富山きのこクラブ

富山のきのこ情報・きのこ料理の情報が集まります。

きのこ顕微鏡観察入門講座

2007年06月17日 | きのこ

友の会きのこ部会のきのこ顕微鏡観察入門講座が開かれました。

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講師は中央植物園の橋屋さん、参加者は4名。今回のテーマは「子のう菌類」 で、最初に子のう菌類の形態的特徴の解説(きのこのどの部分に胞子ができるか?)が有り、続いて盤菌類の生活史のお話がありました。 Dscn1703 070617_kuronoboriryutake2 070617_kuronoboriryuutake




昨日、吉峰の樹木園で採取したクロノボリリュウタケを覗いてみました。胞子には大きな油滴(Oil drop)が1個…きれいに見えました。
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クロチャワンタケ(?)、ナガエノチャワンタケ、シャグマアミガサタケ(2個の小油滴を含む)の胞子も観察しました。ミクロトームを借りて薄切りに挑戦しましたが…うまく行きませんでした。
070617_yuryreaction 子のうの先のメルツァー反応(ユーリッヒ反応)も観察することができました。


ホソツクシタケの分生子

2007年06月10日 | きのこ

富山きのこクラブの皆様
先日、吉峰の樹木園で見つけたホソツクシタケを見てみました。
橋屋さんのコメントによると、白い粉状のものは分生子ということで…確か冬虫夏草の観察の時に出てきた言葉でした。

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5~7μm×3μmの胞子(分生子?)が観察されましたが、浅井さんの「きのこ雑記」に記載されている子嚢殻や子嚢は見つかりませんでした。
橋屋さんのメールに有った子嚢菌の生活環を調べてみました。
「子嚢菌は無性世代(不完全世代=アナモルフ)と有性世代(完全世代=テレオモルフ)を繰り返す。不完全世代は半数体で、生殖器官として造嚢器と造精器を形成し、これらが接合して二倍体の完全世代となり、子嚢を作る。ただし二倍体の菌糸はほとんどのものでは子実体にのみ限定される。子嚢菌は完全世代を基準として分類されている。」とのことで、このサンプルももう少し時間が経つと子嚢を形成し、子嚢胞子を作るのでしょう。
しかし、ひとつの子実体内の細胞が接合するということなのでしょうか?
4つの隔壁を持つ細胞が観察されましたが…私の取り扱い方が雑で他のサンプルが混じったか?…たった1つしか観察されませんでした。これはホソツクシタケの分生子が「細胞の分割によって形成されるタイプ」という事なのでしょうか?
乾燥標本を削り出したのでとても厚く、まるで断崖絶壁の上から崖に生えている山菜を探しているような気分でした(^^;
疑問ばかりでしたが時間切れで…これから東京へ移動です。
顕微鏡講座を楽しみにしています。
_/_/_/_/ 伊藤でした。 _/_/_/_/ /p>


子のう菌類の生活環

2007年06月06日 | きのこ

富山きのこクラブの皆さんへ

植物園の橋屋です。
今度の顕微鏡講座で子のう菌類を取り上げることにしましたので、子のう菌類の生活環を調べていましたらわからないことに出くわしました。

シイタケやマツタケなどの担子菌類は、胞子の中に生殖に必要な半分の遺伝子を持っています(nの状態:動物の精子や卵子も同じ状態)。この胞子が生活によい場所にたどり着くと菌糸が伸び始めますがこのとき菌糸細胞の中にある核の遺伝子もnの状態です(これを一次菌糸と言います)。
次に近くに同じ種類の一次菌糸で相性の良い相手(相手によってはくっつかないことがあります)がいると、菌糸細胞が融合して一つの細胞の中に2つの異なる核をもつ状態の菌糸ができます(この菌糸を二次菌糸と言います。状態は2n)。
この二次菌糸が伸びて生育し、きのこを作ります。ですからきのこは二次菌糸から出来ています。
担子胞子ができる時は、この2つの核がいったん融合し減数分裂をして胞子ができるため、胞子はまた最初のnの状態になります。
難しそうですが、図を描くと比較的簡単です(興味のある方は顕微鏡講座等で質問してください)。

では本題へ。
子のう菌類はどの段階で2nの状態になるかですが、国立科学博物館の細矢さんにお聞きしたところ、子のう胞子ができる前のほんの短時間だけだそうで、丁寧な図版もいただいて説明していただきました。
細矢さんの説明では、子のう菌類のきのこ(チャワンタケやアミガサタケのきのこなど私たちの目にふれるもの)はnの状態だそうです。
子のう菌類は分生子というまた異なった生活環も知られていますので、とっても面白いです。

今回の事は私も勉強不足でしたので、すごく興味深く思いました。
このお話はよりわかりやすく噛み砕いて、今度の顕微鏡講座の頭でお話しようと思います。
ぜひおいでください。

