森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

誕生日講演!!

2014年03月21日 07時00分37秒 | 日記
誕生日の夜の講演も無事終了!!



本日は船橋市立リハビリテーション病院にて、2時間半側空間無視について話をさせていただきました。卒業式後、実は体調は芳しくなかったんですが、船橋で講演をしている中で心地よくなってきました。これも脳の関係性のマジックです。空気って大事ですよね。飲み込まれ、飲み込み、というシンクロです。これも加辺先生をはじめ、スタッフの皆さんのお人柄・優しさです。院長先生とも話す機会を経て、共同研究も進みそうです。河島さん、また二人でお邪魔しましょう。

そのあと、先ほどまでの懇親会には東京湾岸リハビリテーション病院のメンバーも数多くきていただき感謝です。彼らには狭い範囲で物事を考えず、ダイナミックにすすめていってもらいたいもんです。船橋のメンバーとも楽しい時間をすごすことができました。また、男と女の意味について脳科学から語りたいと思います。笑。

もちろん、懇親会には近森時代の上司の森本榮さんにもきていただきました。今あるこの私はいろんな人たちと関係することで出来上がっています。先輩、上司だけでなく、この世の中すべてです。人は人に生かされています。

まだいろんなネタや研究をしていますので、船橋にはきたいと思います。それが僕のできる恩返しなわけです。

帰り際には、今日が私の誕生日ということで、Paul Smithのしゃれたハンカチに、ロックンローラーということで、レスポール型のUSBをもらいました。このような心遣いに幸せを感じる次第です。ありがとうございました!鄙びたビジネスホテルですが、まあまあ幸せです。笑

明日は東京で5時間疼痛について話します。

自由意志とリハビリテーション

2014年03月19日 22時48分39秒 | 日記





卒業生が巣立って1日。大学は静けさと寂しさの空気が漂っています。そして、毎年のごとく「自分自身」の中で起こるこのセンチメンタルな感情。。。卒業生をおくりだすことは、誇らしげながらも、毎年ながらとっても寂しい。そして、しばらく、そのなんとも言いがたい余韻に浸っているのです。

卒業式の中で卒業生によって歌われた「遥か」の際、涙腺がゆるくなってしまいました。

さて、謝恩会で言ったように、実は今年の卒業生のおかげで、僕は教育と言うものが、やっとわかりはじめたような気がします。この学年を境に、つまりその下の学年から、とっても授業が優しくなったのです。要は、相手を操作しようとするのではなく、相手にのまれてしまおうというスタイルです。教員生活はおそらく18年ぐらいですか、やっと教育というものが心の底から楽しくなったのです。遅すぎますが。。

自分の思うようにならない授業をこの学年で数多く経験する事で、自分の弱さを知り、そして愚かさを知ることができました。今となってはみんなにとても感謝する次第です。

さてさて、謝恩会では相変わらずおちゃらけてしまい、年甲斐も無く、そして役職甲斐も無く、翌日には相当に反省する次第ですが、ここに当日は言えなかった、、彼ら彼女らに伝えたい言葉があります。それが「自由意志」です。

大学を卒業し、やっと自分の足で歩く事ができます。そうです。自由を勝ち取ったのです。この自由とは自分勝手な振る舞いというわけではなく、自分の意志で道を決断し、その道を歩く事ができるということです。20数年かけてその自由意志を皆さんは勝ち取りました。大学生活はいわば自立と依存という相反するものの葛藤のなかで生きていて、その矛盾につぶされそうになったこともあるかもしれません。けれど、これからは自分の意志で自由に歩けるのです。だから、自己責任というのがついてまわるのです。責任という意識を自己の行動の基盤に必ずおいてくださいね。

そして、皆さんが対象とする多くの方々は、子どもの時から発達をかさね、、せっかく勝ち取ったその自由意志を奪われた人たちです。自分の意志で、自分の好きなときに食事ができる、便所に行く事ができる、買い物に行く事ができる、そして仕事を選ぶことができる。この自由意志や選択を奪われるというその心ははかりしれません。せっかく長い年月かけて勝ち取ったものを病気や事故で一瞬に奪われるわけですから。

今この時、自由意志を勝ち取った卒業生の皆さん。この自由意志のありがたみを感じつつ、それを奪われた人々のリハビリテーションを心底その視点から考えてあげてください。そうすれば、決して盲目にはならないと思います。僕は、そうした盲目でなく、いかような道も考えてあげることができる人こそ、畿央大学のキャッチフレーズである「優しさをチカラに変える」ことができる人だと思うのです。

