Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「ハリー・ポッターと謎のプリンス」下巻 J・K・ローリング著(静山社)

2007-01-11 | 児童書・ヤングアダルト
「ハリー・ポッターと謎のプリンス」下巻 J・K・ローリング著(静山社)を読みました。
一気に読んでしまいました。そしてとても哀しい気持ちになりました・・・。
以下、ネタバレあります。






この本を読んできっと誰もが思うことが、まさかダンブルドアが死ぬはずない!!という思いだと思います。でも死んでしまったんですね・・・。
一番頼れる父親のような存在を失って、ハリーはロン、ハーマイオニー、そして仲間たちと自分たちの力だけでヴォルデモートを倒さなければなりません。
ドラコがダンブルドアを目の前にして「本当に自分が殺すのか?誰か大人がカタをつけてくれるんだろう?」ときっと心の中で思っていたように、ハリーも自分はヴォルデモートが憎いけれど、最後はダンブルドアが倒してくれると思っていたのではないかと思います。
でもこれからは誰もヴォルデモートを倒す方法や道筋を教えてくれる人はいなくなり、自分で知恵をふりしぼり、自分の体ひとつで立ち向かっていかなければいけない。ハリーはひとりではないけれど、16歳の彼には辛く重たい試練ですね。

それから今回の本を読んで思ったのは、スネイプはとてもかわいそうな人だということです。
若い時の過ちを悔いてダンブルドアのもとに来、何十年も教師を勤め上げたのに同僚や生徒から「あの人は昔死喰い人だったから怪しい、信用できない」といつまでも言われ続ける日々。
何をしてもどれだけ時間がたってもみんなに信用されない。
ヴォルデモート側からは裏切り者といわれる。
彼を本当に信頼していたのはダンブルドアひとりしかいませんでした。
本人が憎まれるような態度をとっているにしても、とても孤独で可哀想な人だと思います。

しかし半純血のプリンスがスネイプだったとはびっくり。上巻まではプリンスはヴォルデモートだろうと思い込んで読んでいたので、下巻で判明して驚きました。
悪の呪文もあるけれどイタズラみたいな呪文もあって、才能豊かな学生時代のスネイプが想像できます。そしてそのほかの人にはない豊かな才能ゆえに人を支配する力に惹かれていったのかなあ・・・と。
ここからは想像ですが、スネイプはもしかしてハリーのお母さんが好きだったのかも?なんて思いました。きれいでやさしくてスネイプ自身も好きな科目の薬草学の優等生。でも彼女はスネイプが一番嫌っていたハリーのお父さんと結ばれて、スネイプは嫉妬と絶望で心はめちゃくちゃ。誰をもひざまずかせ、すべての願いがかなえられるような魔法の力を手に入れたいと思ってヴォルデモートの元へ。
でも自分の密告が原因でハリーの母を死なせることになり、改心したのかも・・・?
ハリーに意地悪していたのはハリーが父親似だから。
もしハリーが母親似の女の子だったらスネイプは大ひいきしてたかも、なんて。

私はハグリットが立ち聞きしたダンブルドアとスネイプの口論は、きっとダンブルドアがスネイプにこう頼んだのではないかと思います。
「もし自分が死喰い人たちに追い詰められ、服従の呪文をかけられるくらいならスネイプが自分にとどめをさして殺してくれ」と。だからスネイプはダンブルドアにそんなことはできないと怒ったのではないかなあ・・・。
そしてついに杖をなくし、塔に追い詰められたダンブルドアが「頼む・・・」とスネイプに懇願したときにスネイプは苦しい表情でダンブルドアを呪文の一撃で殺したのではないかと私は信じていますが、どうでしょうか。
これで本当に自分を信じてくれる最後の人を永遠に失ってしまったスネイプ。
彼はヴォルデモート側につくのか?
それともダンブルドアの意志を継いでヴォルデモートを倒すのか?

スネイプの行動の真意、ハリーと仲間たちの行く末、R・A・Bの正体。
最終巻が今からとてもまちどおしいです!