Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

ルイス・ウェイン生涯愛した妻とネコ

2022-12-02 00:48:58 | ベネディクト・カンバーバッチ

ずっと楽しみにしていたこの映画、朝9:50の回をお仕事前に見てきました。

ヴィクトリア時代に大人気で晩年精神を病んでしまった猫画家をベネディクト・カンバーバッチがそれはそれは美しく、髪を振り乱しても、年老いても、愛おしい美しさを演じました。

映画としてもまるで絵のような美しい世界があり、一癖あるベテラン俳優から若い俳優、そしてなんとニック・ケイブとタイカ・ワイティティのカメオ(?)まであり約2時間が旅のように過ぎました。

猫映画としては、ボブの方が猫猫しいかなと思いますが、不器用でピュアなルイスのベネさんが私の中でギラムさん以降No.1になっています。

しかし5人の妹を養う重荷とは彼のような人の精神を追い込むには充分で、今ならフェミニズムや、ウィリアム皇太子もPRしている男性のメンタルヘルスなどの救いが見つかりますが、当時はそれ以外の道が許されてなかった辛さ・・・上流階級とはいえ財産がないって、まだヴィクトリア時代なのにどうしてそうなっちゃったんでしょう。


ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス

2022-05-09 18:18:45 | ベネディクト・カンバーバッチ

「ドクター・ストレンジ」は2016年ですのでこの続編までなんと6年もかかりました。

そんなお久しぶり感がないのは、「アベンジャーズ」や「スパイダーマン」でもストレンジ先生はとても単独映画1本しかないヒーローとは思えないご活躍振りだったからですね。しかもかなり中心的な役割で。ヒーローとしてはパッと出の新人なのにいきなりのこのポジションで無理がないのはベネさんの俳優としての力量でしょう。

マントちゃんの力量も増大してまして、ますます活躍してくれてました。スピンオフ作って欲しいくらいです。ディズニー+なら、きっとできますよね?!

そしてひとつ前の記事で書きましたが、ドラマ「ワンダヴィジョン」を見て行ったのは大正解でした。私が小耳に挟んだ噂は「とあるワンダとストレンジの会話がわからない」という意味のものでしたが、そもそもの発端であり全く話が繋がっていました。こんなことが起こるのでディズニー+のドラマは侮れません。

 

〜さて、ジワジワとネタバレを始めるので、避けたい方はSTOPですよ〜

ディズニー+のドラマと言えば、「What if」のファースト・エージェントことキャプテン・カーターが実写で出演してくれたし、ドクター・ストレンジのクリスティーンへの未練も「What if」を見ておくとよくわかります。ただ、こんな調子でマーベルユニバースは知っていればそれだけ楽しみも多いことはわかったけど、「X-MEN」を見たことない私には『内輪の話か・・・』というパートもありました。「見てね」ってことなんでしょうけどね。

本作で1番のびっくりは、予告編でストレンジが協力を求め訪ねたワンダが、仲間として一緒に闘うのかと思っていたら敵になってしまったことです。道理でマーベル映画に付き物=ヴィランのキャラが前情報になかったわけです。ワンダがヴィランなんだから。ワンダヴィジョンのファンとしては彼女がずっと見られるのはいいのだけれど複雑な思いも。

・・・ちょっと不満が残ったのは ー 彼女の生い立ちとヴィジョンとの関係から自然ではあるものの、ワンダが悪い魔女になってしまった理由が子供たちへの愛と喪失感、母としての悲しみというのはいささか陳腐では?と感じてしまったこと。しかも、ストレンジに「あの子たちは君が魔法で創造したものだ」と指摘されて「そうよ、全ての母親がやるように」と答えた。これは、母親が子供を産んで育てるのは魔法だという意味にとれたのですが、う〜ん、男性が女性と母性を不必要にファンタジーに祀ってるように感じてしまいました。そして愛する夫の喪失感よりも子供の喪失感の方が女性が理性を失う理由として説得力があるとされたのか、気の毒なヴィジョンよ、AIとはいえ実在したのに。。。

ストーリーで良かったのは、クリスティーンがストレンジを好きでいながらも自分が結婚する相手じゃないと賢く悟ったことでした。これで「What if」にもケリがつくといいますか、6年も経ったんだからエリートニューヨーカー前進しますよね〜私もスッキリしました。

