ウィショーさん:セーター/PRIVATE WHITE VC. パンツ(見えないけど)/キングスマン ケイさん:ブレザー/ポール/スミス
やっと内容レポです。しかしウィショーさんとアダムさんがお揃いのような服を着てるので顔の形が▽と△で対照的なのが強調されてププッ。編集さん狙ったな。
この度サブスクしたので全文読めたのですが、長くてレポするのにプリントアウトしてみたらなんと12pにもなりました。ですので印象に残ったパートの抄訳となります。誰も求めてないかも知れませんが・・・
ー 自伝ということで自分を演じる配役について、アダムはジュディ・デンチにやってほしいとプレスに言っていた。「悪いことにならないように、劇場の大御所貴婦人をあげといたんだよ。」とは言え、始めから彼のウィッシュリストのトップにあったのはベンだった。
ー BBCドラマ化された「This Is Going to Hurt」は消耗しきったジュニアドクター時代の全てを綴ったもので、出てくる「brats(ガキ) and twats(陰部)」は大学医学部での産婦人科の通称。2017年に出版され記録を破砕する9ヶ月の間ベストセラーに留まり、150万部売れ、37語に翻訳され、ナショナルブック賞のブックオブイヤーに輝いた。ケイはセンセーションを起こし、政府に出向いて医療の状態について助言もした。この雑誌でのコラムも書いている。成功、というわけです。
ー この作品は広い意味では、トラウマを処理できず感情から遠ざかることとジョークで痛みを隠している人間のポートレイトだ。数年に及ぶ睡眠不足と過労をユーモアのマスクで隠し、残酷なコンサルタントが言うよう「産科のキャリアのどんな成功の果てにも君の名前が書かれた死んだベビーでバスが埋まるほどになる。」そう、ドラマはコメディだが、暗い方のやつだ。
ー インタビューはスタジオで、ちゃんと座れないほど豪華でオーバーサイズの椅子が設置されている。ケイはその端っこにちょんと座り前にかがんで、目には不安が浮かび悪戯っぽく口をひねって。もうひとりのアダムこと、スクリーンではデイム・ジュディ・デンチではなく映画スター=ベン・ウィショーが、もう一つの椅子の後ろの端に座った。
ー 「自分を演じる俳優を見つけるプロセスって、デートのように始まるんだよね。自分も選ばれなくてはならないから。」とケイ。脚本をベンのエージェントに送ったのち、二人はコヴェントガーデンのカフェで会った。「この男を演じられるかな?」
って考えながら僕を調査していた?とケイが聞くと、ウィショーは「それは考えないようにしていた。今でもまだ気まずいよ。」とキャラクターの解釈について触れる。
キャラが今ここに座ってるからというんじゃなくて、「あなたの書いたものは、とても容赦がなくて、そして私的なことでしょう。僕がそれをどう感じたらいいか、それをまた別の人にどうぶつけるか。奇妙な感じ。」「彼はアンチヒーローなところが好き。彼はとても笑えて、とても残酷で、そして賢いのに、あの無能さが・・・僕はあなたが無能だって言ってるんじゃないからね!」とケイの膝に手を置き安心させた。
〜ドラマのキャラ=アダムは実際のケイとはまた別のキャラを作った
ー 「スクリーンのケイはやなヤツだし。」書いてて1番楽しめたのは彼のことをあからさまに軽蔑している人たちとケイのやり取り。実はケイはカメオ出演もしていて、サイクリストになってアダムにひどいことをしている。
ー ウィショーにとって色々封印してこととドラマはタイムリーな関連性があるのが明らかだ。舞台は2006年だが(しましま注:え、じゃアダムさん当時25歳?!その役をウィショーさんが・・・)そのテーマは間違いなく2022年のパンデミック騒ぎと重なる。「僕たちはこれをNHSへのラブレターにしたかったんです。」ケイも同意して「この組織を『文明の最も偉大な功績』として描きました。」と。だが盲目的に讃えるのではなく事実をあるがままに伝える義務を感じていた。
ー 日記に綴ったNHSの官僚制度を一つ一つ伝えるにはドラマでは時間が足りなすぎるが、まとめて串刺しにして、患者、スタッフ、ドクターたちみんなの人種や階級問題で沸き起こる緊迫状態をうやむやにはしていない。ケイは簡単ではない人間関係の小さな軋みを感じる感度が高かった。『This Country』のアシュリー・マクガイアの演じたホートン・コンサルタントによってNHSないの階級問題が見事に表現されていた。
