HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

アジア攻略の糸口は見えたか。

2011-09-16 12:09:13 | Weblog
 さる9月14日、ファーストリテイリングが2011年の事業戦略説明会を開いた。出席者は世界中から招集されたスタッフ、
および株主、メディアなど。壇上には同時に発表された「 ユニクロ イノベーション プロジェクト」に携わったクリエイティ
ブディレクターの佐藤可士和、デザイナーの滝沢直己の姿もあった。
 柳井正社長は以前に語っていた「ユニクロがグローバルブランドになり世界中のあらゆる人に、本当に良い服を楽しんで
いただく存在になる=世界一のアパレル製造小売業になる」を繰り返しながら、具体的な数値目標として「2020年 売上高
5兆円 経常利益1兆円」を公言した。
 攻略先のメーンはアジア市場のようで、中心都市にその国の旗艦店をつくり、総出店数は中国100店舗、韓国50店舗、台
湾30店舗という。

 市場規模を考えると、世界で一番人口が多いのはアジアだから、この戦略は間違ってない。また、歴史と伝統に裏打ちさ
れた技術とクリエーションの宝庫で、常に発信されるトレンドに左右される欧米より、ファッションにまだまだ関心が薄い
アジアの消費者の方がFRのブランド、テイストの双方で洗脳しやすいと考えたのも理解できる。
 特に中国は南に下ると、気候は温暖湿潤、亜熱帯になる。1年を通してTシャツやジーンズで過ごせるわけで、それはユニ
クロが最も得意とするアイテムだ。逆に北上すれば冷帯、寒帯に入る。こちらもヒートテックやダウンジャケットという武
器があるので、十分に攻めることができる。
 経済発展が著しい北京や上海ならホワイトカラー向けのビジネススーツも必要だが、地方都市は工場や農村で働くブルー
カラーが主体。ロードサイドでカジュアルの方が売れるのは、火を見るより明らかだ。

 中国国内では増値税の還付がないため、ユニクロは高級ブランドで、一般国民の年収からすれば決して安い商品でない。
しかし、ザラはハルピンや長春、 H&Mは成都や重慶、オランダSPAのC&Aは瀋陽や無錫などの地方都市にも続々進出して
おり、彼らより先に中国でのシェアを取らなければ、グルーバル企業にはなれないとの危機感もあると思う。
 まあ、柳井社長にしてみればアジア発のFRだから、市場に対する感性もマインドも一番近く、ビジネス戦略でも十分勝算
はあるという考えだろう。
 柳井社長は発言中、居眠りしているスタッフに向かって、「聞く気がなければ、会場から出て行ってください」と辛辣な
言葉を浴びせた。そんな状況のみならず時々売場で突っ込んだ質問をすると、明確に説明できないスタッフはいる。柳井社
長の思惑とスタッフの意識には、まだまだ乖離があるように思うが。
(…続く)
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