Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

ピーターラビット2

2021-07-02 00:00:00 | ドーナル・グリーソン


うさグレたピーターを見に行ってまいりました!家から徒歩の映画館、平日昼間の日本語字幕の回のためか、かなり席は空いてて映画の動員数の心配とソーシャルディスタンスの安心感が同時にありました。

ピョンピョン元気なラビットたちと動物たちの、ただ楽しむための映画!ありがたいありがたい存在です。

ピーターは広い心でビーと結婚したトーマスを受け入れたのに、なぜか間が悪く、いつも悪い子だという印象を持たれてしまいます。子供の時、ママやパパに喜んで欲しくてやったことが誤解されて逆に叱られた時のあの絶望感、そんな時に自分を認めてくれる人が現れたら、そりゃあ尻尾を振って付いて行ってしまうでしょう・・・という今回のお話。

ポーター原作に出てきた数々の動物たちが1作目よりも多く登場します。絵本でおなじみのあのキャラたちが動いて喋るのは違和感とともに21世紀なんだと実感。

絵本版で絵を見てもスルーしてたブタ、実はポッシュでオシャレなんだ!いるよね田舎にも気取った奴。かなり好き!ハリネズミのティギーおばさん、ああ見えてすごい技をお持ちです!

でも、個人的にものすご〜く受け入れられないのは、私の大好きな子猫のトムがダークサイドに入れられてしまったこと!キャラは「いたずら盛りのわんぱくな男の子」ですが映画ではどちらかというとヤンキーに・・・泣!

そのヤンキーチームのボスがバーバナスという、ピーターのパイになってしまったお父さんの親友・・・このウサオヤジ、コソ泥コックニーアクセントで喋るんで、ガイ・リッチーのチンピラ映画を見ているような気がしてくるんですが、なんと声のレニー・ジェイムズは本当に「スナッチ」に出ている俳優さんでした!

ピーターの本の出版社は、モデルがあるかどうかは不明ですが、昔のディズニーを連想させるやり手で、社長はベストセラーのご褒美にキラッキラのスポーツカーをビーにプレゼントします。そしてオリジナルを尊重しているフリをしながら売れ線へと誘導して行きます。それを見て心配しつつビーを応援するトーマスが乗ってる車がランドローバーなんですよね!インターナショナル売れ線キャラとイギリス田舎の実直なキャラを象徴していますね。そしてビーが自分の思い通りにならないと悟った社長のセリフが、「じゃあプーで行くか」なんですよ!実はクマのプーさんは作者のミルン亡き後その価値がわからない奥さんの親族によってディズニーに権利が売却されています。

IMDbの写真集にあった撮影の様子、ぬいぐるみ使ってます。



ロケは、本当の湖水地方ウィンダミア、ピーターが家出して行ってきた町がグロスター(「さまよえる魂」の館の近くです!)、それはストーリー上の土地通りですが、映画見ててどうもロンドン郊外のリッチモンドを思い出すと思ったら、



やっぱりリッチモンドでも撮っていました。不思議〜!別に特定の建物を覚えているわけではないのに、町の空気というか通りの形というか。


町山さんの「グッバイ・クリストファー・ロビン」解説

2018-09-26 10:11:00 | ドーナル・グリーソン


2017年のイギリス映画「グッバイ・クリストファー・ロビン」は日本では劇場上映はありませんでしたが、配信や円盤で見られることになりました。

米国在住のジャーナリスト町山さんは定期的に「町山智浩の映画サーチライト」でイベント登壇されているようで、今回第7弾としてこの映画上映と解説があるというので楽しみに行ってきました。

私はDVD視聴済みでしたがやっぱり大きいスクリーンで見るとさらに良かったです!この映画の場合は森が舞台としてなんども出てきますからそれはスクリーンが大きければ大きいほど良さがわかるというものです。それにミルンの戦争後遺症の描写で戦場の風景と爆撃音が瞬間的にフラッシュバックするのも、やはり衝撃が違いました。

あまりネタバレしたくないので、そういう詳細は控えますが、ちょうど今公開中のもう一つのプーさんの映画「プーと大人になった僕」と比較した感想や意見を観客に聞きながら町山さんの意見もさりげなく挿んでいくインターフェイスで内容もこの映画だけの世界から一歩出て、「クマのプーさん」を両方の映画がどう扱ったか、プーは作者のミルンにとって何だったのか各監督がどう表現したかという話が面白かったです。

さらにこのイベントに来て良かったのは、

実はこの映画には原作伝記本があり、その本の日本語版の訳者の先生方も劇場にいらしていて私たち一般客と一緒に映画を鑑賞され、町山さんが先生方の知識も聞き出してくださったことです。

その翻訳本のポスターが上の写真です。

この映画の感動のラストシーンは実はフィクションとのことですが、訳者の山内玲子、田中美保子両先生によると、そのラストシーンに匹敵する事実が、クリストファー・ロビンの時間軸ではもっとずっと後に起こったのだそうで、それを聞いて「ああ、今夜眠れるわ〜!」と思いました。

実はミルンとクリストファーのセピア色の後ろ姿が頭から離れなくてあまり良く眠れなかったんですけどね・・・

ホームメイト!

