Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

『漱石の孫』 夏目房之介著 (実業之日本社)

2004-12-18 | 柴田元幸
『漱石の孫』 夏目房之介著 (実業之日本社)を読みました。

房之介さんがテレビの取材でロンドンに滞在した時の話を縦軸に、
房之介さん自身が「漱石の孫」という肩書きを背負ってきたプレッシャーと、
そこから脱却してきた過程が記されています。
漱石自身のエピソードは少なめ。

ロンドン留学当初「極東の猿」のような存在だった漱石、
対照的に、100年後ロンドンにマンガ講義に呼ばれる孫、
その立場の対比が面白かったです。

私はイギリス留学の様子を描いた『漱石日記』(岩波書店)も
読んだことがあり、そこでは「家の者が出かけていたからパンを一片余計に食った」
など生活感があふれていて面白かったのですが、
今回『漱石の孫』を読んで、官費留学で周囲の大きな期待と自身の志を持ちながらも、
孤独な下宿生活を送っていた漱石の苦しみを改めて思いました。

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2 コメント

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一緒になって (みとも)
2004-12-18 20:05:04
はじめまして!TBありがとうございました。



「漱石の孫」では、房之介氏がかなり率直に心中を

吐露しているので、こっちまで胸がギューとなりました。

房之介氏と一緒に漱石ともシンクロしてしまうような。



お札の話、笑えましたよね?

親族であの番号なら、それより以前の番号は誰に??

今回の新札ネコババ事件で、ひょっとして・・・と思いましたよ
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コメントありがとうございました (Straight Travel)
2004-12-19 11:19:30
みともさん、コメントどうもありがとうございました! 



夏目家の新札に対する反応はクールでしたよね。現在は神奈川近代文学館に寄贈されたらしいですが、展示品にあったかな?



横浜の港の見える丘公園にある、神奈川近代文学館には房之介さんの本でも話題になっていた「月刊ニコニコ」に掲載された「修正された漱石のびみょうな笑顔」の写真が見られましたよ。

「漱石の孫」にも載っていた「達磨図」の掛け軸も見られるのでおすすめの文学館です。

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