ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

あべのハルカズBAR 129ページ目  おやじ、俺には才能なかった?

2014-08-23 06:24:44 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【129ページ】



「おやじ、俺には陰陽師としての才能はなかった?」

「翔一は、子供の頃から絵がうまかった!

動物や昆虫の絵は、生き生きとしていて、今にも飛び出して

きそうだった。

翔一は、陰陽師としての潜在能力は持っていると思う。

俺はうまくその能力を引き出してやれなかったが、何かのきっかけで

才能が開く場合がある」

「分かった。

おやじとまともに話をしたのは、久しぶりだった。

ゼロの番組の続きを見て来るよ。」


 翔一は、階段を上がり、自分の部屋に戻った。

ソファに座ると、テーブルに置いてあったドコモのカタログを手に取る。

そして、ページをめくり、買い替え予定のスマートフォンを見つめる。

右手を伸ばし、手に取る仕草をすると、そのスマートフォンがカタログ

から飛び出してきた。

「俺の陰陽師としての才能が開花した。

そのきっかけは・・・・・」

大谷 翔一は、彼と落書き仲間が強い衝撃で壁に打ちつけられた

シーンを思い出していた。

翔一はドコモのカタログを置くと、次ぎにアグネス ラムの写真集を手に取った。



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あべのハルカズBAR 128ページ目  おやじの実力はどうなんだ

2014-08-22 22:43:21 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【128ページ】


「ゼロの実力が中の下だって?

それじゃ、おやじはどうなんだ?」

「翔一のじいさんの実力は上だった!

残念ながら、俺はじいさんの能力の一部しか受け継いでいない。

鳩など小動物を出せるだけだから下の実力かな」

「じいさんはマジシャンではなく、占い師だろう?

おやじは何の実力の話をしているのだ?」

「翔一は、陰陽師としての術を使いこなせる実力を訊いたのでは

なかったのか?」

「そうか、ゼロは陰陽師だったのだ」翔一は心の中で呟いた。



「トップマジシャンのゼロでも陰陽師としては、中の下なのか?」

「下の術の陰陽師は、動物の式神を操ることができる。

中の術の陰陽師は、人の式神を操ることができる。

ゼロは、織姫を出すことができたが、武将などの攻撃できる

式神を操っているのを見たことがない。

だから中の下の実力と評価したのだ。」

「例えば、殺人鬼のジェイソンの式神を操ることができれば、中の

術の陰陽師になるわけだ。」

「呼び出すだけだと、自分が殺される場合もあるのだ。

呼び出し、操ることができるかどうかが術者の上・中・下の基準になる。」


あべのハルカズBAR 127ページ目  画用紙から赤いチューリップ

2014-08-21 06:28:57 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【127ページ】


 ゼロは、赤いチューリップの茎を指先でつまみあげると、

画用紙からチューリップが出てきた。


「チューリップが出てきた!」


 ゼロは、驚く園児に赤いチューリップを手渡した。

次に大クワガタの絵を描いている園児のところに行く。


「大きなクワガタだね?

クワガタを絵から取り出してもいいかな?」

「いいよ」


 大谷 翔一は、ゼロがクワガタを取出すシーンをマネて、

週刊誌のグラビアアイドルに指を当て、取り出す仕草をした。

大谷は「あっ!」と驚きの声をあげた。

グラビアアイドルが週刊誌から出てきたのでる。


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身長は20cmほどであった。

人形ではなく、週刊誌の上で動いている。

しかし、しばらくすると、元に戻ってしまった。


 大谷 翔一は、2階の階段を下りて、父親がテレビを見ている居間に行き、

父親に声をかける。


「おやじもゼロのマジック見てた?

おやじから見て、ゼロの実力はどう思う?」

「中の下かな」


あべのハルカズBAR 126ページ目  七夕の織姫現れる

2014-08-20 14:42:32 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【126ページ】



 三つ数え終わると、台を覆っていた布が下された。

「おっー」とあちこちで驚きの声があがり、七夕の伝説に登場する

美しい織姫が現れた。

再び四人のオリ姫が四角い布を持ち上げ、降ろすとオリ姫人形に

変わっていた。


「皆さん、マジシャンゼロの織姫マジックを楽しんでいただけたでしょうか?」


 ウグイス嬢のアナンス流れ、観客がホームベースに視線を戻した時には、

ゼロは消えていた。


「ゼロさんからのメッセージをお伝えします。

ゼロのマジックは誰も見破ることはできない。

なぜならば」


「トリックゼロだから!」と超満員の観客がウグイス嬢と同時に叫んだ。


 この後、CMが流れ、大谷 翔一がため息をつく。


「おやじもマジシャンゼロの番組を見ているのかな?

おやじの地方巡業のちんけなマジックとは大違いだ」


 次のマジシャンゼロのコーナーは、街角どっきりマジックだった。

ゼロが幼稚園を訪れて、園児たちのお絵かきを鑑賞する。


「おっ、この赤いチューリップかわいいね。

画用紙からこれを取り出してもいいかな?」


 チュリップの花を描いた園児が「はい!」と元気に答える。

あべのハルカズBAR 125ページ目  オリ姫人形に命中

2014-08-18 23:53:35 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【125ページ】



 ボールは、一直線にセンターのオリ姫人形に向かって飛んで行く。


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観客はそれを固唾を呑んで見守っていた。

その時、「あっ」と一斉に声があがった。

ボールが鳩に変わって、ドームの屋根の方へ飛んで行ってしまったのである。


 ゼロは「残念!」と大きな声をあげ、観客に向かって、右手の人差し指を立て、

もう一回やらせてくれとアピールする。

観客は大喜びで、拍手をして、2投目を求める。


 ゼロはマスコットガールからボールを受け取り、方向を定める。

そして、再び振りかぶって、ボールを投げた。

1投目と同じようにグーンとオリ姫人形に向かって飛び、今度は途中で

鳩になることはなく、オリ姫人形に命中した。

「ドーン」とボールが当たった後には、オリ姫人形は消えていて、オリックスの

帽子とハッピだけが残っていた。

オリ姫の代表4人が、人形が立てかけてあった台に、帽子とハッピを乗せ、

布で四角に囲ってそれを隠して、布を上に持ち上げる。


「皆さん、私と一緒に三つ数えてください。
さあいきますよ! ワン」

「ワ-ン」

「ツー」

「ツーー」

「スリー」

「スリーー」