深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

牛乳は体に悪いか?

2017-02-17 12:59:52 | 症例から考える

しばらく前から「牛乳(あるいは牛乳を含む乳製品)は体に悪い」ということがしばしば言われるようになった。それについて自分自身の体を通じて調べてみたことがあるので、今回はそれについて書いてみる。

小さい頃から牛乳が好きで、よく飲んでいた。それは大人になっても変わらずで、冷蔵庫には大体、1lパックの牛乳がいつも入っていた。

ところがある時から、手の指の付け根にひどい肌荒れが生じるようになった。あかぎれのような感じで小さく皮膚が裂けて、しばしば出血する。しばらくすると消えてキレイになるのだが、しばらくするとまたそれが現れる、の繰り返しがずっと続いた。

そんなことを繰り返す中で、その肌荒れが牛乳やヨーグルトなどの乳製品を摂った後に現れるのではないか、ということに気づいた。試しに乳製品を摂るのを止めてみると肌荒れの再発がなく、そこでヨーグルトなどを食べるとまた再発する、というパターンが見えてきた(肌荒れは食べた直後に起こるのではなく、多少時間を置いて現れるのだが、乳製品を摂ることと肌荒れが生じることとの間には、確かに相関があると思わざるを得なかった)。

そんなこともあって、あれほど好きだった牛乳もヨーグルトも口にしなくなったのだが、それでもカフェオレを飲んだだけで肌荒れが再発してしまうようなことはあった。

ただ不思議だったのは、こういった肌荒れのようなことは昔は全く起こっていなかったことだ。もちろん自分が歳を取って、若い頃とは体質が変わったのかもしれないし、昔と今とでは牛の生育状況が変わり、成分が変わったり悪いものが混入するようになったのかもしれない──とも考えてみたが、何かそれだけではないような気がしていた。

そして気づいたのは、乳製品を摂って肌荒れが起こるようになったのは、「牛乳は体に悪い」という話を聞かされるようになった後だった、ということだ。当時参加していたCBS(クリニカル・バイオホログラフィック・システム)のセミナーで、そんな話をよく聞かされた。「牛乳というのは牛の子供が飲むもの。人間の大人が飲むものではない」と。乳製品が好きだった私は、そんな話を「ケッ!」と思いながら聞いていたのだが、もしかしたら、そうした話が自分の中の何かに影響したのではないか、と考えるようになった。

そこで試しに、自分の中で「乳製品は体に悪い。乳製品が入ってきたら問題が起こる」と思っているところ(もう少し正確に言えば、前記のような言葉に反応するところ)を探して、その反応をキネシオロジー的に取るということをやってみた。すると乳製品を摂っても肌荒れが生じなくなったのだ(まだ実験途中だが、3カ月くらい試しているものの、皮膚に変化は出ていない)。

このことは私が自分の体で試してみた結果、というだけのことで、もちろんそれをそのまま一般化することはできない。ただ、こと私の体に関して言えば

牛乳(を含む乳製品一般)が体に悪いかどうかはわからないが、「牛乳は体に悪い」という言葉は本当に体に悪い

ということはほぼ間違いない。そして上に述べたようにこれが一般化できるわけではないが、私がそうだということは、同じように言葉による被害をこうむっている人はある割合で確実に存在する、ということが言える。

「治療家は教師たれ」か何か知らないが、乳製品に限らず「○○は体に悪い」といった言説を垂れ流している人も、それを自ら実証実験して正しさを確認した上で言っているわけではない。根拠としているのは「あの専門家の○○先生がそう言ってるんだから…」、「あの有名な○○研究所がそういう報告を出してるんだから…」といった程度の、「あの人/機関が言うのだから自分も信じる」的なよくわからないものに依拠した曖昧な情報に過ぎない。

中には「自分のところに来ている患者に試したら、みんな『言われたようにしたら調子がいい』と言っているから、それで実証されている」と反論する先生もいるかもしれないが、先生のところに来ている患者は少なからず先生のことを信用しているはずで、それによるバイアスは無視できない上に、そもそも治療しているのだから患者が「調子がいい」と言うのはむしろ当然であって、それによって先生の言説が正しいことの実証にはならない、ということは書いておきたい。

そう言えば鍼灸学校時代に聞いた「in vitroとin vivoは違う」という話を思い出す。つまり試験管の中(in vitro) で起こっていることが生体の中(in vivo) でもそのまま起こるなどとは思うなよ、ということだ。だから医学研究にはどこまでも曖昧で不確かな部分がつきまとい、数年から数十年で定説が真逆に変わってしまうことも当たり前のようにある。

けれども、そこまでわかっていても、私のように(自分が信じてもいなかった)言葉に体が影響されてしまうことがある。それは「人は何を食べているか?」を考えてみればわかる。動物は栄養物質を摂取しているが、人は物質だけを摂取しているのではない。人は物質とともに(あるいは物質以上に)物質にまつわる情報を摂取している。だから、それが情報として正確かどうかはともかく、摂取している物質に悪い情報を付与することは、人の世においては毒物を垂れ流すのと同じくらい害悪なのだ。

さて、タイトルの「牛乳は体に悪いのか」という問いに対する答を求めてここまで記事を読んでくれた人たちには肩すかしを食わせるようで悪いが、私は牛乳(を含む乳製品)が体に悪いかどうかについてはわからない。様々なことがいわれているが、私にはそれを検証する手段がないからだ。だから、あなたも私のように牛乳が好きなら飲めばいいし、好きではないなら飲まなければいい。どちらにしても、最後には「死」がやって来るという点では同じだから。


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2 コメント

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プラセボ (ウル)
2018-07-18 17:22:38
御無沙汰しております、福岡のウルです😃

食べ物に限らずですが
「○○が悪い(良い)」は、受ける側の思い込みが大いにあると思います。

思い込みは、時に生理学的事実をも越えたりしますので、恐ろしいもんです😨
お久しぶりです! (sokyudo)
2018-07-20 17:33:42
ウルさん、お久しぶりです。

「○○が悪い(良い)」説の多くは他愛ない「都市伝説」レベルのものに過ぎないと思います。ただ、それに力を持った存在の一定層が同調すると、それが社会的、集団的意識へと変わっていくのかもしれません。

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