「結婚のアマチュア」アン・タイラー著(中野恵津子訳)文藝春秋を読みました。
結婚30周年を祝うパーティが開かれた晩、「それなりに楽しい結婚生活だったわよね」と振り返るポーリーンに、「地獄だった」と夫のマイケルはつぶやく。それはいつもの夫婦喧嘩のはずだったのだが・・・。
どこにでもいる夫婦とアメリカの60年間を描いた物語です。
楽天的で感情の起伏が激しく楽しいことが好き。
「女性によくあるタイプ」のポーリーン。
口下手で慎重で現実的、分別のある理性派。
「男性によくあるタイプ」のマイケル。
惹かれあって結婚したふたりだけれど、次第にそのふたりの性格の違いが夫婦生活にひずみをもたらしていきます。
「ポーリーンはほんとうにいい人間だ。まあ、自分もそうだが、とマイケルは思った。ただ、二人いっしょになると、よくなくなる。というか・・・つまり、マイケルが言いたいのは・・・優しくないというか。お互いに対して必ずしも優しくなれないのだ。なぜそうなのか、マイケルには説明できなかった。」
読みながらポーリーンとイメージがかぶったのが「アンパンマン」のドキンちゃん!
はたから見ていると、性格がカラフルで女性らしくてかわいらしいのだけれど、そばにいる立場(身内)だったらキツイな~。息子も「母は「奥様は魔女」みたいな能天気なキャラクターではなかった」と語っていますしね。
ちなみに色気は足りないけれど、一人で何でもできる女性アンナはもちろんバタ子さん。
まわりの夫婦はみな仲良く、家族はみな結束しているように見える。
けれどうちの夫婦は、家族は違うと悩む。
この本に描かれているどの人も、どの悩みもできごとも、自分や、自分のまわりの人たちと少しずつ似ていて身につまされます。
橋田ドラマなみに延々と描かれる日常生活。でもこの小説の主眼は「エゴのぶつけあいによる人間関係のドロドロ」にあるのではありません。
マイケルの台詞「父さんたちはできるだけのことをしたんだ。ほんとうに精いっぱいな。俺たちは、ただ・・・未熟だったんだよ。どうやっても物事のコツがわからなかった。努力しなかったわけじゃないんだ。」
この台詞に表れているように、善意からやったことでも素直に受け入れてもらえなかったり、誤解したりすれ違ったり、そういう各人による物事の受け止め方の違い、相性、この世のままならなさを描いていてなんだかせつなくなるのです。
最後にポーリーンを回想するマイケルの姿が印象的です。
穏やかで幸せなアンナとの日々より、うまくいかずに格闘したポーリーンとの日々が後から「充実」という印象すら放って思い出される不思議。
すったもんだあっても死ぬ前に笑えれば全てよし?
私も結婚の、人生のアマチュアです。
私も死ぬ前に今を振り返って微笑めるように、明日からも健闘の日々!
結婚30周年を祝うパーティが開かれた晩、「それなりに楽しい結婚生活だったわよね」と振り返るポーリーンに、「地獄だった」と夫のマイケルはつぶやく。それはいつもの夫婦喧嘩のはずだったのだが・・・。
どこにでもいる夫婦とアメリカの60年間を描いた物語です。
楽天的で感情の起伏が激しく楽しいことが好き。
「女性によくあるタイプ」のポーリーン。
口下手で慎重で現実的、分別のある理性派。
「男性によくあるタイプ」のマイケル。
惹かれあって結婚したふたりだけれど、次第にそのふたりの性格の違いが夫婦生活にひずみをもたらしていきます。
「ポーリーンはほんとうにいい人間だ。まあ、自分もそうだが、とマイケルは思った。ただ、二人いっしょになると、よくなくなる。というか・・・つまり、マイケルが言いたいのは・・・優しくないというか。お互いに対して必ずしも優しくなれないのだ。なぜそうなのか、マイケルには説明できなかった。」
読みながらポーリーンとイメージがかぶったのが「アンパンマン」のドキンちゃん!
はたから見ていると、性格がカラフルで女性らしくてかわいらしいのだけれど、そばにいる立場(身内)だったらキツイな~。息子も「母は「奥様は魔女」みたいな能天気なキャラクターではなかった」と語っていますしね。
ちなみに色気は足りないけれど、一人で何でもできる女性アンナはもちろんバタ子さん。
まわりの夫婦はみな仲良く、家族はみな結束しているように見える。
けれどうちの夫婦は、家族は違うと悩む。
この本に描かれているどの人も、どの悩みもできごとも、自分や、自分のまわりの人たちと少しずつ似ていて身につまされます。
橋田ドラマなみに延々と描かれる日常生活。でもこの小説の主眼は「エゴのぶつけあいによる人間関係のドロドロ」にあるのではありません。
マイケルの台詞「父さんたちはできるだけのことをしたんだ。ほんとうに精いっぱいな。俺たちは、ただ・・・未熟だったんだよ。どうやっても物事のコツがわからなかった。努力しなかったわけじゃないんだ。」
この台詞に表れているように、善意からやったことでも素直に受け入れてもらえなかったり、誤解したりすれ違ったり、そういう各人による物事の受け止め方の違い、相性、この世のままならなさを描いていてなんだかせつなくなるのです。
最後にポーリーンを回想するマイケルの姿が印象的です。
穏やかで幸せなアンナとの日々より、うまくいかずに格闘したポーリーンとの日々が後から「充実」という印象すら放って思い出される不思議。
すったもんだあっても死ぬ前に笑えれば全てよし?
私も結婚の、人生のアマチュアです。
私も死ぬ前に今を振り返って微笑めるように、明日からも健闘の日々!