深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

2022年夏アニメの感想と評価

2022-09-30 12:14:03 | 趣味人的レビュー

2022年夏期は普段の期より若干少なくて、1本の再放送を含む12本のアニメを見た(うち途中切りは1本)。ただ、その中の『異世界おじさん』は、スタッフのコロナ感染により今期は第7話までで放送休止になってしまい、改めて2022年秋期に放送されることになったので、再放送の1本とこの『異世界おじさん』を除く10作品について、レビューと評価を行った。

なお私の場合、何より物語が面白いことが重要で、作品全体の評価の少なくとも半分はそれで決まる。逆に萌えやエロといった要素にはさほど興味はないし、作画崩壊が仮にあっても、作品全体の雰囲気をぶち壊すほどヒドくない限り、問題にはしない。

※作品の並びは50音順

『アオアシ』後半

サッカーJリーグの名門、東京シティ・エスペリオンのユースチームへの入団を果たした主人公、青井葦人(あしと)だったが、そこで自分がサッカーの基本を何も分かっていなかったことを突きつけられる。その上、FWとして世界に出て行くことを夢見ていた彼は突然、監督からSBへの転向を言い渡され…。
プロ・スポーツ選手の物語でも、高校の部活動ものでもなく、将来のプロを目指して苦闘するユースチームを舞台とした物語としての色彩が、この第2クールでより鮮明になった。一部のサッカーファンからは批判もあるようだが、私はサッカーのことはほとんど何も知らないので、その批判が正当なものかどうかは分からない。ただ物語として面白いかどうか、ということなら、面白い。マンガ連載は今も続いているようなので、最後までアニメ化するかどうかは分からないが、2期があるなら見たい。評価は前半はC~C+だったが、後半はB-~Bで、1期を通してはB-。

『彼女、お借りします』2期

彼女に振られてボロボロに傷ついた大学生、木ノ下和也がレンタル彼女を借りることに。やってきたのはS級のレンカノ、水原千鶴だった。夢のような時間を過ごして彼女のことを忘れられない和也だったが、実は彼女は同じ大学の学生で、しかもアパートは隣の部屋だったことが判明。別の2人のレンカノに加えて振られた元カノにまで言い寄られるようになって右往左往する和也だが、本心は完璧なレンカノを演じながら素は超高飛車な一ノ瀬千鶴(本名)に振り向いてもらいたくて…。
主人公の和也は普段はダメダメなのに、ここぞという時にバチッと男気を見せて女たちをキュンキュンさせ、今は(一応、水原を含む)4人の美女たちに思いを寄せられるハーレム状態。でも本命の水原とだけはなかなか上手くいかない…。和也は1回3万の水原を毎週レンタルするため、バイト三昧の生活を送っている。実家がコンビニで、大学を卒業したら実家を継ぐので将来も食いっぱぐれることはない(から、女優を目指している水原を自分が支えてやれる)と思っているようだが、それってちょっと考えが甘すぎないか?
さて、これを見た男の中には、「俺はまだ本気出してないだけ。俺だって本気出せば、和也くらいになれる」と勘違いするヤツが一定数いるだろうが、もちろんそんなのはただの思い込み。「俺はまだ本気出してないだけ」なんてヤツは、永久に本気出すことはないから(*´艸)(艸`*)ネー。
一言で言えば、モテない男の妄想をそのまま描いただけのマスターベーション的な作品ではあるが、私も男なので割り切って見ればそれなりに楽しい、ということで評価はD+~C-。ちなみに3期の制作も決定したとか。

『組長娘と世話係』

バリバリの武闘派ヤクザの男が突然、組長から娘(小学生)の世話係を命じられ、それを通じて彼自身も変わっていく。
設定は『SPY×FAMILY』と重なる部分が大きいが、個人的には『SPY×FAMILY』の数倍面白い。私は『SPY×FAMILY』の2期は見ないつもりだが、『組長娘と世話係』は2期があるならゼヒ見たいと思う。で、その差はどこにあるのかと考えてみた。1つは設定の本気度かもしれない。『SPY×FAMILY』は父親役がスパイで母親役が殺し屋という設定だが、それはあくまで作品の味付けであって、スパイや殺し屋という部分をマジメにやる気がないのは明かだ。それに対して『組長娘と世話係』は(基本ギャグテイストなので、そこまでシリアスでもリアルでもないが)ヤクザ、暴力団の世界をある程度ちゃんと描こうとしている。例えば主人公で「悪魔」と呼ばれる武闘派ヤクザ、桐島透を演じる細谷佳正は「彼は人の顔面を鉄パイプで全力で殴れる人間で、その部分はぶれずに演じたい」という趣旨のことを述べている。そこが設定が単なる振りだけの『SPY×FAMILY』とは大きく異なるところである。
評価はB-~B。

