Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

シルヴィアの鏡、シャワーの台詞

2013-05-24 18:31:00 | パレーズ・エンド
ふとブログが不親切になっていることに気がつきました。
連日ベネディクト・カンバーバッチの出演作について書いているので、暴走して、初めてこのブログを訪れてくださった方には説明不足のことが多いのではないかと・・・
閉鎖的にするつもりはまったくないのです。ネットや雑誌に情報はいくらでもあるから・・・と思っていたのですけど、昨今の雑誌の特集の量から察すると、新しくファンになった方も多いのではないか、そういう方にこそ読んでいただいているのですよね。反省しております。

今日はWOWOWでの「パレーズ・エンド」再放送の最終回を見ました。
ベネディクト主演のBBC製作のドラマ・ミニ・シリーズです。
ネタバレが嫌ではない方は左のカテゴリーから色々ご覧ください。

こんなに既に書いてるのに、今日までわからなかったことがありました。

主人公の妻シルヴィアのコンパクト。繰り返し何度も出て来ました。


結婚式前夜に夫ではない恋人から贈られた因縁のお品

途中からは鏡にヒビまで入っているのにずっと使っていて、何度も画面に登場するのはなぜなんだろうと思っていました。私が今日ふと思ったのは、このヒビは夫婦間の亀裂の象徴。



シルヴィアが何度もこのヒビにゆがむ自分の顔をのぞく度に、見ている私の心もチクリとなった。一度シルヴィアは「あなたが好きじゃないから」と車からポイッと捨てたのに、クリストファーはわざわざそれを拾って来た。シルヴィアにとっては夫に自分が許された徴のような物だったのかもしれません。だけど、そこには絶対に直せないキズが、2人の関係のようについていました。皆さんもそう思いました?それとも、ヒビはシルヴィアの心だと思いました?


もうひとつ。
以前も書きましたが、書いても未だスッキリせず、日本語吹替えを見てもまだくすぶっていたシーン。

ここです

前のブログ記事では直訳(今ひとつピンとこない)

日本語吹替え
「シャワーの水をかけるようなことを言っている」の後、シルヴィアがクリストファーに「本気じゃないでしょ?まだほんの小娘じゃないの。・・・・・本気なのね。」と言って階段を降りてしまった。それを聞いた時に、こ、こんな単純な台詞ですむのだろうか?筋は滞りなく運ぶけれどシャワーの台詞どこ行った??と余計に頭をかかえてしまいました。

それで、すみません、ホントに勝手に、ただ自分が気が済むだけのために自分訳をしました。だ、だって、クリストファーで、シルヴィアで、文芸大作のストッパード(脚本)なんだから・・・(日本語版はとてもわかりやすく良く作ってあると思いました。)

V=ヴァレンタイン S=シルヴィア C=クリストファー

S: (to Valentine)What can you mean?
 (ヴァレンタインに)それってどういうこと?
 
 (to Christopher)Do you know what she means?
 (クリストファーに) あなたには何のこと言ってるかわかる?
 
C: Miss Wannop means "pulling the string of the shower bath."
 ワノップ嬢は「シャワーの水をかけてる」んだよ。
 
S: Oh. Christopher...
 Christopher, you can't mean it.
 Look at her!  Is she a Girl Guide or something?
 Perhaps you do mean it.
 まあ。クリストファー・・・
 クリストファー、そんなわけないでしょ。
 ご覧なさいよ。このガール・スカウトみたいな子にできる?
 きっとあなたがそうしてるのね。

つまり、今までずっとシルヴィアの行動を全て許して来たクリストファーが、彼女に向かって彼女の十八番のシャワーを浴びせたとシルヴィアは理解したのではないでしょうか。ヴァレンタインのような小娘に何を言われようが痒くもないが、良識の固まりの夫のこのひと言の重さを感じ、悟った。

これがわかるまで、私はいったい何度パレーズ・エンドを見たのだろう・・・
 



昨日、スター・トレック・イントゥー・ダークネスのシャワーシーンについて、監督が「裸が多過ぎるからベネディクトのはカットした」発言を聞いた時、「パレーズ・エンドは平等に主人公3人お風呂に入ったのに考えすぎじゃ?」と思った人は私だけでしょうか。