富山きのこクラブ

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子のう菌類の生活環

2007年06月06日 | きのこ

富山きのこクラブの皆さんへ

植物園の橋屋です。
今度の顕微鏡講座で子のう菌類を取り上げることにしましたので、子のう菌類の生活環を調べていましたらわからないことに出くわしました。

シイタケやマツタケなどの担子菌類は、胞子の中に生殖に必要な半分の遺伝子を持っています(nの状態:動物の精子や卵子も同じ状態)。この胞子が生活によい場所にたどり着くと菌糸が伸び始めますがこのとき菌糸細胞の中にある核の遺伝子もnの状態です(これを一次菌糸と言います)。
次に近くに同じ種類の一次菌糸で相性の良い相手(相手によってはくっつかないことがあります)がいると、菌糸細胞が融合して一つの細胞の中に2つの異なる核をもつ状態の菌糸ができます(この菌糸を二次菌糸と言います。状態は2n)。
この二次菌糸が伸びて生育し、きのこを作ります。ですからきのこは二次菌糸から出来ています。
担子胞子ができる時は、この2つの核がいったん融合し減数分裂をして胞子ができるため、胞子はまた最初のnの状態になります。
難しそうですが、図を描くと比較的簡単です(興味のある方は顕微鏡講座等で質問してください)。

では本題へ。
子のう菌類はどの段階で2nの状態になるかですが、国立科学博物館の細矢さんにお聞きしたところ、子のう胞子ができる前のほんの短時間だけだそうで、丁寧な図版もいただいて説明していただきました。
細矢さんの説明では、子のう菌類のきのこ(チャワンタケやアミガサタケのきのこなど私たちの目にふれるもの)はnの状態だそうです。
子のう菌類は分生子というまた異なった生活環も知られていますので、とっても面白いです。

今回の事は私も勉強不足でしたので、すごく興味深く思いました。
このお話はよりわかりやすく噛み砕いて、今度の顕微鏡講座の頭でお話しようと思います。
ぜひおいでください。

_/_/_/_/_/ 富山県中央植物園  橋屋 誠 _/_/_/_/_/


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