ひとひらの雲

つれづれなるままに書き留めた気まぐれ日記です

お正月の風景

2019-01-06 19:20:06 | 日記
 遅ればせながら明けましておめでとうございます。今年一年が皆様にとって良い年でありますように。そしてまたマイブログの方もよろしくお願い申し上げます。

 今年のお正月はよく晴れましたね。昨年の暮れは曇りがちだったので、年明けの青空が眩しいくらいでした。晴れただけで上々吉のような気分になります。
 元日や 上々吉の 浅黄(あさぎ)空
 これは一茶の句ですけれど、浅黄色は濃い空色の意。飛び切り上等の青空が広がるめでたい元日だね、というわけです。

 浅黄空

 また昔のお正月は女性陣が華やかに着飾っていたものです。そんな風景を詠んだ句。
 元日や 人の妻子の 美しき(梅室)
 歌留多(かるた)とる 皆美しく 負けまじく(虚子)

 後者は美しく着飾った乙女たちが歌留多とりに興じている様を詠んだものですが、最近は歌留多なんてするんでしょうか。映画か何かの影響で、百人一首が流行っているという噂を聞きましたけれど、個人的には嬉しい話です。

 最近は見かけなくなった羽根つきなども、昔はどこにでもあるお正月の風景でした。
 大空に 羽子(はね)の白妙(しろたへ) とどまれり(虚子)
 大空に舞う羽子が下降に移る一瞬の静止した状態を詠んだものですが、青空に浮かぶ羽子の白さが輝かしく見えますね。
 静かさや 冴え渡り来る 羽子の音(鬼城)
 お正月の静かな路地に、羽根つきの音だけが響いている様子です。

 もう一つ、最近でも宿題などで行われているかどうか、書初めもお正月の風景でした。
 玉ばしる 水四五滴や 初硯(正人)
 新春、改まった気持ちで硯に水を注ぐと、硯の上をはじけるように水滴が走るんですね。これもお正月らしい情趣ある句です。
 初日さす 硯の海に 波もなし(子規)

 ここまで俳句でお正月の風景を見てきましたけれど、最後に和歌から二首。
 あらたまの 年たちかへる あしたより またるるものは 鶯の声(素性)
 あらたまの 年行き還り 春立たば まづわが宿に うぐひすは鳴け(家持)
 いずれも、年が明けると鶯の声を待つ様子がうかがえます。お正月の心の風景ですね。王朝人は梅の花が咲き、鶯が鳴くことを待ち焦がれていたようです。
 現代人にとってお正月の風景はどんなものなのでしょう。


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