12月5日毎日新聞） - 住みたい習志野
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