『サマータイムレンダ』後半

和歌山県沖の小島を舞台にしたSFホラー・サスペンス。春期に放送された前半は『妖怪ハンター』張りの伝奇的な内容だったが、後半はタイムリープや「影」の能力など、設定された条件をフルに使って相手を倒す、『Death Note』的な頭脳戦っぽい展開だった。
こうした展開は「ジャンプ」マンガの十八番とも言えるもので、実際、見ていてヒリヒリするような面白さがあったが、その反面、話を面白くしようと無理をして、細部にいろいろと綻びが出てしまった。例えば、銃なんて相当練習しなければ当たらないのに主人公はスナイパー並みの精密射撃ができていたり、前半で敵対していた人たちが後半でいきなり主人公の側に寝返っていたり。もちろん、その辺はタイムリープでは過去の記憶が持ち越せたり、「影」の能力を使って彼らに別の世界線での悲劇的な結末を見せたから、ということになっているが、それでも主人公が並外れた学習能力を持つといった設定はないし、そもそも今まで殺し合いをしてた相手の言うことをそんなに簡単に受け入れてしまうものだろうか? 話数が進むほど、そういう物語の細部の雑なところがどんどん目につくようになり、それで興を削がれた。
それと、最終回となったあの第25話って要る? 何か別の世界線に移動してて「実は全員、無事でした~。゚ヽ(゚´Д`)ノ゚」みたいな、取って付けたような薄っぺらいハッピーエンドじゃなく、私はむしろ第24話を最終回にして、「これってもしかして第1話の冒頭に繋がってて、実は何も終わってなくて、ここが始まりなのか?Σ(Д゚;/)/…エエ!?」というふうに見せて終わらせた方が面白かったんじゃないかと思う。
前半の評価はB+~A-だったが後半はB-~B、全体を通してはB。決して悪い評価ではないが、この設定ならもっとずっと面白いものにできたはず。

『邪神ちゃんドロップキックX』

花園ゆりねによって魔界から召還された、超ゲスい悪魔の邪神ちゃん。現世でもその性分は変わらず、ゆりねをドロップキックで倒して魔界に帰ろうと試みるも、いつも負けてズタボロにされる。そうこうしている間に、現世には天使や悪魔たちが次々にやってきて、大騒動を巻き起こす、という話の第3期。
基本『こち亀』や『うる星やつら』と同じようなドタバタ群像劇で、『こち亀』や『うる星やつら』と同じようにキャラが立った登場人物によって物語世界が強固に構築されているため、バイオレンスでもホラーでもグルメでも不条理劇でも人情話でも何でもできる強みがある。今回の『X』でも、第1回で思いっきりシュールなネタをぶち込んできたかと思えば、計3話も使って北海道観光をやったり初音ミクが登場したりと、もうやりたい放題。それでも『邪神ちゃんドロップキック』というタイトルをつけさえすれば、取り敢えず視聴者は、それでよしとなってしまう、ある意味、凄いアニメ。
突出して面白いわけではないが、毎回一定レベルの水準にはあるので、評価はC-~C。

『シャドーハウス』2期

シャドーハウスと呼ばれる館の中で暮らす、顔のないシャドーと彼らの顔の代わりとなる「生き人形」たちの物語。1期で“お披露目”の試練を突破して“こどもたちの棟”で新たな生活が始まった主人公であるケイトとエミリコは、シャドーハウスに反旗を翻すべく密かに仲間を集めることを考えている。そんな中、シャドーハウスでは煤(すす)の塊である「こびりつき」が異常発生し、煤病(すすやまい)に罹る「生き人形」たちが続出する。“こどもたちの棟”を統括する「星付き」の1人、バーバラに犯人だと疑われたケイトは、エミリコとともに潔白を晴らすべく調査を開始する。
シャドー、「生き人形」、そしてシャドーハウスといった、この物語の世界の謎が徐々に解き明かされる、という展開だった1期に対して、2期は館に混乱をもたらしている“ローブ様”と呼ばれる存在が誰なのかを探る謎解きミステリだ。ケイトとエミリコが謎解きのために“こどもたちの棟”を探索し、さまざまなシャドーや「生き人形」たちと出会うので、これが棟内部の地理や人物紹介を兼ねていることが分かる。その辺の作りは上手いが、そもそも「“ローブ様”は一体誰か?」が視聴者にとって魅力的なテーマか?という疑問がある(実際、私は見ていて退屈だった)。
取り敢えずこの2期でまででシャドーハウスの秘密がほぼ明らかになり、今後はケイトとエミリコが中心になっていかに仲間を増やし、いかにシャドーハウスに反旗を翻すか、というところがテーマになるのだろうが、マンガはまだ連載中だし、最後までアニメ化するのか、というか、できるのか?
今回の評価はC+~B-。