通所系リハ研修会での講演

2014年03月16日 10時04分12秒 | 日記
昨日は東京・神田で日本理学療法士協会の通所系リハビリテーション研修会で講演でした。厚生労働省の逢阪先生から始まり、現場の療法士の方々、そして、当事者の方に私とバラエティにとんだ講師陣でした。いや楽しかったです。つながりとはこういうもんなんですね。疲労感満載の体でしたが、皆さんに新たに出会えたことが僕の報酬になりました。

仕事の関係で後半にしか参加できませんでしたが、シンポジウムではピアカウンセリングの意味や、社会参加における報酬価値・意欲の話しになったので、私の講演内容(科学)と皆さんの実践、さらには法制度において、そのあたりが接点になったかもしれません。

本研修会のコーディネートは吉良氏で、彼は長年地域リハ畑を歩いてきた男です。現場に答えがあると言い切り、ずっと現場サイドにいる熱い男です。おかげで当日の会場は暑すぎました。。。彼は近森リハ時代の同期で、石川誠先生や、伊藤隆夫さん、森本榮さんらに叱咤激励された仲間の一人ですが、勉強、技術習得だけでなく、彼とは切磋琢磨に。。いろんな芸をしました。白鳥の湖のバレエダンスは僕の案でしたが、彼は相撲の土俵入りの案を出しました。彼が相撲取りになり、僕がまわしになって彼の体にまとわりつくという大胆な芸です。。。意味がわかりませんね。。。笑

彼からのリクエストは、脳科学的視点からみた人のとらえ直しと、通所サービスの特性の活かし方でしたので、僕はそれを僕が提供できる情報に落とし込み「社会脳に関する科学的知見の提供から、人間の社会的参加の意味ついて考える。」いう目的でいろんなわかっていることを話しました。そこには無意識的同調性からピアカウンセリングの意味、そして、同じ障害をもった方々同士が教え合うといった社会的利他行動や報酬価値の意味について情報を提供できたと思います。

いずれにしても、このような社会神経科学がリハビリテーションの基礎学問に位置づけられればよいですね。運動学だけじゃ人間の理解はできないですよ。。。まだ今日も研修会あるようですので、参加者にとって実りある1日になるように。

さて、私は今から新幹線にのり大阪に戻り、バンド仲間と合流し、本番に備えるための練習に向かいます。
スーツから衣装に変わります。

自己の意図による自己の感覚フィードバックの意味(主体感)

2014年03月12日 19時44分44秒 | 日記
実習の谷間に久しぶりに3年生のゼミを行う。研究よりゼミ旅行するのどこにするか、がほとんどの話題だった。。その後、久しぶり。。に今は代表取締役の川崎社長(高知の教え子)がきて、講習会のあり方、職場の教育とは、と2時間も話した。喉をやられた。。笑。彼はなかなかの理念をもっている。それを視線取得の面をより活かして、フレキシブルな理念として追求してもらいたい。

さて、最後に話したことは以下のこと。

誰しも、そもそもは自己が何者か明確でないとき、もっと向上したいという欲求や、もっと成長したいと思うのかもしれない。あるいは自己だけでなく、他者のためにと、利他的にその欲求が生まれる者もいるかもしれない。そして自己顕示欲が強い人は、それがより強いかもしれない。そしてその意図は、例えば勉強に向かえば、講習会や研修会に足を運ぶことになるのかもしれない。

その意図は足を運ぶという行動として生まれるが、その講習会が予想通り(それ以上)であれば、その感覚フィードバックや情動によって、「良かった」と自己の脳は評価するかもしれない。

けれども、よくよく考えてみると、そのフィードバックは他者(講師や外部環境)から与えられたものである。自己の欲求を満たすための意図に対して、他者によるフィードバックによって、その自己の脳内メカニズムが成立するのである。これは自己による行動によってフィードバックが得られていないため、結局はまたその報酬をもとめて、講習会に足を運んでしまう(痛みの治療を継続する脳内メカニズムと同じ)。そしてこれが継続されてしまうと、それが自己による問題解決でないため、自己効力感が結局のところは生み出されず、「自己によっては解決できない」といった学習性無力感を起こしてしまう。

自己の意図は、自己の行動による感覚フィードバックによって、その整合性を保つべきである。他人任せにしてしまうと、徐々に前頭前野の働きは減弱化し、目先(すぐ)の報酬に走ってしまう。腹側線条体が強化されてしまうのである。「明日にでも」「今すぐに使える」とか「将来がどうなるかわからない」「この仕事はこれでいいのか」とあおるの外部刺激に走るのはこの動物的な報酬系によるものである。片麻痺者の行動にも似ている。他者や物が感覚を入れるだけでは本来の脳のシステムが理解できていない。

