深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

臨床の現場から 3

2015-06-06 15:00:31 | 症例から考える

アニメ『ツバサクロニクル』のOST「Hear our Prayer」とともに、久しぶりの症例紹介。今回はご本人の許可が取れたので実名で。

山下京子さんは、めまい、ノドの詰まり、右前腕のシビレ、首と背部の痛み、動悸を訴えてきた。昨年末に交通事故(車に乗っていて後続車から追突された)に遭い、その後遺症ではないかとの話。

実は2013年頃から動悸があって、病院ではパニック症ではないかと言われていたが、鍼灸院で血(けつ)の状態を整える施術を受けて状態が改善してきた矢先に交通事故に遭い、症状が戻ってしまった上に+αの症状まで抱え込むことになった、ということのようだ。

ちなみに交通事故後に現れた症状に対しての診断は、バレーリュー症候群とムチウチだった。

ただ、私が最初に山下さんを見て感じたのは、それらとはあまり関係なさそうな「電磁波による影響が強いな」ということだった。

とはいえ外傷性の問題なので、まずは(私的には)お約束の「外力の影響」について調べるところから始めた。キネシオロジーのショックアブソーバという手法で、ある部分に過去に受けた外力の影響が残っていると、その部分をある角度で軽く叩打するとインジケータ筋(=指標筋)がアンロックする(=弱くなる)。この検査では叩打するポイントと方向が重要になるが、これによってどの部分にどんな方向から力が加わったかを知ることができる(注1)

山下さん自身は、事故の瞬間、体がどうなったのか覚えていないということだったが、後頭部、左右の前頭部、右前胸部、頬骨柄、左鎖骨部、左顎関節付近への叩打でインジケータ筋がアンロックするのを確認した。で、それらを処理できるものを探したところ、出てきたのは電磁波に対する処理だった(使ったポイントは左右の中国式期門穴と兪府穴だった)。

他にエッセンシャルオイルの塗布やクラニオセイクラル・ワークも行ったが、それだけで右前腕のシビレまで取れてしまった。が、山下さんが一番強く訴えていためまいには著名な変化はなく、第1回の治療はそこで終了。

第2回(次の日)は山下さんに事前に状態を聞くと、右前腕のシビレはもうほとんどないが、右頭頂部付近に頭痛があり、頭部から後頚部が重く、鼻の奥がツーンとする感じで気持ち悪いという。

上背部を冷やし、強間穴と左右の承霊穴に刺鍼。視床下部-下垂体-胃という組み合わせでの弱さを取る、などを行ったが、著名な変化はなし。前頚部から胸骨体上部付近に対してフォーカシングを行ってもらうと、気持ち悪いようなイヤな感じが現れ、それをエッセンシャルオイルで取ると後頚部の張りは緩んだものの、やはり症状そのものに著名な変化はない。

山下さんからは「せめてこの頭痛だけは取ってほしい」と言われたので、ここからクラニオを始めたのだが、かなり深い階層まで静止を誘導しなければならないだろうとは考えていた。本当はそうしたことは先入観になるので、バイオダイナミックなクラニオをやる上では避けなければならない。けれど実際に静止の階層を重ねていってもなかなか十分な深さに達した感じがなく、結局、最後は8階層の静止への誘導を行った。

フランクリン・シルズは『クラニオセイクラル・バイオダイナミクスVol.1』の中で「静止には7つの階層がある」と書いているが、それをついに越えたわけだ(注2)

ただし、ここでは便宜的に静止への「誘導」と書いているが、実際のバイオダイナミックなクラニオでは静止に「誘導」することなどしない。術者が行うのは相手のシステム(という言い方をクラニオではする)に対して静止を「提案」することだけだ。その提案を受け入れるかどうかはシステムが決めることで、術者側に決定権はない(その点は、相手のシステムの意向がどうあれ術者側の判断で強制的に行われる、他のメソッドとは根本的に異なる)。

だからシルズの本がどうであれ、8階層の静止に入ったということは山下さんのシステムがそれを認めたということであり、実際それで頭痛は消えた。

とはいえ、気持ち悪さまでは取ることができず、それはまた以降の回に持ち越しとなった。

山下さんの治療はその後も続いていて、気持ち悪い感じやノドの詰まり感なども改善している。


さて、ここでセミナーのお知らせ。

澤ひろゆきさんのサロン(JR石川町駅から徒歩2分)をお借りして、6/21(日)の10:00~17:00に、クラニオの初心者を対象にバイオダイナミックなクラニオの初歩を学ぶ横浜1日セミナーを行う。
予定している内容は、頭蓋の動きの評価とエネルギーレベルでの調整。参加費は30000円。

このセミナーへの申し込み、問い合せは、
hiroyuki.sawa@gmail.com
080-1464-9645
ブログ:http://ameblo.jp/kinesi-therapy/
のいずれかで、澤ひろゆきさんまで。残りあと4名。

(注1)これについては過去記事「過去に受けた外力の影響が甦る」を参照されたい。
(注2)これについては過去記事「クラニオで静止を重ねる 1」「同 2」を参照されたい。


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