2018-08-31 20:08:00 | ドーナル・グリーソン


なかなか苦しいドーナルくん映画を立て続けに2本(正確には1.7くらい。最後まで怖くて見てないので)行ってしまい心が錆びた感じに萎縮したので、

どーーーんと楽しいのが見たい!と楽しそうな「ホームメイト!」を見てみました。

原題は「Crash Pad」で意味は「仮の宿泊所」と辞書に出ていて、あと画像を検索すると簡易ベッド(折りたたみや空気で膨らますやつ)が。

お話:

美人さんと一夜を共にしたと思ったら人妻で、しかも夫の愛を取り戻すための当て馬にされたステンズランド(ドーナル・グリーソン)。乙女チックな彼の方は本気だったのに、どういうわけか殺しに来た人妻夫グレイディが彼のアパートに住み込んでしまう。そしてふたりでタッグを組んで妻モーガンに復讐するため、他の美人を引っ掛けてセックスしちゃおう作戦に出る。酒を煽り夜な夜なバーに繰り出すロマンスグレーの紳士とオタクな間男のコンビ・・・


ステンズランドがあんまりマヌケな独身男なので、この映画へ出演したドーナルくんはまだSWのハックス将軍になる前かと思ったらなんと2017年の作品!去年!

しかし確かにドーナルくんは、運命や彼女や動物にまで振り回される、本人は大真面目でちょっとエキセントリックなモヤシ男の役が得意です。それをハリウッド大作に出演した後にインディー映画でやる・・・というところが私は好きです。

しかし本作では得意のダメ男ぶりが脚本のせいですけども多少しつこすぎるのが唯一の欠点に見えました。

具体的に言えば、ステンズランドは文学ドラマオタク少女なのに、ブレイディが「女をものにするなら酒だ!」と無理やりバーへ連れて行き飲ませるんですね。それが見ている私の方が気分が悪くなるほど。

その部分を除けば、ドーナルくんにしかできないど真面目恋する乙女な三十路手前男という、しかもその気になって髪を整えてスーツを着たらイケメンという、まるで昔の少女漫画の主役の女の子のような役を堪能できます!!

良くを言うと、美人妻の夫は本当にかっこいいナイスミドルなんですが、肝心の妻の方が私の好みでないだけでしょうがステキな男子ふたりに取り合いをさせるという説得力がなかったです。

あとこの映画では、ドーナルくんのファンキーなダンスも楽しめます!!

ドーナルくんは、「ピーターラビット」でもその身体能力を見せつけてくれましたが、本作でも、本気で身繕いしていた時に足の裏を目の前に持ってきていたんです?!普通、できませんよ!柔軟性マックスです。

そのせいか筋肉ムキムキでないのに運動神経がいいという不思議。

あとスーツは文句なくカッコ良いのですが、オタファッションもしましまセーターとか狩猟柄のシャツとかかわいいです。

あと服を着てなくても下の赤毛もチラリしていてかわいいです。






バリー・シール アメリカをはめた男/不屈の男アンブロークン

2018-08-29 12:07:00 | ドーナル・グリーソン
ドーナル・グリーソン出演の映画2本を見ました。

(しかし2本ともカタカナと説明文みたいな二重邦題になってて題が長い)

「バリー・シール」はトム・クルーズが実在のパイロット役で主演、ドーナルくんは彼をスカウト&雇用したCIAオフィサーの役。実話ベースの話です。



ドーナルくんは、やり手のビジネスマン的にうまくうまくバリーを彼の高度な飛行スキルを活かした危険な任務に巻き込んで使い果たす役を演じています。

「ちょっと何を考えてるのかわからない無表情な冷酷さ」
「エリートなんだろうけどどこか二流ぽい感じ」

で有能な旅客機パイロットだったバリーが、気がついたら低空飛行でスパイ写真を撮らされ、その後アメリカへの麻薬密輸ビジネスに巻き込まれてしまいます。

ドーナルくんのキャラは今回普通ぽいのに比べ、トムクル=バリーがどんなに危険な状況でもヘラヘラとなぜか乗り切ってしまう不思議なキャラが立っていました。



しかし70年代の中米はヤバいところでしたなあ。あのラテンチンピラ団のわけわからなさは、ドーナルくんでも出ていないと見ようとは思わない世界・・・もう中南米はお腹いっぱい・・・

と「不屈の男/アンブロークン」、こちらもノンフィクション本をベースにしており、空軍が舞台でパイロットが出てくるダンケルクみたいなカッコイイ映画見たい、よかった〜

ホラ!カッコイイ、今度はドーナルくんがパイロット、しかも最強の軍服ユニフォーム!



