森岡 周のブログ

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リハビリテーションのための脳神経科学入門改訂にあたって

2016年03月29日 22時12分32秒 | 脳講座
1週間ほどの遅れですが、自分が自分の誕生日を祝う意味で(最近は血圧の関係で家では禁酒をしていましたが)、久しぶりにワインセラーからごとごとと取り出したピノノワールをいただき、そのパワーをもとに、途中まで書いていた英文原著を仕上げ(明日カバーレターを完成させる予定)、先ほどまでかけて、単著である「リハビリテーションのための脳・神経科学入門(第2版)」のまえがきとあとがきを一気に書きあげました。もう初版の原稿は1割程度の全面書き下ろし改訂本になっています。

まえがきが3400字で、あとがきが4200字とちょっとバランスが悪いのですが、これでfinishさせます。残りはもう1回校正作業をして5月に刊行する予定です。
まえがきはパースペクティブ的内容ですが、あとがきでは一人称的に初版を書いていた33歳からの12年を振り返っています。むしろ改訂が12年と干支のように一回りしたことでよかったと思っています。というのは、科学の進歩だけでなく自己の成長も感じることができたからです。
大局的に概観すれば、当時は脳・神経科学を積極的にリハビリテーション医療に取り入れようとする意識はほとんどなく、関連する学会で発表しても、論文を書いても「脳の研究や脳科学の考え方なんかリハビリテーション医療(特に理学療法)に必要ない」「なんでそんな学問が必要なんだ」「あなたのやっていることは変わっているね(わからない)」などと(遠い人にも近い人にも)揶揄されることがしばしばあり、そのちょっと前まではなかなか受け入れてくれなく、国内でなく国際誌に厳重な封筒にフロッピーディスクを入れ、editorに手紙を書き、着いたか着いてないかもわからないAir Mailで論文を郵送したりすることを続けていました。が、今日では揶揄もほとんどなくなり、おかげさまで講演にも招待され、若い方々が積極的に研究成果を出し、そして関連諸氏の力のおかげで、嬉しいことに、今ではリハビリテーション科学が学際的な脳・神経科学の一端を担おうとしています。

この10数年、一人称的にはものすごいスピードで経過してきましたが、こう振り返ってみるとそれなりに意味があるのがわかります。やはり意味は後付けですね。今回の改訂作業を通じて、自己の人生のみならず、リハビリテーション科学の動向を概観することができてよかったと思っています。
初版はついにamazonでは在庫切れ、出版社でも品切れになったようです。これはこれで貴重な本になるかもしれません。もはや第2版は影も形もなくなりつつ、、、なので。笑。ただし、33歳の攻撃的な自分(の表現)ともお別れのようで少し寂しい気がしています。

初版が出版された時のようなインパクトはないかもしれませんが、まずまずの情報を提供できていると思いますので、それなりに期待しておいてくださいm(_ _)m
http://www.kyodo-isho.co.jp/cgi-local/search.cgi…

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