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備える・・・

異常な雨量が日本列島を襲い多大な被害が出ている。とにかく自然は怖い。空・陸・海・川の全てが人に恵みを与えると共に、時にこうして猛威をふるい私たちにその恐ろしさを教える。なにより普段はやさしい空気と土と水が一変し凶暴になるのである。

日本も阪神大震災、東日本の震災などの苦い経験を経て、防災意識も高まり、国や地方自治体も過去の教訓を活かして進歩はしているのだろう。

震災に対する備えは、ハード・ソフトが一体になった強固なシステムとして構築し、いざという時に活かされないと意味がない。

8月下旬に中国・天津で 化学物質倉庫で大規模な爆発事故が起きた。このとき、トヨタ自動車の天津の自動車組み立て工場で完成車だけで5千台弱の被害を被ったそうだ。幸い日本の夏季休暇に合わせて現地工場も休みだったため人的被害は限定的だったが、すぐには再開が見通せない一大事となった。

この直後の対応がすごい。

 翌日から現場で被害の確認にあたり、数日後には東日本大震災の際に現場の指揮官を務めた幹部らが現地に到着。生産設備の確認や復旧にあたるエンジニアらが応援に入り復旧の検討を開始。幹部の一人曰く「東日本大震災やタイの洪水の際の経験が役に立った」とのこと。

即座に風評被害の回避のため、事故の際に現場に置いていた完成車を販売しないことはもとより、工場の中にあった仕掛品、すなわち生産途中の車もわざわざ最後まで完成品にしてから破棄したらしい。これは一見、”わざわざ完成せず、その時点で破棄すればいいのに”と思うところだが、実はクルマというのは車両とその個々の部品が連動して流れており、いわば "ひも付き" であり、これを崩さず流しきった方が、復旧時にヨーイドンで新しい部品を円滑に流すための現場の知恵だ。ここで恐らく、工場内の仕掛品の残数量を考慮したコスト計算が即座になされたはずだ。 

あわせて もう一つの知恵は部品メーカーの被害状況の把握だ。東日本大震災の教訓を生かし、直接取引する1次メーカーに加え、2次以下のメーカーの詳細なリストも事故前からしっかり作成されておりその所在地も正確に把握できていた。だから事故直後、近隣に立地するメーカーがすぐに分かり、次の行動に移しやすかったとのことだ。

 日本からの応援の役割も大きかったが、現地社員の初動の適切さもすばらしかったらしい。ある稼働中の部品メーカーでは事故直後、作業者が列を作って整然と避難した。屋外の車両置き場では爆発の影響で1台が炎上したが、とっさの機転で周囲の車両のガラスを割って動かし、延焼を避けたとのこと。

そして、もう一つ、世界でもっとも大きな自動車メーカーの「社長」が現地に飛ぶのである。雨が降り風がひどい悪天候にもかかわらず、現場をつぶさに見て回ったらしい。そして警備員や設備の保全に携わる社員など“縁の下の力持ち”の話に重点的に耳を傾け、「不安ななか勇気ある行動をしてもらいありがとう」と繰り返したという。ある現地社員は「勇気をもらった」と話す。社員にとってこんな嬉しいことはないだろう。

実はこの工場、設立わずか15年でトヨタからの出資率は50%だそうだ。それでこれだけ、徹底したことが出来るのがトヨタならではの現場力ではなかろうか。 

規模志向で安直な結果追求だけに陥っているため事故や不具合の多い中国の生産現場事情に比して、トヨタの見せた災害へのこの準備・対応の力量を見る限り、まだまだ中国など足下にも及ばないと思うと共に、日本がこうした現場力を忘れず、突き進むことが将来の繁栄への鍵であると痛感する。世の中が変わってどんなに進化しても モノを作り続ける限り、基本は変わらない。日本の製造業の生き残るキーは、これまで培った現場力の更なる研鑽であることを確信する。

さて、豪雨災害にもどるが、先ほどのニュースで、災害対応で地方自治体によっては情報伝達、対応の混乱も語られていた。地方自治体や国も少し、トヨタに勉強に行くといいかもしれない。

それと自衛隊諸氏が 身を挺して救助にあたる真摯な姿を目にして、これらの頼りがいのある私たちを守ってくれる人を戦場に送り込んで、命の危険にさらすようなことがないようにと祈ってしまう。

私が戦地にいくならまだしも、自分は行かないクセに誰かが危険にさらされる可能性のある法案には恐ろしくて安易に賛成はできない。

自然も本当に怖いが 人間の暴走も自然災害同様、どれだけ時を経て歴史を重ねても決してなくならない。 

そういえば、今日は奇しくも忘れ難いあの「9月11日だな・・・

 

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