すごい久々に岩波ホールへ行きました。
最後に行ったのが一体いつなのか、多分ヴィスコンティとかベルイマンとか見てもよくわからないのに見に行ったような気がします。
で今回は「エセルとアーネスト」が東京で唯一の上映館だったのです。
神保町駅だと駅ウエとでも言うのでしょうか、とにかく駅から垂直移動しかない真上で便利なのですが、私は定期のある千代田線から歩いて10分ほどだったので、電車代節約と運動を兼ねて歩きました。
途中「タコベル」にもよってタコを食べ、神田の街の、書店とお手頃なレストランがひしめき合ってる様子に昭和にタイムスリップしたような気がしました。
「エセルとアーネスト」は試写を見たので2度目になります。
で今回はアーネスト役のジム・ブロードベントが本当にうまいなぁと感心することしきり。というのも、アーネストは20代の若者時代から71歳までがでてくるんですが、最初は若者に聞こえるんですもの。それに陽気で気のいい牛乳配達の労働者階級の人なんて、私が今まで見た彼の役とは全然違っててジムさんだと忘れてしまいます。
牛乳配達といえば、以前にも書きましたが「ヒマを持て余した主婦の浮気相手として英国では認識されている職業」なので、「奥さんが更年期でオレの手にあまるから頼まれてくれないか・・・」と顧客にしっかり相談されていて、吹いてしまいました!
アーネストは労働者階級に誇りを持ったステキな人なんですが、
エセルって、息子の髪型に敏感で泣いたり注意したり。政治や戦争のことはよくわからないなりに持論でぶった切る。ヒロシマの原爆で10万人が亡くなったと聞いて「みんな死んだら戦争が終わるからいいわ」とか言ってしまう・・・・私の頭の中の典型的なムカつく白人のおばあさんなんですよね。
アポロの月面着陸では、もうだいぶ弱ってたのでテレビも見えてなかったようで
エセル「月に行って何してるの?」
アーネスト「その辺を歩き回って帰って来る」
エセル「ピクニックしてくるのかしら、いいわね」
アーネスト「お茶がポットから飛び出しちまうな」
エセル「あら、そんなに風か強いの?」
アーネスト「重力がないから」
エセル「そりゃそうよね」
って会話が可愛くて好きでした。
それと、ふたりが出会った時にエセルはメイドとして働いていたのですけど、実際は家の掃除もしてましたから小間使いの仕事もしていたのに、「私はレディズ・メイドよ!」と労働者階級ではない、と主張してるんですが、
「ダウントン・アビー」で覚えた使用人の階級、レディズ・メイドは奥様の身の回りの世話をする、男性なら旦那様の衣装係のヴァレットに相当するかなり地位の高い使用人ではあります。
エセルはかなりズレてるけど、アーネストが包容力のある人で羨ましいなあ。