富山きのこクラブ

富山のきのこ情報・きのこ料理の情報が集まります。

お知らせ

2008年06月29日 | きのこ

富山きのこクラブの皆様

 北陸きのこ会3県交流会
Ⅰ.日時:平成20年7月5日(土)~6日(日)
Ⅱ.開催地
1.採集:金沢市俵町キゴ山及び医王山周辺
2.同定会及び講演会:金沢市俵町テ甲18
  「金沢市キゴ山自然学習館」TEL 076-22-3035
3.宿泊場所:金沢市板ヶ谷町イ-50
  「銭がめ」TEL 076-235-1426
Ⅲ.講演会
1.講師:糟谷大河氏
  (筑波大学農林学系 植物寄生菌学研究室)
2.演題:砂浜海岸のきのこ
Ⅳ.日程
7月5日(土)
 ☆集合及び受付
  9:30~10:00  『金沢市キゴ山自然学習館』
 ☆きのこ採集
  10:00~12:00  金沢市キゴ山周辺
 ☆昼食
  12:00~13:00  『金沢市キゴ山自然学習館』
 ☆同定及び顕微鏡観察
  13:00~14:30  同上
 ☆講演会
  15:00~16:00  同上
 ☆移動
  16:30~17:00  宿泊場所『銭がめ』
 ☆懇親会
  18:00~20:00  『銭がめ』
 ☆勉強会
  20:00~     (会員によるきのこスライド等)

7月6日(日)
 ☆移動
  8:00~8:30   『金沢市キゴ山自然学習館』
 ☆きのこ採集
  8:30~10:30  金沢市医王山周辺
 ☆同定及び顕微鏡観察
  10:30~12:30  『金沢市キゴ山自然学習館』
 ☆ 昼食
  12:30~13:00  同  上
 ☆ 解散
  13:00
Ⅴ.参加費:
 A 1泊2日(懇親会、6日の昼食含む)
   ⇒15,000円
 B 宿泊せず懇親会・採集会・講演会等に参加
   ⇒8,000円
 C 採集会・顕微鏡観察・講演会参加
   ⇒1,000円 

※ 金沢市キゴ山自然学習館の周辺には食堂等はありませんので、5日は弁当をご持参下さい。

 第4回定点観察会
日時:7月12日(土) 9:00~
場所:薬勝寺池公園

 第30回きのこ観察会
日時:7月20日(日) 10:30~15:00
場所:立山町栃津 県林業試験場樹木園
集合:吉峰交流館前


顕微鏡講座パート2

2008年06月22日 | きのこ

富山きのこクラブの皆様

久々の雨空で、早朝決起して鮎釣りに出かけたNさんも「水嵩が増してきた」と昼には戻ってきました。しかし…この雨は恵みの雨ですよネ。
中央植物園で第2回の顕微鏡講座がありました。今日の参加は5名、テーマは前回と同じ「薄く切る!」です。

20日に行われた菌学教育研究会の顕微鏡講座のテキストが配られました。
Dscn0222
前回、おおよその手順を教わったので、割とスムーズに作業を進めることができました…かな?

Dscn0215
Dscn0216
Dscn0217
妻が自慢げに見せた切片…今回は双眼実体顕微鏡を器用に操り、美しく切れています。
Dscn0220
フロキシンで染めた後、屈曲してしまった私の切片。
Dscn0218
「ウフフ、あなたの根性と一緒ね…」

「薄く切る」方法はミクロトームだけではなく、ケースバイケースで様々な手法を使わなければならないそうです。
これだけは、自分で場数を踏んで会得しなければならないテクニックですね。
_/_/_/_/_/ 伊藤 春雄 _/_/_/_/_/


学術交流会

2008年06月20日 | インポート

某研究会との学術交流会があった。
朝、上越新幹線に遅れが出て、結局2名の方が工場見学できないこととなった。
副会長も同じ列車で移動していたようで、昨日掛かっていた招集も解除されたようだ。それにしても、副会長の最終講演・歓送パーティとバッティングするなんて…とんでもない日を選択したものだ。
所長の挨拶も、当社の発表も無事に終了し、つつがなく懇親会も終了した。
帰りに、担当者とご苦労さんをやったら…現状の組織について散々愚痴をこぼされてしまった。

一昨日から北陸も入梅したそうだ…岩瀬運動公園のヤマドリタケ群はどうなっているのだろうか?橋屋さんたちは浅井さんの顕微鏡講座を聴講して満足されているのだろ…羨ましい限り。明日は、鮎の解禁日。明後日は顕微鏡講座。


レモン色系のモリノカレバタケ属菌

2008年06月16日 | インポート

富山きのこクラブの皆様

有峰/砥谷半島のぶなの樹下で見つけた「コガネカレバタケ」について、井口さんからコメントを頂きました。とても興味深い内容でしたので、井口さんにお許しを頂いて、ここに転載します。
Dscn0174
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
伊藤春雄 さま:
 コガネカレバタケに対しては、「青森のきのこ(工藤伸一ら、1998)」の中でCollybia subsulphurea Peckの学名が当てられ、いちおう日本産のきのこ戸籍簿に追加されたことにはなっていますが、日本産の標本に基づく詳しい記載はまだ与えられないままになっています。
 「コガネカレバタケ」らしいきのこは、ネット上での情報検索などによれば、秋田・富山・千葉・神奈川・京都・兵庫・広島・三重などから見つかっているようですが、いかんせんこれらの情報のもとになった実物標本を詳しく検討することが難しくて困っております。

