森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

還元化でなく細分化

2009年11月17日 10時42分37秒 | 過去ログ
月曜日は大学院の授業のみであるが,
教育学部の学生が興味本位で研究室まで来てくれる.
様々な人間と出会うことで人は育まれる.
専門化はプロフェッショナルを極める意味では重要だが,
人間を育てるには欠陥がある場合がある.
メディアに登場するプロフェッショナルな人々の心意気をみると,
法に守られた資格者はそのプロの心意気には到底到達できないようにも思う.
もっと自らを痛めつけるべきである.

様々な講演準備に追われながら,
日々過ごす自分が成長していない自分であると思い,
自分自身が発達するためにはどこかでリセットするしかないとも思う.
発達のリセットである.

大学院の授業は大変丁寧に講義をしている.
神経可塑性だけで,3回分費やした.
昨日は,Wardや,Takeuchi,Hummel らの研究の詳細を示して,
半球間競合モデルを説明した.
また,Nowakらの研究から,
なぜM1,S1,V1などは半球間抑制が起こるが,SMAやParietal Cortexでは起こる可能性が少ないのかを説明した.
近年の神経科学の見解を統合すると,
連合野には,身体の対側支配は当てはまらない.

また,Nabekuraらの,
シナプス後細胞のCl-濃度の変化に基づく,
抑制性神経伝達物質の興奮性と抑制性の観点から,
シナプス結合の発達,回復について話した.
とくに,軸索切断などの神経傷害によってCl- 濃度が高くなることによって,
抑制性が興奮性に変化することや,余剰配線の形成されることを話して,
その形成を抑えるための発達学習手続きを考えた.


19時40分からは研究室の清水君が,
Canonical neuron systemに関連する自身の研究を紹介した.
Premotor cortexにおけるdorsalとventralの違いについて,
単なる,下肢と上肢の違いでなく,運動の制御系の違いから明らかにできればと思う.
そのあと,上原君が注意機能における脊髄興奮性と大脳興奮性に関する研究を姿勢制御の観点から紹介した.
SEP,P300,N成分,H反射,COP,motor controlのあらゆる角度から,
注意配分,容量に基づく,制御系が明らかになればいい研究になると思う.
あとは自分の仮説をもっと細部まで構築することかな.


22時頃まで,M1リーダー佐藤君と清水君と今後のスケジュールを確認して,
コッホの文献を持ち帰り,寝る前に読み,やっぱり眠ってしまった.


研究は時間研究へシフトしながら,意識,記憶という視点を含みながら構成していきたいと思うが,
その前に,自分も3つほど実験を草案したのでそれを1年以内に明らかにしたい.