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見えない根っこ

もう20年ほど前の話だが、ある上場企業の創業50周年記念式典に招かれ、式典後の第二部の催し物が歌手の高橋真梨子のコンサートだった。
とにかく耳にやさしい肩のこらない自然な歌唱は、帰りにとてもいい気分になった。

いい映画とか いいコンサートとかは 終わったあとが いい気分になるものだ。



彼女は私が学生の頃、ペドロ&カプリシャスの前野曜子にかわって二代目のボーカルとして高橋まりという名前でデビューした。
前野曜子もハスキーでいい声だったが、高橋真梨子のほうが個性的で、穴埋めとはいえ最高の人選だったと感じた記憶がある。

以降、今日まで長い年月にわたりコンサートを主体に常に第一線で活躍しているのは すばらしい。

先日もBSに出演していたが 高橋真梨子のよさは ”無理がない“ ことじゃないか。

歌も 自分にあう 自分がうたうといい曲 を知っている。
服装も 自分にあう 自分が着るといい服や それに合うアクセサリー を知っている。
美容整形などしてなさそうだし 化粧も髪型も つくりだす笑顔も 無理がない 

無理がないのに 若々しい --- この人みたいでありたい と思う。 

普段からマイペースで ゆったりお仕事をしているんだろうなと思うと大違いらしい。
とにかくしっかりと自分が歌う曲の練習をするそうだ。納得のいくまで相当時間をかけるらしい。
そしてその姿を絶対に人に見せないそうだ。
ご主人はペドロ&カプリシャス時代からずっと一緒に彼女の音楽活動を支えている人だが 彼にさえ見せないそうだ。

それを聞いて 元プロ野球選手で三度の三冠王に輝いた落合博満選手を思い出した。
彼は普段マスコミや周囲には練習嫌いと吹聴していたが、実は人の見えないところで納得のいくまで徹底的に練習をしたそうだ。



練習とは本番の準備である。準備は客に見せない。
徹底的な準備があるからこそ、本番で最高のパフォーマンスを いとも簡単そうにさりげなく演じることができる。

これがプロなんだな。

準備は重要だから徹底的に厳しくする。その準備につきあってくれた裏方がいるから本番で脚光を浴びる自分があるんだという理由などから落合選手は実績のある選手だけで集まる名球会というOB組織の入会を拒否した。
 
そういえば数年前、ホノルルのレストランで たまたま 近くの席で 高橋真梨子がやさしそうなご主人とたくさんのスタッフの皆さんと食事をしていたのに遭遇した。その姿も芸能人にありがちなきらびやかさや威圧的なヘンなオーラもなく自然だった。もしかすると周囲へのねぎらいの食事だったのかもしれない。

もうひとつわかったこと。 高橋真梨子と落合博満に共通するのは 若いときにちやほやされず、自力で這い上がっていることだ。どちらもエリートでなくわりと転々とした青春期から 草の根的に這い上がっていることだ。

大輪を咲かせる本当のプロは 見えない土の中の 根っこが違う。

人生 若いウチにしっかりいい根っこをそだてないと 後でいい花は咲かせられないってことかあ。

ああ、手遅れ・・・
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