期待の新人、マルチバースを移動するアメリカちゃん、かわいいです。彼女は両親もママふたりで、本人も女性が恋愛対象のキャラらしいんですが、セクシュアリティは本編では触れられてないはずなのに、どこかの国で公開禁止になったとか。日本はマイノリティ差別に鈍感だけどマイノリティそのものにも鈍感なので、公開禁止にならない。

マルチバースを渡り歩く本作、行く先々でのストレンジ先生がちょっとずつ違うのですが、微妙にグレーヘアの位置が違うとかでかっこよく見えなかった・・・!こっち側のストレンジ先生が完成形ということがよくわかりました。銅像の先生はなかなかカッコよかったけど。

「狂気の多次元論」というタイトル通り、別の次元に移動する事は何でもありストーリーになりますので、観客が辻褄を合わせる意味もなくなりストーリー自体が崩壊してもおかしくないところ、流石のサム・ライミとマーベル、固定されたバースにいる観客が次元の旅の後にちゃんと元の次元に着地したと安心できる構成がハリウッド映画のありがたさだなと思えました。

最後に、上のメジャーなポスター画像よりも本作をよく表してるな〜と思うのが下です。

曼荼羅みが炸裂、悪魔の毒毒モンスターが炸裂はけっこう苦手・・・!!てかサム・ライミ監督が「死霊のはらわた」の人とは知りませんでしたよ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 


エジソンズ・ゲーム

2020-06-19 18:07:00 | ベネディクト・カンバーバッチ
直流派エジソンの交流派ウェスティングへの異常にネガティブなこだわりに振り回される電流戦争のお話でした!

エジソンの性格の悪さは、ベネディクトさんの配役をもってしても、やっぱり嫌なヤツとして記憶に刻みつけられました。

何と言っても許せないのはライバルの劣性を主張するために動物実験を公開したことと、テスラを騙したことです!

主役のエジソンに対してはちっとも共感しなかったのですが、大きいスクリーンで見て正解なのは映像がとても迫力のある美しさだったこと。

「光」のシーンは希望につながると人間の思考回路はできてるのか、電球の実験シーンは科学なのに幻想的。万博が開かれたシカゴの町はミニチュアのおとぎの国のようにきれいだったし、雪も暗闇もアメリカは規模が違うなあ!って地理の知識からくる先入観かもしれないけれど、ナイアガラの滝は、やはり絶景でスタッフはインスタにあげたかな、と思わず想像してしまいました。

あと、エジソンって小学校を退学になったことで有名なのでコミュ障だったのかなと思っていたら、そういうわけではなく言葉巧みなプレゼンが上手くて意外でした。やはり大きなアメリカをマーケットにビジネスをすると堂々とした売り込みが必要なんですね。

エジソン助手のインサル(トムホ)くん、期待以上に出番も多く、あの性格の悪いエジソンに忠実なわけを最後に「楽しいから」の一言でまとめてくれてて感激です。12歳?とか言われてたけど本当は何歳の役だったのだろう。



そして移民だからと不遇な目にあわされてたニコラ・テスラ(ニコラス・ホルト)!本当に美男子で、長身で、洒落者だったらしいです。女性キャラの存在感が薄かったので、華を一人で背負ってました。衣装違いのキャラ人形が欲しいくらい。



彼も天才肌の発明家で、エジソンの元で偉業を成し遂げるのかと思ってたら、エジソンの気まぐれに愛想を尽かして独立、のちに一応ウェスティングと組んだけれど基本一匹狼な人でした。




最後に、あの時代はまだ死刑は当然と思われていたのが、100年で人の意識、常識って変わるんだな!と改めて。。。


アニメThe Tiger Who Came To Tea

2019-12-27 00:00:00 | ベネディクト・カンバーバッチ


大好きなジュディス・カーの絵本「おちゃのじかんにきたとら」がアニメ化され、クリスマスイヴにイギリスのチャンネル4で放送されました!

60年代というレトロな時代の背景そのままですので、原作の絵柄は全然違いますが、どこか先日公開されたレイモンド・ブリッグズの「エセルとアーネスト」を思い出させるものがありました。

多分それは子供の表情や動き、意外にがっちりしたイギリス人ママの体型、子供に甘いお母さんと家族を愛するちょっとおどけたお父さんの雰囲気のせいです。

お父さんの声はベネディクト・カンバーバッチ。優しくてちょっとおっちょこちょいなところが、まるで「キャビン・プレッシャー」のマーティンが大人になったような。ベネディクトさんの家庭でのパパぶりを思わず想像してしまいます。

児童書が原作ですので、30分のアニメ化にあたり登場人物やエピソードが追加されていてイギリスにも「お魚くわえたドラ猫」が登場して私はびっくりしてしまいました。「イギリスの猫は魚を食べない」とどこかで聞いたことがあった気がしたからです。食べることが証明されました!!

