森岡 周のブログ

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パラダイム転換に導く脳

2014年03月26日 09時09分45秒 | 脳講座
パラダイム転換は,それまでの延長線上の積み上げ的思考だけでは難しい場合があります。。。

リハビリテーションのための神経生物学入門の第1章には以下の記述があります。

「現代人の祖先はそれまでの狩猟生活中心を採集生活中心にシフトしていった.狩猟を繰り返すと対象となる動物は少なくなり,最終的には絶滅する.それと同じように狩猟をしていた種も絶滅してしまう.自分たちの種の絶滅を防ぐための知性の出現こそが,今なお地球上に絶滅せずに生きる結果をもたらした.その背景には,絶滅を防ぐための認知機能の発達,具体的には武器の改良,因果的推理,動物の習性の知識など,これらの情報を集団でたえず共有,更新,検討してきたプロセスがあった.そしてついには狩猟に頼らず,植物の栽培,家畜を飼育するようになった.ある問題を解決するためのこのプロセスの繰り返しにより,多様な選択肢を生み出したのである.それは農耕生活への大転換につながった.この大転換は恒常的に人口増加がもたらされる結果を導いた.狩猟生活時代は30人ほどの小集団であったのが,人口増加に伴い集団が徐々に大きくなることで,法律の制定を含んだ国家を形成し,貨幣経済を生み出すといった社会文化的変化がおこった.ここで大事なのは狩猟民族であったものが,新たな食べ物を探すといったそれまでの延長線上での問題解決を試みたわけでなく,全く新しい戦略で生き延びることを選んだのである.つまり,それまでのある種が絶滅しようとするある種にとってかわるといった単純な生物学的な変化ではなく,ホモ・サピエンス同士が知恵を共有し,新たな生命維持の戦略を生み出すといった社会学的な変化が起こったのである.環境や文化は人間を大きくかえるというプロセスの出現である.脳の構造が変わらないにも関わらず,この戦略の変化は,まさに人間の発達・進化が社会生活に基づいたものであることを示している.したがって,脳機能の発達もそのような社会的プロセスの産物であることがわかるであろう.」

自己の脳は他者の脳と相互作用することで実存化することや,他の生命体への愛(バイオフィリア)の存在,そして,今日の非常識は将来の常識たる,志向性の存在だったかもしれません。

それまでの種が絶滅した背景には、延長線上でしかなかった様相があるかもしれませんね。

起業している方々、倫理観をもちながら、パラダイム転換!がんばってくださいね。ただ個人脳だけでは限界がありますよ。知恵は創発するわけですから、社会脳の考えをもたないといけません。自己を肯定する仲間同士では創発は起こりません。

思い起こせば10数年前。20代後半ごろ。。。脳の機能の重要性を理学療法界にいっても無視され、論文は数多くリジェクトされました。若造がなにをいうんだ~~という眼でみられ、脳なんて必要ない。とか脳を勉強する必要はない。筋骨格で十分とか、いろいろいわれたことがあります。

まあ僕はもっぱら承認されたり、尊敬されたりする欲求ではあまり動かないし、認められなかったとしても、そこには大きな意識はもたず、脳ってすごい!!っていうことを知ってほしい意識でこれまですすんできましたので、結局のところは、その意識や視点はネガティブにならず国際誌(誰も私のルーツは知らない)にいったわけですが、今日、徐々に脳の機能の理解が常識化されつつあります。しかし、まだ教育に取り入れられていないため、私はまだ死ぬ訳にはいきません。。笑。つぎのパラダイム転換を見届けるまでには。。。

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