しかしながら、人間はその報酬を先延ばしすることができる。これに決定的に関わっているのが前頭前野である。そして、その問題解決は自己の行動によってフィードバックが得られることで、もっと高い問題解決をと、その価値が変わる。これが教師なし学習の本質的な意味である。

講習会や研修会が意味を持つのは、1つは誤差を得るためである。現状の自分と他人の情報や考え方の誤差の確認、そして、その誤差を認識し、どのようにそれを自己の行動に活かしたり、修正したりするかを考える場である。そして、他者の価値観や行動力に触れる事で、自己の意欲を高めることである。人は人によって育てられるというのは、この事をさすのではないか。つまり、他者任せの感覚フィードバックによって、自己の意図を成立させるのではなく、この他者のフィードバック情報による誤差を利用して、普段の行動を修正するのである。そして、その行動によって、自己のフィードバックを得るのである。

これが臨床の場になるかもしれないが、リハビリテーションが教育の範疇に入るのであれば、この効果はすぐにはあらわれない。報酬を先延ばしする気構えと、即時的な報酬を他の何かによって得て行く必要がある。これに僕は口頭にて誰かに対して伝える(情報を与え共有する;共同注意)というのが効果を示すのではないかと思っている(ノルマではない)。自分の意図によって学習したことを他者に伝えるという行動に出て、他者の評価でなく、それが自己の意図通り、あるいはそれ以上の自己フィードバックが得られたか、その整合性から自己の成長を自らが確認することが大切だと思っている。

伝達講習といった他人の言葉を三人称で伝えるのではなく、自分の言葉にかえ、その意図通り自分が説明できたか(誤差)、これにより学習効果を自分が計ればいい。人にその評価をゆだねると、これまた他者によるフィードバックの期待を求める結果になってしまうわけである。

若田君、無事に発表終了!

2014年03月03日 20時19分59秒 | 日記
本日は、本学大学院の博士後期課程の若田哲史君の博士学位論文に関する研究の公開発表会と審査会が行われました。私は彼の指導教員ですので、主査や副査などにはなれずですが、彼の発表(成長した姿)を見させてもらいました。

彼の学位論文のタイトルは「Brain activity and the perception of self-agency while viewing a video of tool manipulation: an fNIRS study」です。この研究で新規に明らかになった点は、道具の機能部の動きの映像を自己の上肢の延長上に提示し、それを観察した場合、映像の観察のみで運動主体感が生じることが明らかになったこと、そして、NIRSにて様々な分析(トレンド除去、標準化、effect size、NIRS-SPM、条件内比較、条件間比較、相関分析)を試み、その結果として、道具の機能部の動きを観察した際に生じる運動主体感の責任領域は右下前頭回であることです。

元来、道具操作に関連する神経活動は、自己の運動実行、他者の運動観察に問わず左半球優位でしたが、道具の動き観察による自己の運動錯覚の惹起には、身体知覚を司る右の下前頭回が責任領域であることが、今回の研究で新たにわかりました。この知見は、今後いくつかの研究上の問題をクリアすることによって、道具機能部の観察により、運動主体感を任意的に起こすことで、道具操作、運動意図、身体知覚に障害を持つ高次脳機能障害患者に対する治療への応用が期待できます。

若田君は修士課程からNIRS研究を継続し、修士・博士課程の計5年間で無事に修了?することが可能なようです。明日の大学院委員会をまたないといけませんが、まずは臨床を続けながらも、空いた時間に大学の脳機能実験室にきて、基礎研究を続けた彼のその自己意識に敬意を表します。臨床ベースでない基礎研究データをよく分析し、その成果をそれなりの学術雑誌に掲載させたことは、今後の彼の研究人生の道しるべをつくる経験になったことでしょう。修士課程から一貫して、本日まで彼を叱咤激励、いや叱責し続けました。机を叩いたり、椅子を蹴飛ばしたり、と私も感情をぶつけ、彼と向き合ってきました。最終的には、博士・学者の責任を感じることができたのではないでしょうか。関係してくれているすべての人々を肩にのせるという責任の意識が必要です。

いずれにしても、「All's Well That Ends Well」少し休んで、次の研究を早速スタートしてください。「Ending is Beginning」です。

