深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

左肩をケガする 8

2011-03-01 17:00:12 | 症例から考える
2010年の6月末に左上腕骨頭を骨折してから早8カ月。少し前に思い立って、この頃はできるだけ毎日、自分で治療を続けていて、その成果として、以前より左手で掻ける背中の範囲が広がっている。気分としては映画『ローレライ』のOSTの一曲「不屈の魂」みたいな感じ?

で書いたように、自分で自分を治療するため、できることには当然かなりの制限があるが、それを逆手にとって、この治療は筋反射テスト以外の処理のほとんどをイマジナリー(仮想的)に行うという実験と練習を兼ねている。毎日この練習をしているお陰で、イマジナリー処理も段々と違和感なく行えるようになってきたぞ。

イマジナリーで行っているものとは、例えばTL(セラピー・ローカライゼーション)、筋肉テスト(筋力テスト)、骨折した箇所や関節に生理的・非生理的な圧縮、伸張、捻転、剪断などの力を加えること、など。そしてこれも7で述べたように、ポーズ・ロック(PL)やスタック(stack)についても、そのほとんど全てをイマジマリーで行っている。

ただ、通常のスタックとイマジナリー・スタックでは大きな違いがある(そしてそれが、私がイマジナリー・スタックというものを考えた理由の一つでもあるのだが)。

通常のスタックの場合、情報をある関節(例えば股関節)に保存すると決めたとしても、スタックする場合は一度、別の関節(例えば顎関節)を介さなければならない。直接、股関節に格納しようとすると前の情報を上書きして保存されてしまうため、スタック(情報を順番に積み上げる)ことができないと私は教わった。しかし、そういう別の関節を介する操作が私にはとても不自然なものに感じられた。実際ここがセミナーなどでスタックを説明するのに大きなネックとなる部分で、初めてスタックというものを習う人には、その操作がひどく煩雑で難しいものに感じられてしまう。

それに対して、仮想領域にイマジナリー・スタックする場合は、自分で定義した構造体(ザックリ言えば想像上のタンスのようなもの)のどこに情報を格納するかは自分で自由に決められるため、「別のどこかを介して…」などという不自然な操作が必要なくなるのだ。

もう一つ、通常のスタックにはないイマジナリー・スタックの特徴は、ポップ(pop)処理が行えることである。ポップとはスタック(積み上げ)された情報の一部をポンッとはじき飛ばすこと。つまり、一度スタックした情報から不要になった一部を取り除くことができるのだ。それはもちろん、情報を格納しているのが仮想上の構造体だからこそ可能なこと。

コンピュータの特にハードウェアやファームウェアについて知識のある人なら、メモリ操作ではこのスタックとポップが不可欠なことはおわかりだろう。そのポップがイマジナリーにすることで初めて実現できるのだ。そういう意味では、イマジナリー・スタックという言い方は適切ではなく、イマジナリー・スタック&ポップ(イマジナリーS&P)とすべきなのかもしれない。

もちろん「一見不要かもしれない情報でもスタックしておく価値はある」という考え方もある。私もその考えを否定するつもりはないが、不要な情報が多くスタックされていることで不必要にシステムの負荷が増える、という側面もあるのではないだろうか(その負荷が問題になることは、表面上は多分ほとんどないにしても)。だからポップという手段を別に持っていることは、やはり多少なりとも意味のあることなのだ。

──と、まぁそういうわけだが、わからない人には何を言っていたのか全くわからなかったと思うので、もう少しわかりやすく言い換えると──

今回の骨折では、自分の体を治療することを通じて、今まで実際に身体運動を伴って行っていた各種の検査・操作の大半を、身体運動を介さないイマジナリー(仮想的)なものに置き換えて行えるようなった

──ということ。これが今回出された課題(左上腕骨頭骨折)に対する私の回答だ。

まだしばらくこの治療は続けなければならないが、そろそろ次の課題が出されるかもしれない。今回の課題は本っ当に痛かったので(と言うか、そもそも急性外傷による骨折なんてウチの守備範囲外じゃん。出す相手、間違ってるよ)できれば次回は痛くない課題をお願いしますよ、何とぞ。

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