★2006年6月10日、mixiの「おすすめレビュー」にアップした書評です。
タイトルは『音楽と意図―ヒットチャート考現学!』***************************************************************************
著者の「ターザン山本!」(山本隆司)氏は、かつて『週刊プロレス』を40万部のモンスター雑誌に育て上げた人物なんですね(お名前存じておりませんでした-汗)。
◆基本的に音楽にはまったく興味ナシ
◆紹介するアーティストについての予備知識ナシ
◆偏見も下心も邪心もない、ナイナイづくしの純真無垢な音楽レビュー
こういうコンセプトっていいもんです。
著者の「音楽論」も明快でわかりやすい♪
「音楽」とは時代の空気がそのまま音になったもの。
特にヒット曲はそうした時代の空気の最大公約数を表したものである。
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音楽(アーティスト)は、「作品」として捉えることもあれば、「商品」として捉えることもあります。
なかなか明瞭に区分は出来ないのですが、「商品」として捉える場合には、ヒット曲の背景に、「時代」「生活者」「消費者」の“気分”を読み取りたいと私は心がけています。
私も「日本消費者行動研究学会員」の端くれです。
そう考えると、本書から得られたモノは少なくありません。
80年代後半から90年代にかけて、わが国の産業構造・ライフスタイルの変遷とともに、時代を象徴する「ヒット曲」のあり方が大きく変わってきたのを実感したのは私だけではないはずで。
著者の言葉で表せば、こういうことなんですね。
「共通分母」(=同時代人)の喪失
その時代を生きた人ならば誰でも知っているヒット曲の時代が終わったといこと。NHK「紅白」の凋落は時代の必然性ということがよくわかります。
そこで「ヒット曲」は、「分母」の時代から「分子」の世界へと転換。
私たちは「分母」への幻想を捨て、「分子」を求めるようになった。
作り手側も「分母」になりきれないことがわかっているからこそ、アーティスト(歌手)という分子としての魅力を放出している。
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で、本書の内容なんですが、ユニークこの上ない「仮説」がポンポン吐き出されています。
例えば、
「、」と「。」のない、宇多田ヒカルの世界が、責任を負いたくない現代人にマッチした。
ううん、深読みじゃないのぉ~
いやいや、そんな気もしてきたぞ。
定量化してみたいけど難しいか。。。(笑)
「ぼくたちの職業は深読みされてナンボ」(平井堅談、『ぴあ』のインタビューより)
深読みOK、OK♪
それがなくっちゃ、「仮説」もでてきません。
「天才」の閃きってそういもんだしね。
ところで本書では、今や世界的なアーティストとなった村上隆氏との対談が収録されています。村上隆の読みは鋭いですね。特に「ヒップホップカルチャー」への言及へは含蓄はなかなかのものです。
【ロックンロール】
・白人的な「個」とアイデンティティを強力に持っている=「向かい合い」
・自分がいて、相手がいて、対峙しあってコミュニケートするという西欧的、シェークスピア的世界
【ヒップホップ】
・背景には黒人文化。向かい合う個と個ではなく、同じ血を持つ同胞同士のコミュニケート
(ブラザーに流れる血)=「並んで寄り添う」
わが国でヒップホップカルチャーが流行する、ヒップホップ的な楽曲が流行するのは、「向かい合うこと」を受け入れがたくなってきた、という感性の変化ではないのか?
さらに、日本人が元からもっている、なるべくヒエラルキーを作りたくない、ひとりだけ突出するのではなく、なるべくフラットな関係でいたいという欲求も含まれているのではないか? と仰せです。
これにとどまらず、何事も「追求すること」が好きな方には超お薦めの一冊です。
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お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。
タイトルは『音楽と意図―ヒットチャート考現学!』***************************************************************************
著者の「ターザン山本!」(山本隆司)氏は、かつて『週刊プロレス』を40万部のモンスター雑誌に育て上げた人物なんですね(お名前存じておりませんでした-汗)。
◆基本的に音楽にはまったく興味ナシ
◆紹介するアーティストについての予備知識ナシ
◆偏見も下心も邪心もない、ナイナイづくしの純真無垢な音楽レビュー
こういうコンセプトっていいもんです。
著者の「音楽論」も明快でわかりやすい♪
「音楽」とは時代の空気がそのまま音になったもの。
特にヒット曲はそうした時代の空気の最大公約数を表したものである。
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音楽(アーティスト)は、「作品」として捉えることもあれば、「商品」として捉えることもあります。
なかなか明瞭に区分は出来ないのですが、「商品」として捉える場合には、ヒット曲の背景に、「時代」「生活者」「消費者」の“気分”を読み取りたいと私は心がけています。
私も「日本消費者行動研究学会員」の端くれです。
そう考えると、本書から得られたモノは少なくありません。
80年代後半から90年代にかけて、わが国の産業構造・ライフスタイルの変遷とともに、時代を象徴する「ヒット曲」のあり方が大きく変わってきたのを実感したのは私だけではないはずで。
著者の言葉で表せば、こういうことなんですね。
「共通分母」(=同時代人)の喪失
その時代を生きた人ならば誰でも知っているヒット曲の時代が終わったといこと。NHK「紅白」の凋落は時代の必然性ということがよくわかります。
そこで「ヒット曲」は、「分母」の時代から「分子」の世界へと転換。
私たちは「分母」への幻想を捨て、「分子」を求めるようになった。
作り手側も「分母」になりきれないことがわかっているからこそ、アーティスト(歌手)という分子としての魅力を放出している。
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で、本書の内容なんですが、ユニークこの上ない「仮説」がポンポン吐き出されています。
例えば、
「、」と「。」のない、宇多田ヒカルの世界が、責任を負いたくない現代人にマッチした。
ううん、深読みじゃないのぉ~
いやいや、そんな気もしてきたぞ。
定量化してみたいけど難しいか。。。(笑)
「ぼくたちの職業は深読みされてナンボ」(平井堅談、『ぴあ』のインタビューより)
深読みOK、OK♪
それがなくっちゃ、「仮説」もでてきません。
「天才」の閃きってそういもんだしね。
ところで本書では、今や世界的なアーティストとなった村上隆氏との対談が収録されています。村上隆の読みは鋭いですね。特に「ヒップホップカルチャー」への言及へは含蓄はなかなかのものです。
【ロックンロール】
・白人的な「個」とアイデンティティを強力に持っている=「向かい合い」
・自分がいて、相手がいて、対峙しあってコミュニケートするという西欧的、シェークスピア的世界
【ヒップホップ】
・背景には黒人文化。向かい合う個と個ではなく、同じ血を持つ同胞同士のコミュニケート
(ブラザーに流れる血)=「並んで寄り添う」
わが国でヒップホップカルチャーが流行する、ヒップホップ的な楽曲が流行するのは、「向かい合うこと」を受け入れがたくなってきた、という感性の変化ではないのか?
さらに、日本人が元からもっている、なるべくヒエラルキーを作りたくない、ひとりだけ突出するのではなく、なるべくフラットな関係でいたいという欲求も含まれているのではないか? と仰せです。
これにとどまらず、何事も「追求すること」が好きな方には超お薦めの一冊です。
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