 学生時代(1981年)、北米ロッキー山脈内での某きのこの会の採集会で、Orson Miller博士から教えてもらった C. subsulphureaは、外観はやせ形のニガクリタケといった風情で、柄やかさは幼時からレモン色を呈し、柄の基部に付着した根状菌糸束は淡いオレンジ褐色(乾くと肌色)となり、柄の下方は完全に平滑なものでした(いまでも乾燥標本は保管してありますが、検疫を通過してないので、おおっぴらに発表できません^^;)。
 なお北米産の標本は、充分に湿った時には、かさの周辺部に短い条線を生じるが、オリーブ色を帯びることはない」という Miller博士の説明でした。

 長沢栄史先生も指摘しておられたのですが、「青森のきのこ」に図示されたものや、私が神奈川県川崎市(生田緑地)で採取したものは、柄が顕著にオレンジ色を帯び、かさは湿った時にもほとんど条線をあらわさない点で C. subsulphureaとするには疑問があります。神奈川県産の標本では、柄の下部はオレンジ色の粗毛を有することが多く、根状菌糸束はほぼ白色でしたので、やはり C. subsulphureaの学名を当てることには無理があるような気がしています。

 また、京都(スギ林)で採集したものは、幼時はかさが顕著にオリーブ色を帯び、湿った時にはかさの周縁部に短い条線をあらわすものでした。最初は「針葉樹林生でかさがオリーブ色を帯び、かさの縁に短い条線を生じるもの」と「広葉樹林に発生し、かさが最初からレモン色で、かさの縁にはまったく条線を生じないもの」の二つに分かれるのかと考えましたが、これらは、現時点での私的観察データに基づく限りでは同一種の変異とみるべきか、と最近では思っています。
 いずれにしろ、日本産のものに C. subsulphureaの学名を与えるのは現時点では無理があると思われます。C. subsulphureaは、もともと北米産の菌ですので、北米の菌を実際によく観察してから出ないと学名を決めるのは無理かな、と考えます(良心的なきのこ研究者としては)。

 なお、千葉県では、2~3月ごろにメタセコイア・ラクウショウ・コウヨウザン・スギの樹下のりター上に発生する類似種(これも学名はまだ未決定ですが)があります。
 この菌は、成熟しても、かさがやや緑色を帯びたレモン色(日本茶のような色)を呈し、ひだや柄はレモン色で、根状菌糸束も帯緑黄色を呈しています。担子胞子が、モリノカレバタケや日本産の「コガネカレバタケ」と比べて短くて丸みが強いことに加え、かさの表皮の構造においても異なるもので、北米で採集した C. subsulphureaと日本産「コガネカレバタケ」の中間のようなきのこです。
 C. subsulphurea≠「コガネカレバタケ」≠千葉県産の黄色い菌、ということで、「日本には黄色いCollybiaが二種分布するが、二種ともに、おそらくは北米産 C. subsulphureaとは別種であろう」というのが、今の時点での私の見解です。
 かさが黄色くブナ帯に生える菌(「青森のきのこ」や「北陸のきのこ」に図示されたもの)と、京都などから見出された菌(針葉樹林に発生し、かさが幼時にややオリーブ色を帯びるもの)とが同一種なのかどうかはさらに検討する必要がありますが、「針葉樹林生で緑色を帯びるもの」もまた、北米産の C. subsulpureaには当てはまりません。

 いずれにしても、まだ標本があまりにも少なすぎますので、逆に、レモン色系のモリノカレバタケ属菌が採集されましたら、ぜひ小生のもとへお送りいただきたいとお願いしたいところです。
 問題提起だけに終わってしまって恐縮ですが、協力して「黄色い Collybiaの正体」を明らかにしていきましょう♪

PS:生田緑地産の標本に基づく記載は、大略、以下のとおりです:
かさは粘性を欠き,径 1.5-5?程度,鈍黄色(中央部は橙黄色~橙褐色)を呈し,弱い吸水性を示す.ひだは密で幅狭く,柄に上生する.柄は長さ3~6cm,径4~8?程度,時に平たく偏圧され,橙黄色~淡橙褐色を呈し,基部は淡褐色の粗い毛状菌糸を備え,中空である.
担子胞子は一端がやや尖った楕円形~種子形で無色・平滑,非アミロイド性,時に微細な油滴を含み,大きさ 5.0-6.7×2.9-3.8μmである.側シスチジアはなく,縁シスチジアは円筒形で時にY字状に分岐し,無色・薄壁で大きさ 10.5-29.8×5.0-8.0μmである.かさの表皮はモリノカレバタケ型(菌糸はしばしば分岐し,かさの上面観においては不規則に絡み合う)をなし,構成菌糸の外面にはしばしば淡黄色の色素塊が不規則に沈着する.菌糸は多数のクランプを備える.
コナラ・シロダモ・シラカシなどを主とする広葉樹のリター上に,束生あるいは点々と発生する.
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/