この時期草むしりをしていると、初めて見る雑草が思いの外はばをきかせていました。
繁殖力の強いドクダミやカラスノエンドウ、宵待草といったレギュラーもいますが、花からあっと言う間に実を結び、触れた途端に種子を撒き散らすやつもいます。
数年前、見慣れない雑草でしたが葉の縁が波打って涼し気に見えたので放置しておくと、夏の盛りを迎える頃、おそらくその種子は動物等に付着して落ちた先でふえるタイプなのでしょう、粘着性を帯び始め困ったことがあります。
また、引き抜こうとするとすんなり抜けるものと、ブチブチ切れて何とか根を残そうとしてるんじゃないかというタイプのものがあります。
それもこれも生き残る為でしょうが、次々とそれに取って代わる新しい種類が現われるのも不思議です。
そんな単純作業をしていると、しばらく会わない方や亡くなった人を思い出したりします。
アリー・オリー・ウッドソン、
ハリー・レイ.....
でなくて、
その人の物作りは.....
安定した品質は購入した人に安心感を与え、会社には多大な利益をもたらし、生地屋さんや附属屋さんはもちろん全国の取り引き先も多いに潤わせ、今思えばスーパーマンのような人でした。
目を覆いたくなるような流行には、自分の仕事で何か出来ることはないかと思案しました。
スケール・メリットの強みを活かし同じ価格帯では最も良いレベルを目指しながら、どれだけ利益をもたらすか周到に計算済みで、然るべき部署の仕事がその人の担当した部分においては軽減されました。
大学を卒業して最初に入った会社はその後飛ぶ鳥を落とす勢いだったそうで、DVDはもちろん映画の家庭用ソフトなど存在しない時代のこと、映画館の暗がりで参考になりそうな衣装を描き続けたそうです。
その時代の事を、「今思えば、その頃の仕事はプロの仕事とも呼べないものだったかもしれない」と後年しきりに気にしていたくらいなので、身内であっても出来の悪い仕事に時として辛辣だったのは当然でしょう。
ある時私がお貸しした中にとても気に入った物があったらしく、戻って来るまでの間、他のサンプルなどの一番前に掛けて毎日眺め寸法どおりにコピーしてみたり、瞼に焼き付いたかという頃には半年経っていました。
長年大量の指図書を誰にでも一発で判読可能なよう心がけた習慣からか、私信であっても同じ書体になっている等職業的なスキルで変わっていくこともあるのですが、やはり基本的に好きなんですね、程なくリクエストがあって先の品をもう一度お貸ししました。
良いものを見て「いいね」(普通の言い方です)と言ってくれる方がいなくなるのは、とても寂しいことです。
その人の後そのポジションに着いたのはスーパーマンでもクラーク・ケントでもなく、きっと古に学ぶより売れているものこそが正義という価値観の人だったかも知れません。
無から有を生み出せるタイプの人と、マーケティングに振り回され売れているものを後追いする人とでは仕事の芯になる部分が違うので、結果的に製品はどこにもあるような物になり思惑とは正反対に事は進みました。
大黒さんも、輝きを持続するのはたいへんって歌っていましたからね。
時代は下って、もうスーパーマンの仕事を見たり薫陶を受けたりしたことのない人達が商品を作っていると思いますが、昨年末のこと不振に喘いでいると聞きました。
年明けにちょっと覗くと、まさかこのブログを見てはいないと思いますが、何年か前に私が画像に使ったスコットランド製のマフラーがありました。
その製品が紳士のブランドに並んでいるのは珍しいことです。
その横には有名ブランドの帽子がありましたが、紛い物みたいな作りで.....
スーパーマンが現役だったらボツになるか、もっと本物の帽子を作れるところを探したことでしょう。
春はまた、アステアとジュディ・ガーランドの「Easter Parade」を観たくなります。
Irving Berlinの作った美しい主題歌が様々なアレンジで全編に流れるこの作品は、二人の共演が映像に残された幸福と、好きな時にいつでも観られる有難さをしみじみ感じさせてくれます。
法華の太鼓じゃありませんが、年々良くなるような気さえします。
On the avenue, fifth avenue
the photographers will snap us
And you'll find that you're in the rotogravure
Oh, I could write a sonnet about your Easter bonnet
And of the girl, I'm taking to Easter parade
という歌詞を聴いて思い浮べるのはSaks Fifth.....というわけで
シェルはスコットランドのツィード、ライニングはアルパカのパイルというコート。
まだダウンの街着がない頃、マンハッタン島の周りの川が凍るような冬にも着られるように作られたのでしょうか。ミシンの上で取り回す様が目に浮かぶような作りの、機能とファッションが過不足なく具わった一着です。
今日見ることが難しい質のスェードを使って、堅牢に作られた一足。
18×19(約45.5×48.5cm)というサイズで、1/2ダース。
アイリッシュ・リネンをクリスチャーノ・ロナウドの故郷辺りマデイラ島でヘムを手かがりし、イニシャルを刺繍したハンカチーフ。極細約1.5mm幅で乱れのないハンドロールが美しい。
重い(厚い)アルパカのポロコート。
それぞれ異なる時代の製品ですがその点と点を結んでみると、服をよく知っているしっかりした仕入れ担当者の存在が浮かんできます。
ちょっと考えにくいですが全て同じ担当者によるものだとしたら、そこにもやはりスーパーマンが存在したのかと想像するとちょっと楽しいです。
繁殖力の強いドクダミやカラスノエンドウ、宵待草といったレギュラーもいますが、花からあっと言う間に実を結び、触れた途端に種子を撒き散らすやつもいます。
数年前、見慣れない雑草でしたが葉の縁が波打って涼し気に見えたので放置しておくと、夏の盛りを迎える頃、おそらくその種子は動物等に付着して落ちた先でふえるタイプなのでしょう、粘着性を帯び始め困ったことがあります。
また、引き抜こうとするとすんなり抜けるものと、ブチブチ切れて何とか根を残そうとしてるんじゃないかというタイプのものがあります。
それもこれも生き残る為でしょうが、次々とそれに取って代わる新しい種類が現われるのも不思議です。
そんな単純作業をしていると、しばらく会わない方や亡くなった人を思い出したりします。
アリー・オリー・ウッドソン、
ハリー・レイ.....