_/_/_/_/_/ 富山県中央植物園  橋屋 誠 _/_/_/_/_/


宮崎鹿島樹叢に行ってきました

2007年06月04日 | きのこ

富山キノコの皆様

先日富山県際東部の宮崎鹿島樹叢に行ってきました。
ここは、スダジイ、アカガシ、タブノキなどの常緑広葉樹が数多く茂る天然記念物の森です。
以前より何回か足を運ぼうと思っていましたが、今回となりました。

Dsc03408Dsc03424写真は、ベニヒダタケ(Pluteus  leoninus)、とクロサイワイタケ属のハマキタケ様不明種(マメザヤタケの白いタイプ?、が多量に林立)。ベニヒダタケは一度岩見沢で会っている。・・確か6月だったような。
以前から見てみたいキノコに『6月の花嫁』にまつわる。この仲間で別名ベニガサハナヨメ(ヒイロベニヒダタケ)がある。こちらはさらに紅を引いた様に赤く。傘の縁は一回りした角隠しのように白く可憐な様相であるといわれています。
まだまだ巡りあっていないキノコがあるし益々不明種が増えるし困ったものだ。その他にクロハナビラタケ、ナラタケ、シイタケなどが見えていました。
富山遠く、新潟県にもだんだん用事が多くなってきた山田です。
_/_/_/_/ おしまい _/_/_/_/


山田様
富山きのこクラブの皆様へ
植物園の橋屋「です。

>先日富山県際東部の宮崎鹿島樹叢に行ってきました。

非常に面白い場所ではありますが、国の特別天然記念物というしばりがあるため、採集許可を受けるのがものすごく難しいようなため、まだ申請をしたことがありません。(多分許可がおりるとすれば環境省大臣名だと思います。)
採集はできませんが、歩くのは問題がありませんので、ぜひ一度は鹿島樹叢へ足を運んでください。

> 写真は、ベニヒダタケ(Pluteus  leoninus)、とクロサイワイタケ属のハマキタケ様不明種(マメザヤタケの白いタイプ?、が多量に林立)。
クロサイワイタケ科マメザヤタケ属でいいと思います。
白く見えるのは表面に分生子が出来ているためで、子のうの成熟は秋になるかと思います。
(先日伊藤さんが樹木園で採られたホソツクシタケ(ホウノキの落果に生える)も分生子の状態でした。)
ウラベニガサの仲間は色や形のきれいな種類が多いですね。
また顕微鏡的な特徴もあって、北海道の竹橋さんや東京の星さんらが研究されています。
北陸でもこの仲間を研究される人が出てきたら面白いだろうなあと思います。
_/_/_/_/ 富山県中央植物園 橋屋 誠 _/_/_/_/_/


ベニヤマタケ

2007年06月03日 | きのこ

富山きのこクラブの皆様
昨年に続き人形山の山開きに行って来ました。(6月第一日曜日)
登り3時間15分(昨年2時間55分)体力落ちているのか?

頂上では”加賀白山”が見事な姿を見せてくれパノラマ展望台でのビールはまさしく極旨でした。
天気予報では、午前中晴れ、午後は雲が出て来るとの事でしたがピッタリ12時を過ぎたところでガスが出て来て周りは何も見えない状態になりました。
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標高950m付近にて橙色でぬめりが無い鮮やかなキノコが所々に有りました。
持参のハンディタイプのきのこ図鑑には見当たらず、帰って調べるにベニヤマタケであろうと思う。
_/_/_/_/_/ 四ツ木 _/_/_/_/_/

四ツ木様、富山きのこクラブの皆様へ
植物園の橋屋です。
いやあ、面白いきのこですね。
春の季節、ベニヤマタケと思われるきのこには何度か逢ってはいますが、同定に自信がなくて富山県のリストには上げていません(標本もありません)。ぜひ標本をいただければと思います。
この写真を見ながら、原色日本新菌類図鑑Ⅰに載っているアカヤマタケ科の検索表を見てみました。
節(属の下の分類群)は、外形や色からベニヤマタケ節になります。
その次にベニヤマタケ節の検索表では、傘に細かな鱗片がないことからザラツキキヤマタケ亜節ではなく、ベニヤマタケ亜節であることがわかります。
さらにベニヤマタケ亜節の検索表では、途中まで行けるものの、胞子の幅と長さがキーになるため最終的な種名まで到達しません。
  もし四ツ木様の予定が合えばですが、今度17日と24日に植物園で行われますきのこの顕微鏡講座にこのきのこを持って来ていただき、自分の目でサイズを測って種名をきめられませんか?
講座は午後1時から、植物園2階実習室で行います。
_/_/_/_/_/ 富山県中央植物園 橋屋 誠 _/_/_/_/_/