Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

Milano

2021-08-04 |  その他
梅雨が明けましたが、連日湿度高め体感温度高めの日々が続いてます。
2年間湿度に悩まされ続けたトラウマか、移転して初めての梅雨がどうなるか非常に気になっていましたが、まったく問題なくやり過ごせたことに一安心です。

そして今は連日オリンピックに一喜一憂で、終わったら抜け殻のようになるんじゃないかと心配です。
それまで絶対的な存在だった人が切り開いた道を、更に押し進める若い選手が現れるのを何度も観てきました。
人類が100メートルを5秒で走れるとは思いませんが、どんな競技も限界を少しづつ更新し続けています。
そういった瞬間にひきつけられ、知らず知らず見入ってしまうのかもしれません。

その前少し自由な頃、人数制限を守りながらお誘いいただく場合にはたいてい参加しました。
大人数で楽しくという訳にいかないのが残念ですが、やはり声をかけて頂くのはたいてい服好きの方ばかりで、競技ではありませんが話しているとそういう方々の足音がヒタヒタと迫って来るのを感じます。
それくらい皆さん散財したり失敗を繰り返したり、それぞれに工夫をこらしながら好きを維持というか興味を熱心に育てているので、互いに話してる内容は他人からは笑い話に聞こえるかもしれませんが、生業にしている平均的な人も凌ぐレベルです。



先日初めて伺った方は、状況が改善され次第ミラノに行くので「ミラノで恥ずかしくないスーツを」というリクエストでした。
以前にも書いた話ですが、イタリアで洒落た街やそれに見合ったお洒落な男性がいる都市はもちろん日本より多いですが、唸るような人がゴロゴロいる訳でもありません。
ただ平均的なレベルが日本よりずっと高く、その全体的な雰囲気を支えているのは一定年齢以上のクラシックな装いをした男性と、美意識が高く男性のそうした装いの価値も理解しているご婦人方です。

中でもミラノはそういう意識が他よりずっと高い街という印象があります。
不況以降行っていませんからどう変化したか分かりませんが、一昨年懇意の方がミラノへ寄って、馬具と靴の店だったスティヴァレリア・サヴォイア・バッリーニという店がトータルアイテムを扱う"Stivaleria Savoia"となり、とても活気のある店内だったという話を聞かせてもらいました。

「今迄行ったどこの店よりも、他の客の圧を感じた」という話を聞いて、ルチアーノ・バルベラが相対した人の服を上から下まで眺める儀式や、色々な店での視線や質問責めにあったことを思い出しました。



また紳士服店を出たあと家内が、
「さっきの店で背後にいたオジサンが、商品も見ないでずっと上から下まで見てたの気づいた?」
と教えてくれるのもミラノが一番多かったと思います。それくらい男性も着る物に心血を注いでいるように見えます。

そんな手強い街にも、バルベラみたいな人はそうはいません。
服はいいけど靴が何かおかしいとかその逆だったり、ホーズなどコーディネイトやバランスを含めてこれはというような人は3日くらいいても一人いるかいないか。

注文頂いた方は業界の方ではありませんが、そのスーツがミラノでの仕事や人間関係を円滑に進めるパスポートになってくれたら、これ以上の喜びはありません。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする