Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

マヨナカは英語でMidnight

2011-06-15 | Jazz
 一緒に仕事していたメンバーで、一度だけしゃぶしゃぶ食べ放題に行ったことがありました。皿が空になる頃、やけに気の利く店の人がおかわりを勧めてくれます。
思いっきりビール飲んで、ほぼ切れ目なく食べ続けるので、しばらくするとさすがに苦しくなりました。
「次に店の人来ても、断ろう」と言っときながら、「おかわりいかがですかー」と聞くと、お約束のように「じゃ、お願いします」と誰かしら言うのも困りものです。
食べて笑って、あまりに苦しかったので、二度目の話は誰も言い出しませんでした。



以前書いたかどうかはっきりしませんが、「皿の上の人生」等サービス業関連の話が面白かった野地秩嘉さんの、「サービスの天才たち」という一冊を電車に乗る前に見つけました。

今回はキャディ、タクシー運転手、床屋さんなどが取材されていますが、一番面白かったのは人間じゃなくて、豊後牛の種牛「糸福号」の話でした。

「牛はね、頭をなでてあげるとすごく喜ぶの。糸福は雄なのにすごくおとなしくて、私たちの言う通りに、はいはいと動く子だった。畜産試験場に上がってからも、会いに行くとモーッと鳴いてそばに寄ってきたもの」というくらい大事に育てられ、約400頭の雄から選ばれた5頭として種牛の生活に入ったそうです。

そうして働いた14年間に生産された糸福の子は、肉牛として約180億円の売上をもたらし、野地さんが書くのには「一介の牛としては位『牛臣』を極めたといっていい」という評価を得ました。
通常種牛としての仕事をおえると、廃牛という扱いをうけるところ、多くの人の請願により特例で天寿を全うしました。豊後牛の評価を向上させた糸福は、39,157頭の子を残したそうです。

対象が牛だからでしょうか、話のトーンはユーモラスなのですが、最後、野地さんは「そんな種牛たちの気持ちを思えばステーキもしゃぶしゃぶも一片たりとも残してはいけない。今後、牛肉食べ放題の店で牛肉を食べ散らかしている人間を見つけたら、私は天国にいる糸福の代わりに怒鳴り付けてやろうと思っている」と書いています。

私たちがしゃぶしゃぶに行ったのは、野地さんがこれを書く前のことでしたが、無理にもすべて胃に収めておいてよかったです。

ところで、「面白うて、やがて悲しき」種牛の話を読んで思い出したのは、数年前に遅く帰るとたまたまやっていた番組です。ドーモ君が出没するあたりの時間帯に、たいへん堅い感じのご婦人が、おそらく自論を展開したあとだったのでしょう、締めに「夫婦の営みを子孫繁栄以外の目的にいたすのは如何なものか」とかなり断固たる調子で語っていました。
ギリシャ人やフランス人だったらどんな反応があるでしょう.....、そこの部分しか観ていませんが、未だに現実だったのか定かでありません。




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