図書館だよりのフライング

2014年02月28日 12時30分15秒 | 日記
大学図書館から以下のテーマで依頼がきて、ずっと放置してました。悩みに悩み、これにしました。

大切な私の1冊 「心理学(上)」「心理学(下)」

健康科学部 理学療法学科 教授 森岡  周

 「大切な私の1冊」というテーマは厄介だ。依頼を受けた時、そう思ったのが率直なところである。だから、短文でありながらも締切日まで書くことができなかった。というのは、私の志向性に影響を与えた本は数多い。ギブソン、バレラ、ジェームズ、フッサール、メルロー=ポンティ、ピアジェ、ヴィゴツキー、ルリア、サックス、佐伯胖等々、ここには挙げきれない。その中で最終的にこの本に決断した(決断された)。
 私の研究は代謝、生体力学、知覚、そして脳とこころと、これまでその移り気な性格から変遷してきた。内蔵や力学を対象としていた頃は、現象は全て数値で示すべきと豪語していた。しかし、ある身体現象を眼前にした時、私は還元的な数値にはかられない世界観に心奪われたのである。だから、知覚を対象に研究しようと決断し、現象学、心理学を中心に手当たり次第に本や論文を読んだりした。しかし、それまでの価値観の自分にとっては曖昧かつ難解で悶々とする日々をすごしていた。その迷走中の自分にレールを敷いたのが、このウィリアム・ジェームズの「心理学」である。
 彼は「生理学と心理学・哲学の間の最初の思想家」と称されるように、この本は感覚、神経、意識、自我、注意、概念、弁別、記憶、想像、知覚、推理、情動、本能、意志等、驚くべきことに現代の学際的な脳科学の方向性を暗示していたような目次に分かれている。こう考えれば、この本に出会ったことが今の自分の脳-身体-環境をシステムで捉えるといった志向性、そして脳科学とリハビリテーション・教育の間の自己意識を生み出したのではないかと、この原稿を書きながら思う次第である。






大切な私の一冊
「心理学(上)」「心理学(下)」
W・ジェームズ著(今田 寛訳)
岩波文庫,1992




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2014年02月27日 22時02分02秒 | 日記
先週末、本年度のニューロリハセミナー基礎編、応用編、臨床編、研究編とすべての講座が昨日終了しました。研究編は他の編に対して10分の1の受講生でしたので、横のつながりができました。最後に受講生同士が互いに連絡先を交換している雰囲気や姿をみると、とてもうれしく思いました。私たち一人一人の力はたいしたことはないのですが、こういう場を提供することで、変化が生まれていくんだろうなと。いずれにしても関係していただいた皆様、協力してくださった皆様、そして受講していただいた方々にお礼申し上げます。

次年度の応募は4月2日(おそらく正午)からスタートします。今度はサーバーがとまらないようにいたします。10分で応募締め切りとなるかは不明です。。。追って、大学ホームページにバナーをつけUPします。

http://www.kio.ac.jp/

そして国家試験を受験した4年生。ご苦労様。うちの大学も自己採点ではありますが、良かったようです。3月31日をまたないと確定ではないので、ここでは控えますが、4月1日には初々しい姿で対象者の前に立っていることでしょう。楽しみです。おごらず浮き足立たずに。今はゆっくり休んで英知を蓄えてください。

あ、それと関係した理学療法学術大会の演題20ほど??、すべて採択されたようです。セレクション演題に4つほど?そのうち1つが昨日国家試験を受けた新卒者ですので、なんとかこの1ヵ月ほどで良い発表になるよう、皆で援助していこうと思っています。同僚&院生の皆さん助けてね。。。

大住君の論文掲載!!

2014年02月27日 22時00分38秒 | 日記
博士課程の大住君の筆頭論文「Factors associated with the modulation of pain by visual distortion of body size.」がFront. Hum. Neurosci. (IF2.9)にアクセプトされました。関係していただいた皆様に感謝します。彼には年度内にもう1本投稿してもらいます。このmotivationで一気にすすめることが大切です。やはりMoseley氏のレビューだったのね。良い厳格かつ参考になるレビューをしていただきました。

http://www.frontiersin.org/Journal/10.3389/fnhum.2014.00137/abstract

若田君の論文掲載!!

2014年02月27日 21時59分22秒 | 日記
大学院生の若田君の筆頭論文がNeuroreportのサイトにオンラインで掲載されています。道具の機能部のみの動きを観察し、自己の運動主体感が惹起する際、右下前頭回が責任領域である事を発見した研究成果です。

Brain activity and the perception of self-agency while viewing a video of tool manipulation: a functional near-infrared spectroscopy study

http://journals.lww.com/neuroreport/Abstract/publishahead/Brain_activity_and_the_perception_of_self_agency.99110.aspx