それとお茶に参加した「トラさん」が、絵だけより動きがあると生き生きしていてまさに命が吹き込まれていました。猛獣であり、猫科の優雅な生き物であるトラを擬人化するのは制作スタッフ実は大変だったのでは、などと想像しました。

そして主人公ソフィはまだ小さい女の子なのでトラと背丈がほど一緒、トラの背中に乗るなどネコ好きが羨ましさに悶えそうです。

絵本の良さがさらに膨らんで見れて、今年亡くなったジュディスの素晴らしい追悼になったと思います。

とてもいい作品なので日本でもNetflixとかで配信してみんなに是非見て欲しいです!




おちゃのじかんにきたとら

2019-07-30 13:48:00 | ベネディクト・カンバーバッチ


ベネディクト・カンバーバッチさんが絵本「The Tiger Who Came to Tea/おちゃのじかんにきたとら」のアニメ作品に声の出演をするというニュースが!



チャンネル4というイギリスの民放が絵本をアニメ化し、今年のクリスマス番組として放送されます。

ベネディクトさんといえば、かれこれ7年前にも「スノウマンとスノウドッグ」の朗読をしてCDブックとして発売されており、チャンネル4TV放送のアニメも作られましたがそちらは無声作品でしたが、とても心に残る良いアニメに出会えて幸福です。

が、今度は声の出演者が複数発表されており、ふつうにキャラクターたちが喋るアニメです。ベネさんは主人公ソフィーのお父さん役で、物語の後半に出てきます。

私はこの絵本が大好きなので、そりゃあもう興奮してしまいました。やったー!やったー!

この絵本とは、ロンドン育児時代にチャリティーショップで絵本を見つけて買ったことが出会いでした。

まずイラストがかわいいので購入したら、その時一緒にいた義理の弟のガールフレンドが「ああ、それね」と知っていたので、英語圏では定番の絵本らしいと知ったのでした。

初版は1968年。

大好きな60年代イギリスのファッションと物たちが丁寧なイラストで表現されていて見るだけでもキュン。

トラはつり目に描かれていて、ベネさんに似ているみたい。



今回、日本語版のイラストを探していて日本でのレビューを初めて目にしたのですが、最も参考になったレビューが「心が広い人にはいいでしょうけど私にはちょっと・・・」というもので意外でした。

改めてストーリーを確認すると、

トラが突然家にやってきたので、ソフィーとお母さんはお茶をすすめた。
トラはペロリとお菓子を食べてもまだお腹が空いてたみたいで、家中の食べ物と飲み物を平らげて満足したようでどこかに帰って行った。
夜、お父さんが仕事から帰ってきても家には食べるものが何もない。
そこでお父さんは「いい考えがあるよ。レストランに食べに行こう。」
一家はレストランの帰り道に食べ物をどっさり買い、念のためにトラ用フードも買いました。
でもトラはそれきり現れることはありませんでした。


というのがあらすじ。

言われてみれば家中の食べ物飲み物をトラにとられたら、怒るのが普通なのかな?

日本で日本人とだけと暮らしてると理不尽な目にはあまり合わないから、そこに焦点が行くのかな。

私は夫の両親(主に母親)に、私にはビックリな「良い/悪い」の基準を改めて考えさせられるような謎の体験をいっぱいさせられているので、

トラが来て家中のものを食べて行った(悪い出来事かも/でも裏を返すと滅多にできないドキドキの体験じゃない?)から家には何もないことよりも、

お父さんが「外に食べに行こう」と発想の転換をして、結果家族みんながレストランで楽しい思いをした、

トラ用フードを買ったということは、一家みんなが密かにトラにまた会えたらいいなと期待しているのだな、と思って

トラが来ること(=災難)もとり方次第で楽しい体験でもあるんだ、というふうに絵本を読んだのでした。

年末アニメが楽しみ。

そして今年95歳で亡くなった著者のジュディス・カーのためにも、

テレビアニメで、また新しい世代の子供達にこの物語が受け継がれていくのだな、と嬉しく思います。