Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

「天使の分け前」の天使は?

2013-05-16 12:16:00 | その他の映画・ドラマ・舞台
見たきっかけは、キャビン・プレッシャーのダグラスことロジャー・アラムさんが出ているとhedgehogさんが教えてくれたからです。

天使の分け前」はスコットランドの労働者階級の若者の話です。並びとして思い出すのは「トレインスポッティング」「フルモンティ」「ブラス」「リトル・ダンサー」。仕事も金もなく暗ーい状況から何かを見つける話がイギリス映画に常にあるのは、そういう人達が常に一定数いるから。

でもこの映画は、上にあげたどれよりも私には重かった。その理由は、ユアン・マクレガーとかジェイミー・ベル&アダム・クーパーとかロバート・カーライルみたいな、暗い現実をも魅力的な世界に見せてしまう華麗な主人公じゃないからだ。きっとそれが監督の意図したことだろうけど。
さらに、時代設定がたぶん「今」だからさらにリアルなんである。私は90年代にロンドンで貧乏生活をしたが、それを「ロンドンらしい」と楽しめる日本人もいるだろうけど、私はあの侘びしさは出来れば味わいたくない。

ところで、タイトルの「天使」はウィスキーを樽で熟成する間に気化して減ってしまう分をもらっていくと映画に出て来るのだけど、お話の中の本当の天使は、ソーシャルワーカーのハリーである。主人公のロビーは有罪ギリの反社会的行為を償うため労働を課せられている。その監督役のおっさん。チンピラを自宅にあげて精神的にも物質的にもサポートしてあげるのだ。私にはできないよ?!しかもその天使のようなハリーのおかげでロビーは、ロジャー・アラムが演じる華麗な脇役と出会い、物語は一気におもしろくなるのです。これからの全国の上映館は公式HPに。

さてここから、個人的な話です。昔、夫と私の共通の友人が、仕事と家をある日同時に失いました。寛容な夫は、彼をうちに住まわせてあげようと提案し、私も賛成しました。ところが次の住処が見つかるまで、と思ってた私の意に反して、彼はアパートを探す様子のかけらもなく1か月過ぎ、私は「無期限ではない」と伝えたのです。そしたら彼は恐縮して別のこれまた共通の友人の家に転がり込んで数ヶ月そこに。そこで会った時に、私の胸はチクリと痛みました。やっぱりもっと私が寛容になればよかったのか。「天使の分け前」のロビーも仕事も金も家もなく友達の家を点々としていたので、その友人を思い出したのだけれど、その後彼は、起業してロンドンのテイト・モダンで企画展をしたり、ルイ・ヴィトンと仕事をするような成功者になっています。

「天使の分け前」の後半は、前半が妙にリアルなのに比べ、お伽話か?!とも思える展開なのですが、現実にもすぐ近くに似たような話はあったのでした。やはり私もハリーおじさん天使の域に達したいところですけど、夫の家族や友人が泊まりに来るだけでひるんでいてはまだまだ・・・