ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

2 香水のブレンダー 58ページ目

2009-07-09 23:40:24 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【58ページ】


二人のモデルによって、ワイングラスが運ばれてきた。


デザイナー     今、二人のそばまでワインが来ています。

          これから二人のモデルに、和さんと那賀さんにワイングラス

          を手渡してもらいます。

          香りを嗅いだ後、ワイン名が判りましたら、対戦相手に

          聞こえないようにモデルに伝えて下さい。

          さあ、初めてください!

香水のブレンダー  判りました!


那賀は、モデルの耳元にワイン名を告げた。

その時、和音は、心の中でつぶやいていた。


和音        香水が邪魔してワインの香りを感じることができない!

          目隠しでワインの色は、見ることができない! 

          もちろん、味見は禁止されている!

          そしてワインの放つ気も感じとることができない!

          イメージに浮かぶのは、水着の女性達のみだ!

デザイナー     和さん、どうかされましたか?

          那賀さんは、すでにモデルにワイン名を告げましたよ!

          ああ!和さん、ワイングラスが傾いている!


デザイナーは、零れたワインが、和音の指に触れるのを防いだ。和音の指先には、

ワインを感じ取る力を持っているのを知っていたのだ。


59ページ目に続きます。


2 香水のブレンダー 57ページ目

2009-07-09 23:18:27 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【57ページ】


次から次へとモデルが登場し、テーブルに加わり、そして10人のモデルとの

華やかなワイン会になった。

いつの間にか、部屋には香水の香りが充満していった。


デザイナー    皆さん、聞いて下さい!

         いよいよ、ワイン会のメインイベントのテイスティング

         対決です。

モデル達     わー、おもしろそう!

デザイナー    対戦相手は、ゲストの和音さんと香水のブレンダーの那賀

         さんです。

         テイスティング対決の内容は、香りを嗅ぐだけで、ワイン名

         を当てるというものです。

         ワインはメドック地区格付けの2級を使用します。


その時和音は、長時間香水の香りの中にいたので、ワインを見抜く嗅覚が鈍って

いるのに気づいた。那賀は、和音の表情を読み取り、にやりと笑った。


デザイナー    和さん、那賀さん、この目隠しをして下さい!

         ワインは、口に含まない。

         ワインの色を見ない。

         ワインの香りを嗅ぐだけです。

         今、和さんのグラスと那賀さんのグラスにワインを注いで

         いるところです。