でなくて、
その人の物作りは.....
安定した品質は購入した人に安心感を与え、会社には多大な利益をもたらし、生地屋さんや附属屋さんはもちろん全国の取り引き先も多いに潤わせ、今思えばスーパーマンのような人でした。
目を覆いたくなるような流行には、自分の仕事で何か出来ることはないかと思案しました。
スケール・メリットの強みを活かし同じ価格帯では最も良いレベルを目指しながら、どれだけ利益をもたらすか周到に計算済みで、然るべき部署の仕事がその人の担当した部分においては軽減されました。
大学を卒業して最初に入った会社はその後飛ぶ鳥を落とす勢いだったそうで、DVDはもちろん映画の家庭用ソフトなど存在しない時代のこと、映画館の暗がりで参考になりそうな衣装を描き続けたそうです。
その時代の事を、「今思えば、その頃の仕事はプロの仕事とも呼べないものだったかもしれない」と後年しきりに気にしていたくらいなので、身内であっても出来の悪い仕事に時として辛辣だったのは当然でしょう。
ある時私がお貸しした中にとても気に入った物があったらしく、戻って来るまでの間、他のサンプルなどの一番前に掛けて毎日眺め寸法どおりにコピーしてみたり、瞼に焼き付いたかという頃には半年経っていました。
長年大量の指図書を誰にでも一発で判読可能なよう心がけた習慣からか、私信であっても同じ書体になっている等職業的なスキルで変わっていくこともあるのですが、やはり基本的に好きなんですね、程なくリクエストがあって先の品をもう一度お貸ししました。
良いものを見て「いいね」(普通の言い方です)と言ってくれる方がいなくなるのは、とても寂しいことです。
その人の後そのポジションに着いたのはスーパーマンでもクラーク・ケントでもなく、きっと古に学ぶより売れているものこそが正義という価値観の人だったかも知れません。
無から有を生み出せるタイプの人と、マーケティングに振り回され売れているものを後追いする人とでは仕事の芯になる部分が違うので、結果的に製品はどこにもあるような物になり思惑とは正反対に事は進みました。
大黒さんも、輝きを持続するのはたいへんって歌っていましたからね。
時代は下って、もうスーパーマンの仕事を見たり薫陶を受けたりしたことのない人達が商品を作っていると思いますが、昨年末のこと不振に喘いでいると聞きました。
年明けにちょっと覗くと、まさかこのブログを見てはいないと思いますが、何年か前に私が画像に使ったスコットランド製のマフラーがありました。
その製品が紳士のブランドに並んでいるのは珍しいことです。
その横には有名ブランドの帽子がありましたが、紛い物みたいな作りで.....
スーパーマンが現役だったらボツになるか、もっと本物の帽子を作れるところを探したことでしょう。
春はまた、アステアとジュディ・ガーランドの「Easter Parade」を観たくなります。
Irving Berlinの作った美しい主題歌が様々なアレンジで全編に流れるこの作品は、二人の共演が映像に残された幸福と、好きな時にいつでも観られる有難さをしみじみ感じさせてくれます。
法華の太鼓じゃありませんが、年々良くなるような気さえします。
On the avenue, fifth avenue
the photographers will snap us
And you'll find that you're in the rotogravure
Oh, I could write a sonnet about your Easter bonnet
And of the girl, I'm taking to Easter parade
という歌詞を聴いて思い浮べるのはSaks Fifth.....というわけで
シェルはスコットランドのツィード、ライニングはアルパカのパイルというコート。
まだダウンの街着がない頃、マンハッタン島の周りの川が凍るような冬にも着られるように作られたのでしょうか。ミシンの上で取り回す様が目に浮かぶような作りの、機能とファッションが過不足なく具わった一着です。
今日見ることが難しい質のスェードを使って、堅牢に作られた一足。
18×19(約45.5×48.5cm)というサイズで、1/2ダース。
アイリッシュ・リネンをクリスチャーノ・ロナウドの故郷辺りマデイラ島でヘムを手かがりし、イニシャルを刺繍したハンカチーフ。極細約1.5mm幅で乱れのないハンドロールが美しい。
重い(厚い)アルパカのポロコート。
それぞれ異なる時代の製品ですがその点と点を結んでみると、服をよく知っているしっかりした仕入れ担当者の存在が浮かんできます。
ちょっと考えにくいですが全て同じ担当者によるものだとしたら、そこにもやはりスーパーマンが存在したのかと想像するとちょっと楽しいです。