と、思ったら、

太平洋に不時着して漂流します・・・しかも47日間!!!



漂流が続き、海上の直射日光に晒されまずお肌がボロボロ、そして時間が経つともちろん瘦せおとろえでガリガリになりますが、その時になって初めてドーナルくんは上半身脱いでて、これは多分、漂流して捕虜になった役作りのために痩せたのもあるけど、元から細いドーナルくんの場合気を満して脱いだ!感もありました。

救命ボートでの漂流中、ボートに舞い降りて休憩する鳥を素手で捕まえて食べたのを皮切りに、その鳥を餌に魚を釣ったり、サメと漂流仲間3人で格闘してその肉を食う・・・という自然の弱肉強食ライフでなんとか生き延び、途中でひとりは弱って死に、主役のルイとドーナルくんのキャラ=フィルがふたりボートに横たわっているところを日本軍に発見/捕獲される・・・



陸にあげられて牢に投げ込まれ、カメラは主役のルイをまず見せますが、隣の牢に投げ込まれたフィルはどうやら日本軍兵士から殴られている音と呻き声が。それをドア下の明かりから伺い、「Stop it...!」と声を上げるルイ。

・・・私の忍耐はここまででした。

この後は、獣のように残酷な日本軍による捕虜いじめが待っているに決まっている・・・そして主人公は「不屈の男」として称えられた実話なのだから、きっと生き延びる。しかし「不屈の男」バッヂをもらってないはずのフィルの運命は・・・

探偵ドラマの見過ぎと言われようが、きっと私はドーナルくんがいじめられるのを見るのは耐えられない。この続きの視聴は無期延期です。




Goodbye Christopher Robin

2018-08-04 22:01:00 | ドーナル・グリーソン


こちらは2017年の「Winnie-the-Pooh/クマのプーさん」の著者A.A.ミルンとクリストファー・ロビンのモデルとなった息子の実話に基づいたお話です。

ところがややこしいことに、2018年には初のプーさん実写映画と題して「プーと大人になった僕」が公開されています。アメリカでは8/3、日本は9/14で、こちらの方は英語タイトルはもっと紛らわしく「Christopher Robin」です。内容は、実在したクリストファー・ロビンが中年になって・・・という事実に基づいているのかは不明な原作プーさんの後日談ファンタジーとなっています。

「大人に・・・」の方は大手ディズニーということもあり映画館に行くたびに予告編を見られて喜んだのもつかの間、「Goodbye・・・」の方はまだかなと楽しみに待っているのになんのニュースもなし。

「Goodbye・・・」はA.A.ミルンをドーナル・グリーソン、子供のクリストファーは無論子役ですが、成長した彼はなんとアレックス・ロウザーという見逃せないキャスティングですので、英国アマゾンから英語版DVDを買いました。そしたら日本版DVD発売が決定・・・?!

しかも、そのプロモーションなのかユーロライブのイベントで9/25に上映もされるとわかりました。町山智浩さんの解説付きで2500yenです。良かった、この映画を評価している人は日本にもいたのだな、と安心かつ盛り上がりました!


前置きが長くなりましたが、DVDの感想です。

「クマのプーさん」というハッピーな絵本の作者と登場人物のモデルとなった息子の話だというのに、何やらメランコリックなスチール写真です。

それはつまり、ハッピーなベストセラー本のおかげで一躍有名になってしまった本物のクリストファー・ロビンは、本人の意思にお構いなくセレブに祭り上げあられてしまったせいで不幸な少年〜青年時代を過ごしてしまった、というお話だからなのです。

プーさん著者のA.A.ミルン(ドーナル・グリーソン)は美しいが自己中なところがある妻ダフネ(マーゴット・ロビー)と結婚し、息子も生まれます。この一家がちょっと変わっていて、ミルンはアランという名前なのですがブルーと家族には呼ばれ(恐竜かw)、ダフネも本名じゃなく、息子クリストファー・ロビンはビリーと呼ばれています。

ミルンはもともとウエスト・エンドの劇作家だったのですが、第一次世界大戦へ行き、ソンムの戦い(もっとも悲惨なヨーロッパの戦いとして有名;ダニクレとベン・ウィショー出演の「ザ・トレンチ」はこの戦いの話)から帰還して、悲惨な塹壕戦による心の傷を負い、戦争より平和を求める新作を執筆しようとしましたが筆進まずロンドンからサセックスの田舎に引越しします。

