森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

網目が絡みつかない程度に

2009年11月10日 16時04分53秒 | 過去ログ
Finishさせても,それ以上にいろんな原稿,講演の資料づくりが舞い込んでくる.
その辺りからか,学務にも少し支障がきており,襟を正すべきであると思う.

月曜日は,福岡ハンド,そして東朋香芝の資料作成し,
次年度の大学の教育研究備品に関する検討を業者と行い,
その作文を少し行う.
空間だけでなく,時間分析も高度にしたくなる欲求がわくが,
そのまえにきちんと論文化しないといけない.

私の本業は授業をすること,学生を教え育てることであるが,
やはり,研究というものを展開する時間なくしては,
自分の精神がすたれる.

時間をコントロールするのも脳の極みである.

今度の日本理学療法士協会広報誌の「PTあ」の原稿を読み,
少し赤を入れ,アートディレクタに送信する.

そののち,18時より大学院の授業.
今日は脊髄の神経可塑性の話と,
注意機能(大脳皮質機能)による脊髄のシナプス前抑制機構について話した.

19時40分よりは,研究室ゼミ.
高木君から,視覚を用いた運動錯覚の研究が取り上げられ,
彼のオリジナルな仮説を吟味した.
シンプルでよい.
そののち,金谷君から触覚と姿勢制御に関する研究が取り上げられた.
手の機能と足の機能を吟味すれば,おのずと仮説が生み出される.
足に重要な感覚モダリティとは環境の視点から何か?
手に重要な感覚モダリティとは環境の視点から何か?
そういう議論から,研究を循環することが大切である.
単に「やってない」から「やる」では,一方向性の研究でしかない.
思考を循環させることに積み重ねで,データの読み取りに多様性が生まれる.
結果が出ないから,やめた!なんてことにならない.


21時過ぎより,M1の佐藤君と研究室合宿のスケジュールを確認し,
D1の谷口君のOTジャーナルの査読コメントを確認し,
博士論文に向けたスケジュールを確認した.

22時に帰って仕事をしようと思ったが,
家にあるPC2つのうち1つが動かなくなっていた.
機械はモノ言わぬブレインである.

しょうがなく0時には寝て,起き,
新たな研究が創造できた.
朝は,記憶が整理され,どんどん研究計画が出てくる.

思考をめぐらせるには,風呂か,歩いているときが良いが.

時間が決定され,何時の電車にのらないと「いけない」と思って歩くときは,何の創造性も生まれないが,大学まで時間を気にせず,公園を歩いている時には,いくつもの仮説が生まれる.
脳には「余裕」が必要だ.

広島運動器疾患リハビリテーション研究会の田代先生,大学のメールアドレスまでいただければ対応します.
なお,本年度は3月末まで,土日はふさがっています.ご了解ください.




経験の再帰

2009年11月10日 00時38分12秒 | 過去ログ
日曜日は結構早く奈良を出て四条畷まで向かう.
四条畷駅についたのは1年ぶりぐらいか・・
四条畷学園を進むとちょうど学園祭の準備が行われていた.
情感ある坂道を抜け,これが結構ハードである.
山の手にあるリハビリテーション学舎へ.

ご挨拶を済ませると,控え室に案内される.
久しぶりに同級生の向井先生にあう.
彼は東京の学校の出身であり,
私は高知の学校の出身であるが,
ちょうど浜松医大の実習が一緒になった仲である.
二人の臨床実習指導者は竹谷先生であった.
私は,実習開始4日前に浜松についたが,
そのまま病院に来なさいと指示を受け,
いくやいなや,症例を8例渡され,
評価・治療をするようにといわれた.

その8例は,80%熱傷,股離断,16歳の脊髄損傷(障害受容できておらず),腎不全,薬物中毒による多発性神経炎、髄膜炎の生後3ヶ月の赤ちゃん(NICU)、たしか1000gあるかないかだったと記憶している。などなど、であり、
いわゆる脳卒中とか、骨折ではなかって、悲鳴を上げた記憶がある。
デスクには、文献、本がタワーのように立ち上がり、
毎日、要約をもとめられた。
英文は毎日コピーしなければならず、それを翻訳し続けた。
また、症例報告はジャーナルに投稿できるようにという指示を受け、
引用を加えながら、考察した。

症例はその後10数名まで増えた記憶がある。
3期で30名を超え,担当した。

1期の浜松医大では今のご時勢で考えるととてつもない課題であったが、
今、自分があるのは、社会の第一歩でそれを乗り越えたからだと思う。
また、大学病院という場所が研究者への1歩だったのかもしれない。
なぜ、その課題に耐えることができたのは、竹谷先生の臨床が創造的であったこと(ROMをするときに寝かすな!など)、そして、先生が毎日、ワープロに向かい、常に英文を翻訳し、研究していたこと、を背中で見ていたこと、それが大きい。
口先(口は大変よろしくなかったが)だけではなかったように思う。


向井先生とは、そういう実習でのほろ苦い経験がある。



四条畷学園同窓会での講演はまだ若い同窓会であるので、
用意していたスライドを適切に説明するのではなく、
脳科学の楽しさやエッセンスを話すだけにとどまった。
自分としては残念だが
後半、質問をいただき、まあよかったかなと思った。


帰りに四条畷の先生方に送られ、
坂道を転げるように帰り、
ゼミ生と今後の研究の展開の打ち合わせをして、
奈良に帰った。

日帰り講演は楽である。