『メイドインアビス 烈日の黄金郷』

1期、劇場版を経て、満を持しての2期だが、まさに期待に違わぬ出来である。
突然、地球に出現した巨大な穴。どこまで続いているのかわからない、その深淵(=アビス)は、そこに挑む者を時に人でない何かへと変えてしまう。アビスの探掘家で“殲滅卿”の二つ名を持つライザを母に持つリコは、アビスの底へと消えたライザからの謎の伝言を手に、アビスからやってきた人間そっくりのロボット、レグとともにアビスの探検へと出発する。そして深界5層で出会ったナナチとともに“黎明卿”ボンドルドとの戦いに勝利するところまでが劇場版。2期では、ここから先はもう地上には戻れないとされるラストダイブを経て、深界6層に辿り着いたリコたちの物語。2期はそれと平行して、故郷を追われて行くところを失い、伝説の黄金都市を目指して初めてアビスに挑んだガンジャと呼ばれる一団の物語が描かれる。
丸っこくて可愛いらしいキャラクターによる、地獄のように過酷で凄惨な物語は相変わらずだが、1期や劇場版にあったような「度しがたいほどの凄み」がこの2期にはあまり感じられなかった。それはボンドルドのような、えげつないほど圧倒的な敵キャラがいなかったせいもあるだろう(ワズキャンではちょっと役不足だった。が、「神がかりの予言者」ワズキャンの言葉がこの先、リコたちに呪いとしてジワジワ効いてくることを期待)。
そういうわけで、物語部分が期待に反して弱かったが、中盤のイルミューイに絡んだエピソードの残酷さと衝撃は買いたい。合わせてヴィジュアルやアニメーションについては全く文句なしで、評価はB~B+。3期があるように期待している。

『リコリス・リコイル』

詳しくは「『リコリス・リコイル』と『GUNSLINGER GIRL』の間」に書いたので、そちらを見て頂きたい。
アニメ作品としては、京アニに寄せたキャラクタのデザインや動きのよさは買うが、肝心の物語がスカスカすぎる。あんなのは1期の中盤くらいに3~4話程度の尺でやるもので、13話も使うような話ではない(実際、もっとショボいキャラデザと動かない紙芝居みたいなアニメーションであんな話だったら、みんな最後まで見た?)なので評価はC~C+。

『ユーレイデコ』

サイエンスSARU制作のオリジナルアニメ。近未来の日本を舞台にしたジュブナイルもので、かつてNHKで放送された『電脳コイル』を湯浅政明が自分のカラーに塗り替えてアップデートしたような内容(なお、この作品では湯浅政明は監督ではなく原案となっている)。『電脳コイル』は電脳メガネが広く普及した世界の話だったが、『ユーレイデコ』では人々は「デコ」と呼ばれるデバイスを眼球に直接インプラントしている。そしてこの物語世界では、現実世界の「いいね」に当たる“らぶ”が大きな経済的価値を持ち、人々はより多くの“らぶ”を求めて活動している。そんな中、人々の集めた“らぶ”が突然、ゼロ・リセットされてしまう事案が発生し社会に衝撃が広がる。そして、人々がそうした0現象を引き起こしている謎の怪人ゼロの存在を囁く中、主人公の少女、ベリィはある日、偶然にも0現象が発生した現場に居合わせ、そこで奇妙な者たちの姿を目撃する…。
私はTOKYO MXで見ていたが、深夜アニメにありがちなエロもグロもなく、けれども社会や人間の課題をゆる~く問う内容のポップな冒険譚で、ややモヤモヤの残る最終回も含めて、放送しているのがNHK Eテレでないのがむしろ不可解な感じ。
キャラデザが“萌え”に寄ってないとか、一見チープに見えてしまう画面構成とかのために、アニメYouTuberの番組でもこのアニメの名を聞くことはほとんどないが、サイエンスSARUらしい不思議な浮遊感を持ったアニメである。ハードな内容のアニメが好きな私には評価が難しいが、久々に見た純粋なジュブナイルSFということで多少甘めにC~C+。

『よふかしのうた』3話切り

原作マンガはCreepy Nutsによる楽曲『よふかしのうた』にインスパイアされた作品で、夜の街を彷徨する不登校の中学生、夜守コウと、吸血鬼の少女、七草ナズナの話。PVが凄く綺麗で、とても期待していたのだが、結局3話で切ることになった。
まず、この作品のいいところを述べよう。制作はライデンフィルムで、「ライデンフィルムの作品は暗い」と陰口を言う人もいるようだけど、この作品に描かれる、昼の街とは全く違う夜の街の情景は本当に素晴らしいし、その夜の世界をコウとナズナが飛ぶシーンなどは、もうサイコーである(私はPVのこのシーンを見て、この作品の視聴を決めたのだ)。キャラクタも、中学生の少年相手にグイグイ来る、雨宮天(そら)演じる年上のお姉さんの吸血鬼、ナズナにはグッとくる。
では、なぜ3話で切ったのか?というと、この作品には見るべき「物語」がないからである。この『よふかしのうた』はある意味、それ自体がCreepy Nutsの『よふかしのうた』のPVのような作品であり、見栄えもよく綺麗なので、PVとしてはとてもよくできた作品と言える。だからアニメを物語云々ではなく、作品の持つ空気感とか雰囲気で楽しめる人/楽しみたい人には、『よふかしのうた』は凄くいいアニメだと思う。けれど私は、空気感だけで毎週30分(正味は25分くらいだが)の時間を費やすことはできなかった。
個人的には『よふかしのうた』は、環境ビデオのように流しておくのがふさわしいのではないかと思う。
途中切りしたので評価はなし。


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