「宮殿泥棒」イーサン・ケイニン著(柴田元幸訳)文藝春秋を読みました。
努力家タイプの謹厳実直な中年会計士を描いた「会計士」、
天才的な兄と比較される凡庸な弟を描いた「バートルシャーグとセレレム」、
妻と別れ、息子とも距離を感じている父親を描いた「傷心の街」、
かつては劣等生でいまや産業界の大立者になった元教え子に翻弄される老いた高校教師「宮殿泥棒」。
普段あまり脚光をあびることのない優等生たちのほろ苦い人生を、親身にやさしく、絶妙な筆運びで描いた中篇集です。
印象的だったのが「宮殿泥棒」。
主人公は教え子のカンニングを見つけますが、彼の不正を暴くこともできず、かといって「世の中はそういうものだ」と割り切ることもできません。
まるで自分を見ているようだと感じ、私ならどんな選択をとるだろうという問いが頭の中をめぐりました。
またとてもせつなかったのが「傷心の街」。
「私は恋をしていた記憶をなぞっていたのかもしれない」という場面がつらかったです。妻も息子も愛しているのに孤独になってしまった主人公。
自分にもいつかこんな場面がおとずれるのだろうか・・・と思いました。
どの作品もまじめに生きてきた人間がはいりこむ袋小路を描いており、とてもリアルで深く考えさせられます。
ケイニンのほかの作品もぜひ読んでみたい!
努力家タイプの謹厳実直な中年会計士を描いた「会計士」、
天才的な兄と比較される凡庸な弟を描いた「バートルシャーグとセレレム」、
妻と別れ、息子とも距離を感じている父親を描いた「傷心の街」、
かつては劣等生でいまや産業界の大立者になった元教え子に翻弄される老いた高校教師「宮殿泥棒」。
普段あまり脚光をあびることのない優等生たちのほろ苦い人生を、親身にやさしく、絶妙な筆運びで描いた中篇集です。
印象的だったのが「宮殿泥棒」。
主人公は教え子のカンニングを見つけますが、彼の不正を暴くこともできず、かといって「世の中はそういうものだ」と割り切ることもできません。
まるで自分を見ているようだと感じ、私ならどんな選択をとるだろうという問いが頭の中をめぐりました。
またとてもせつなかったのが「傷心の街」。
「私は恋をしていた記憶をなぞっていたのかもしれない」という場面がつらかったです。妻も息子も愛しているのに孤独になってしまった主人公。
自分にもいつかこんな場面がおとずれるのだろうか・・・と思いました。
どの作品もまじめに生きてきた人間がはいりこむ袋小路を描いており、とてもリアルで深く考えさせられます。
ケイニンのほかの作品もぜひ読んでみたい!