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落合信彦と『坊ちゃん』

2008年10月07日 | Weblog
あれは高校2年生の時だった。

担任の先生が読書家で教室に小さな本棚があり、そこに先生が読んだ古本が置いてあった。
僕ら生徒は好きなものを好きなだけ読めた。
きっと借りっぱなしの奴もいただろう。

そこに落合信彦の本があった。
落合信彦は当時アサヒビールのCMに出演していたから、僕らは“ビールのおっさん”ぐらいに
思っていた。

ヒマ潰しに“ビールのおっさん”の本でも読んでみるか・・・、と軽く手に取ってみた。
その後僕の人生は少しだけ変わったかも知れない。

読んでみたらもの凄く面白かった。
隣りの机の連中にも「コレ、読んでみ」と薦めていた。

感受性の強い10代の僕らはみんな貪るように落合本を読んだ。
その勢いで雑誌の連載やら、新刊やらを回し読みするようになった。

先生のおかけで落合信彦と出逢い、落合信彦と出合って読書の楽しさを知った。

同じクラスに五十嵐君という人がいて、彼とよく落合信彦の本のことで語り合っていた。
彼もまた落合信彦の愛読者だった。
彼は、ハードカバーの落合本を授業中に読むほどの入れ込みようだった。
ちなみに文庫本は教科書に隠して周りの連中は読んでいた(笑)

ハードカバーの単行本は隠せないからバレてしまう。
そこで五十嵐君は考えたのだ。

小学生とかが読む、文庫本よりも簡潔に書いてある単行本の夏目漱石『坊ちゃん』のカバーで
落合本を隠したのだった。

意外にこれも目立ってしまって、先生に「ハイ、五十嵐!この答えは?」と教壇から指された。

五十嵐君は落合信彦に夢中だったから答えなど分かるはずもない。
多分この時は、僕だけが彼が実は落合本を読んでいると知っていたはずだ。

ちょっと不良っぽいクラスメートが五十嵐君に向かって、
「五十嵐、でっけぇー『坊ちゃん』読んでんじゃねぇーよ!」と言った。

五十嵐君は、ニャッと笑った。
僕は内心爆笑した。

僕は今でもこの
「五十嵐、でっけぇー『坊ちゃん』読んでんじゃねぇーよ!」というのを思い出しては笑う。

五十嵐君はどうしているんだろう?
あの時、みんなで落合信彦を回し読みしたみんなはどうしているんだろう?

何となくあの時を思い出してしまった。