Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

黙々と.......

2011-03-16 | Others
 須賀さんの「トリエステの坂道」に収められている『重い山仕事のあとみたいに』に描かれた、フォルガリアのグロブレクナー氏のように、寡黙でも温かい気持ちをもった人々というのがいます。
子供の頃、そういうタイプの人たちが少なからず周りにいました。



結婚後まとまった休みが取れると、新しく縁者となる人々を訪ねて津々浦々まで挨拶に出かけました。新幹線に乗る以上の時間を、車に乗らなければ辿り着かない土地があることを実感したのもその時です。

口をあまり開かないで、語尾をあげるように「ナガジュバン」と発音すると、なんだかフランス語みたいに聴こえますが、土地の人同士が喋っている中にいると、半分以上は聴き取れず、柔らかく心地良い音に聞こえました。

そんな中、やはり寡黙でもそっと気を遣ってくれるようなタイプの人々がいます。
言葉のやり取りでは十分とは言えなかったかも知れませんが、想像力で補って、何とか予定を終えて帰りました。

その後会う機会は数えるほどですが、季節には産品を分けてもらったり、欠かさず遣り取りがありました。
最寄りの市街地に住む親戚が「ハマの人達」と呼んでいた、そういう素晴らしい人柄の人々が対岸を震源とする今回の大震災で、どうやらすべてさらわれてしまったかも知れないといいます。
黙々と仕事をこなしながら陽気な、あんなに良い人達がのみ込まれてしまったかと思うと切ないです。
まだ正確なことは伝わって来ませんが、一人でも多くの方々の生還を願うばかりです。

ご存知ない方には重い内容で申し訳ありません。
メール等でご心配をいただいた皆様、ありがとうございました。
今日、同じ半島でも助かった集落があったという知らせを受け、望みが繋がりました。


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