森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

時代の流れはゆるやかだが動き始めている

2009年07月13日 07時09分31秒 | 過去ログ
日曜日は朝7時前に家を出て、一路、滋賀県甲西に。
9時20分につき、奥邨先生に甲西駅で出迎えていただく。
単線の駅でありのどかな風景だ。
そのまま学会場へ向かう。

久保学会長、並河会長にご挨拶し、
司会の若林先生と打ち合わせをする。
打ち合わせといっても、若林先生は私の母校の先輩であり、
結局は学生時代の昔話に花を咲かせる。

10時より講演がスタート。
基本的なことを話したが、地方PT学会なので、
臨床的なことも踏まえてできるだけわかりやすく話したつもりである。

最後の質問への返答が誤解されないかと今も気になっている。
理学療法の効果は、
運動単位の動員や反射亢進の制御などは、検証できる。
また、動作時にきちんと動員されているかなどの確認・検証も。

一方、行為のレベルとなると、その検証は極めて難しい。
立位バランスをとっても、現代の運動制御学を借りれば、
要素還元的でなく、環境と相互作用するというシステム論に立脚している。
ウーラコット、シャムウェイクックの名著モーターコントロールの序論は終始それを強調している。

つまり、ある筋の運動単位をはかるエクササイズをしたとしても、
他の要因(これは理学療法評価で使う狭義な関係を示しているのではない)とどのように相互作用するかによってバランスの発達・学習が変わってしまう。

赤ちゃんの立つという行為は、その典型である。
行為は創発されるために、一つの効果・要因だけで生まれるものではない。

要するに、単純な運動単位の動員などは理学療法の効果ということができるが、
行為の創発は、患者の心も含んだリハビリテーション全体の効果ということができるであろう。
リハビリテーションは人間復権なんだから、精神にもアプローチしなければならない。
理学療法、作業療法、言語聴覚療法がお互いのアイデンティティを強めれば、
人間全体が見えない場合がある。


12時に終わり、休憩室で若林先生と話をしていると、
近森時代にバイザーとして教育していた、旧姓門谷さんに出会う。
もう卒業以来であり、15年ぶりぐらいかな。
久しぶりの再会にうれしさを覚える。

そののち、畿央時代の宇野さんも来室する。
認知症の臨床に頑張っているようだ。
あと、ロビーで藤田唯さんも見かける。
顔つきがしっかりした様相でよい。
みんな社会に出れば成長する。
それが自己組織化であり、大脳皮質の賜物である。
教育とはその基盤をつくるだけでよいとも思うし、
基盤とは何かを論議する必要もある。
歴史は基盤ではない。

甲西という場所的には立地がよくないところでの開催だったようだが、
滋賀学会では異例の参加者200超えとなったようだ。
感謝したい。


夕方、奈良に帰り着き、
本日の講義資料と明日の講義資料を夜中までかかりなんとかした。

研究時間の獲得が当面の私の目標になるかもしれない。


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