ー もともとのプランAでは、使われなくなった病院でロケをする予定だったのだが、パンデミックで廃病院がこぞって現役復帰したため、チームはプランBとして、使用されなくなったイーストロンドンの大学に病棟を再現した。細部まで恐ろしいほど本物のようだったとケイ。「超音波の機械も完全に2006年のものだったよ。」
ー ウィショーの準備もまた痛手を被った。アダムが実家に戻って母親と会話をし、シューベルトを弾くのは、小さいけれど重要なシーンだ。それに専門用語も覚えなくてはならない。医学部の学生はトレーニング中に5000もの単語を習得する。そして産科の手順のあれこれにも詳しくなくては。カメラの前で緊急帝王切開手術をした経験は感動だったという。「ショックでしたね。ベビーはあんなに小さくて、生きている。きっとあれを見た人たちは違う!ってそういう風にはやらないよ、って言うんだろうなあ。」
ー 本物のドクターやナースたちが見て「チッ」としたを打つ医療ドラマは多いけど、彼らが「正しくうちの病院だ」と思うようなものにしたかった、とケイ。
ー ふたり共興味をそそられたのは、(ウィショーにとっては「恐れた」)4番目の壁(しましま注:スクリーンのことですね)を破ってテレビの視聴者に直接語りかける手法だ。これによってケイの原作中の夥しい脚注を画面に持ち込むことができた。
ー ボンドのQからペルーから来たクマ、パディントンの声、バフタやエミー賞に輝いた「英国スキャンダル」のジェレミー・ソープとウィショーのキャリアは幅が広いが、これぞコメディというのは2005年の「Nathan Barley」以来となる。なんでコメディがないのでしょう?
「顔が悲しみを誘うからだと思う。」と真顔で言うウィショー「みんな僕が苦しんだり常に困難に陥いればいいと思ってる。」
ー 「医者をやめた時、次はどうするか決めてた?」とウィショーからの質問にケイは「辞めたら、パートナーとの関係も破綻した。端から見たら大失敗だった。事実、そうだったのかも。」でもカップルの家を売ったので、半年間、クリエイティブな道へ行くための経済的余裕ができた。「雇われ殺し屋」のようにライターとして働いて、エジンバラフェスで日記のパフォーマンスをしたら出版社への道が開けた。
ー ケイ家は医者の家系なので医者になるというのは若いうちから何も考えなくても当たり前のことだった。パブリックスクールからインペリアルコレッジへ進み卒業するどこかで、自分の選んだキャリアが好きではないと気づいた。がすでに遅かった。
ー ウィショーの場合は正しい仕事に就かねばというようなプレッシャーはなかった。初恋である「演技」は両親に励まされたのだ。「がんばれ、やりたいことをやりなさい。」2003年にRADAを終えた時にはすでにあちこちのユース劇団のクレジットに名前が出ていた。というウィショーの生い立ちを聞いたケイは一瞬寂しそうに「君のご両親がうちの親に何か言って欲しかったよ。」そして「親は子供に最善を尽くしたい。あれが彼らが知っていたことだった。」とも。
〜NHS問題が長めに語られたので長めに省略〜
ー ケイは「医学界は社会から10年遅れている。」と振り返る。「性差別、人種差別、同性愛嫌悪が減るのは頭の古い経営陣とコンサルタントが引退したら。」
(しましま注:日本なんか社会全体で100年遅れているとため息)
ー パンデミックで丸1年仕事ができなかったウィショーは家にこもって完全に目的を見失っていた。「精神分析医かセラピストを目指して勉強しようかと思ったんだけど・・・何をしなくちゃならないかを調べてみて、それはできないと。」
ー 3度目の出演となる「No Time To Die」公開が3度も延期されたのは休むチャンスにはならなかったのだろうか?「全然。全く休息にはならなかったよ。」
ー 演技でなければ、彼は何をしていたのだろうか?「僕は何もスキルがないし、役立たずなんです。よく思うんです、なんの役にも立たない人間だって。」
ー 「若い頃の自分にアドバイスするとしたら?アップルの株を買えってかな。と言い放つケイ。ウィショーは拷問されたような顔を空に向けて「僕は・・・賢くなったと思えない。」そしてついに口を開くと「年をとるのは嫌だし、見たくないし、自分の・・・」まで言って口を閉ざし、一瞬マーマレードサンドイッチを失くしたクマのように見えた。
〜この後ケイさんの話が続く〜
さすがライターだけあり、それに元口の悪いドクターだけあり、よくしゃべる。(失礼!)私のブログ的にはウィショーさん周りは訳したのでこれにて十分かと。
まあ、このふたり、同じ年なのに、16年前の役を演じたウィショーさんさすが超越してます。