Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「最低で最高の本屋」松浦弥太郎著(DAI-X出版)

2009-09-01 | 日本の作家
「最低で最高の本屋 仕事と生活ライブラリー1」松浦弥太郎著(DAI-X出版)を読みました。
路上からたった一人でブック・ショップを始め、トラックで各地を移動しながら本を売り、中目黒に「カウ・ブックス」という古書店をたちあげる。
今は「暮しの手帳」の編集長でもある著者の、高校を中退してアメリカに行き、また帰国し仕事をたちあげるまでが話し言葉で語られている本です。

高校を卒業し、大学に行き、就職する。
その「何となくみんなと同じ」の大多数から外れる。
会社に就職しないで生きていくこと。
その厳しさと充実感の両方が文章からにじみでています。

「学校や組織から飛び出して何をしていたかというと、ただ、だらしない生活しかしていなかった。人と違うことはしていたかもしれませんが、それは単に楽なほうへと向かっていたような気がします。(中略)
誰にも束縛されないところへ行って、そこには自由なんてなかった。漠然と自由に憧れて進んできた道の先には、自分勝手な生活しかなかったんです。
そこにあったのは充実感ではなくて、空虚感でした。」

帰国しまず生活リズムを立て直し、本を読む、人に会う。とにかくやりたいことを全部やる。飛び込みで営業する。人が欲しいだろうと思うことを必死で考える。

お金が1円もなくて高円寺で即席のフリマをして完売させた話。
原宿の路上でLIFE誌の切抜きをパッケージして売った話。
サザビーで一年間やった、机ひとつでできる店「TODAY SHOP」。

まさに自分で自分の生きる道をクリエイトしていく人生。
「クリエイターと呼ばれる職種だけがクリエイティブな仕事なのではない」という言葉も印象的です。

松浦さんの目指す「最低で最高の本屋」とは。

「80点以下の部分を減らして平らにしようという考え方・・・でもそれだと本当に魅力的なものはつくれない。心に残るようなものはつくれないと思うのです。」

最近の世の中の「ダメだし文化」の風潮に私もつい乗ってしまうことがよくあるので、この言葉は「仕事」の分野だけでなく、日々のこととして私も心にとめておきたいなと思いました。

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