【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

トレンド分析ML251の文化マーケティング関連Blogです。ML251の主業務はトレンド分析をコアにしたデスクリサーチ。

「製品」ではなく「文化」を売るという哲学-「GIANT」(台湾)の経営哲学

2012年08月24日 | マーケティング話
(今日は、先日、Facebookに書いた内容の加筆修正です)

世界最大の自転車メーカーに登りつめた台湾の「GIANT」。
とにかく、この記事を読んでほしい。
日本の誇るべき製造業のソニーやパナソニックの凋落、
ガラパゴス化した理由がよくわかる。
ちなみに私も、ママチャリを使っているが・・・。
(シマノ6段変速ギア付)

(以下引用。「彼」とは「GIANT」のカリスマ経営者、劉金標氏)
10〜20年単位でこだわり続けてマーケットをつかむ彼の執念は素晴らしいと感じました。

また、自転車業界をどうやって引っ張っていくかを常に考えていることから、「自転車界のゴッドファーザー」とも呼ばれています。彼は「自転車という機械ではなく、自転車という文化を売っている」と、ここ10年くらいずっと言い続けています。
(以上、太字部分は引用者)


十数年前、私は某経済研究所で、
日本の「スポーツサイクル市場規模」の数字を作っていた。

カテゴリーは大きく以下の三つ。

(1)マウンテンバイク(MTB)
(2)ロードレーサー
(3)BMX

オフロード用のMTBに街乗り用のタイヤを履かせたのが「クロスバイク」。
マウンテンバイクのカテゴリに入れていたが、
ライト層訴求による市場拡大のキーとなるバイクだ。
90年代、「メッセンジャー」という映画が上映され、
「瞬間風速」でMTBのブームも起きたのも思い出される。

小さな市場の中、
「スポーツサイクル」のカテゴリーに入れてたのは、
ぎりぎり「GIANT」までだった。
それより低価格のものは「ルック車」といって「偽物」。
それ入れちゃうと市場が数倍になってしまう・・・。
「偽物」はただ安いだけではなく危険だ。
例えば、折り畳み自転車(ホールディング・バイク)というのがある。
商店街の福引で当たったような「安物」だと、
走行途中で部品がとれるという事故の危険性もある。
事実、私の友人は安物のホールディング・バイクに乗っていて、
坂道を走行中、部品がとれ大怪我をした。

台湾の「GIANT」がこんな哲学で頑張ってたことは、
この記事を読むまで知らなかった。
数の少ないコア層(スポーツサイクル)と、
パイの大きいママチャリのような大衆車市場の分裂。
こういった「常態」にくさびを打って、
新市場を開拓する。
それは、「文化」を創るということだ。
損得勘定は必要だけど、
それだけじゃできないことだ。

私が関わっていた当時の業界は、
プロ仕様、つまりマニアックな市場に偏重していたように思う。
「世界の常識」は、ツール・ド・フランスで優勝した選手のバイク(ロードレーサーの場合)。
国内メーカーのマーケター達にとって、
「GIANT」も「偽物」の類、と考えている人達もいただろう。
「ユニクロ」を「ファッションではない」と決めたがる、
アパレル業界の一部の方々のように。
マウンテンバイク協会の方にお話を伺っても、
訴求策はアウトドア・イベントぐらい。
それも、お金の「出所」でメーカーさんに苦言を呈していたり。
(担当者の方々は、個人としては「いい人」だったけど・・・)
こういうのって、多くの業界で見られることなんだけどね・・・。

そして、当時、国内のスポーツサイクルメーカー(主に輸入商社)の人達が、
口を揃えて言っていたのはこういうこと。

「日本にはドイツのような自転車専用道路=インフラが整備されていない」
「つまり、自転車の文化がない」

それは事実であるが、、、

「日本にはロックの文化がない」
「欧米のように音楽が生活の中に溶け込んでいない」

という、どこかの業界人と同じだ。
そんな「業界」でもね、
じっくりやりゃ何とかなるって思う今日この頃だ。
もちろん、過去の「常識」なんて捨てての話だ。
***************************************
▼記事へのご意見、Cultural Marketing Lab INOUE. (CMLI) へのお問い合わせは下記メールにてお願いいたします。
sinoue0212@goo.jp
***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数8,900突破しました!

私の思想=文化マーケティングの視座が凝縮されています。
http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
▼パートナー企業様
*詳細につきましては担当者とご説明に参ります。

【ソーシャルリスニング】につきましては、
GMOリサーチ株式会社 「GMOグローバル・ソーシャル・リサーチ」
http://www.gmo-research.jp/service/gsr.html#tabContents01

【激変するメディアライフ! 感性と消費の新常識】
アスキー総合研究所「MCS2012」
http://research.ascii.jp/consumer/contentsconsumer/
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。


音楽 ブログランキングへ

マーケティング・経営 ブログランキングへ


最新の画像もっと見る