田舎を嫌った奥さんは一人ロンドンに帰ってしまい、息子がとてもなついていたナニーのオリーブがいたのですが、彼女も実家の病人が悪化したため休みを取ってしまいます。そして残されたミルンと息子。

ふたりは遊んだり大きなテーブルを囲んで空いてる椅子にぬいぐるみ達を座らせ、あたかもふたりきりではないような賑やかな世界を作りました。ダフネは夫と息子を置き去りにしたけれど逆にその寂しさを紛らわすためにプーやイーヨ、ピグレットたちに活躍の場ができたわけです。ミルンは詩人でもあるので、遊びながら韻をふむ詩を作ります。これが作家の新作と発展したわけですね。息子との濃密な時間がなければ、机での作家活動からだけでは生まれなかったプーとクリストファー・ロビンの物語だったというわけです。

イギリスのそこそこの家(中流以上)のしつけは厳しく、子供は徹底的に大人に従わされます。でもそれが母親とナニーの不在で一瞬ふたりの男の子の世界となり、いつもパパがお仕事中には静かにしないと怒られていたのにパパがずっと一緒にいてくれたこの時期は、クリストファー・ロビンにとって初めての純粋な幸福の時だったはず。

それが、プーとクリストファー・ロビンの本が世界的に売れて、プレスやプロモーションに「本物のクリストファー・ロビン」として駆り出されるようになると、彼の幸福が他人に売られ、大好きなパパとママとの時間もなくなり、いつも大好きだったナニーも結婚して家を去り、パブリック・スクールに入学すると「本物のクリストファー・ロビン」といじめられてしまいます。テレビもない時代でも、ラジオや雑誌に「お茶会イベント」などメディアの影響力は今と同じだったのですね。SNSがないから、逆に情報はマスの一方通行、そこに個人としてのロビンは潰されてしまった。

「父に自分と自分の幸せをネタに搾取された」という思いは、成長してもいじめられる限りなくなることはない・・・

あのほのぼのとした、イギリスの田舎の生活のいいところが全部詰まったようなプーさんのお話の影に、こんな話があったとは、ショッキングなことです。

映画は後味が悪くなるようには作られておりませんし、プーとロビンの幸せはちゃんと見た人の心に残ります。

が、傷ついた心があったことも事実として知っておくことは、後世の人間として、大勢の幸せのためになぜか幸せを取られてしまったクリストファー・ロビンの魂のために大切なことだと思います。

映画には出てこないことですが、著者の死後、版権は妻から数人の手を渡ってウォルト・ディズニー社へ売却されました。プーのアニメ作品やキャラクターグッズが数多く世に出回ったのはそういうことでした。

そのおかげで絵本を読んでない人でもプーさんを知らない人はいないほど有名になったわけですから、回り回ってこの映画により葬られたクリストファー・ロビンのことが今また多くの人に知られるチャンスとなったと思えばロビンは少しは救われるでしょうか。

ところで、ミルンはクリケットが大好きで、ホームズ探偵の著者アーサー・コナン・ドイルと同じチームに入っていました。映画でも息子に遊びながら教えていました。映画の中で年をとったミルンが赤いモンスターボールのようなものを手の中にずっと持っていて、それを空高く放り投げるシーンがありますが、あれがクリケットのボールです。実は私あれが何なのかわからなかったのですが、DVDに入っている監督コメンタリーでそう言っていました。(*コメンタリーまだ最初しか聞いてないので、残りを聞いたら後日またアップしますね!)


俳優の話も少し。

ドーナルくん、なんか老けた?と冒頭で思ったらそれは老け後のミルンでした(笑)。そこから回想へといつものキレイなドーナルくんの軍服姿や正装姿が!1920年代は美男子がさらに輝く時代!

クリストファー・ロビン役の子は、マッシュルームヘアだとちょっとファニー・フェイスなんですが、前髪をあげると小さいハンサムくん。

成長したロビンのアレックス・ロウザーは鬱な静かな役で、「英国幽霊奇談」の時のような鬼気迫る演技ではありませんでしたが、そうなったら逆にタイヘンですね。

マーゴット・ロビーは下々の人を人とも思わないわがままなお金持ち女の役がとても美味かったです。息子のことは彼女なりに愛していたのもわかったし、だけど一番可愛いのは自分とロンドンの社交界なんだな、というのも伝わってきていた。美人だから仕方ないと納得させるものが(笑)。

そしてナニー役の女優さん、どこかで見た、どこかで見たと思ったら「トレインスポッティング」のダイアン、ベネディクト・カンバーバッチのBBCドラマ「Child In Time」でのベネさんの奥さん役のケリー・マクドナルドでした。彼女が、綺麗なのだけど大輪の花背負った奥さんとは正反対の、素朴でロビンを愛する素敵な女性を演じてました。彼女なら、自分が小さい男の子だったら大好きになっただろうなと思わせる。