２ 写実の魔術師のワイン ３９ページ目

【３９ページ】


会長　　　　　はい、先生のワインの絵で、和さんに挑みたいと思ったのです。

画家　　　　　しかし、この絵は、会長の専属ソムリエが推測できたように

　　　　　　　和さんにとっては、ヒントが多すぎるのでは？

会長　　　　　ヒントを逆に利用するのです。

画家　　　　　ヒントからたどり着いたワインとは、別のワインを描くわけだね？

会長　　　　　はい。

画家　　　　　おもしろそうだね。

　　　　　　　会長のアイデアを参考に描いてみましょう。

　　　　　　　ワインの選択は私に任せてもらいます。

会長　　　　　もちろんお願いします。

　　　　　　　わくわくするワイン会になりそうだ！


２ヵ月後、会長のワイン会が催された。


和音　　　　　今夜は、ワイン会にお招き頂きありがとうございます。

会長　　　　　いいえ、私こそ和さんと一緒にワインを飲めて光栄です。

和音　　　　　この部屋には、、女性とワインをモチーフにした絵が飾られていま

　　　　　　　すね。

　　　　　　　この絵のワイングラスからは、まるでワインの香りが感じ取れそう

　　　　　　　だ！

会長　　　　　この絵の画家は、写実の魔術師と呼ばれているのですよ。

　　　　　　　写真の写実性と違って、彼の絵の中の人や物は、生き生きと輝いて
　
　　　　　　　いるのですよ。
　　

２ 写実の魔術師のワイン ３８ページ目

【３８ページ】


専属ソムリエ　　絵には、まだヒントがありますよ！

　　　　　　　　彼女の食べている料理と女性好みのグランヴァンということ

　　　　　　　　から推測してシャトー・マルゴーだと思います。

画家　　　　　　よくわかったね。

　　　　　　　　その通りメドック五大シャトーのひとつマルゴーだ！

　　　　　　　　ヴィンテージもわかるかね？

専属ソムリエ　　グラスに注がれているワインの色から判断して１９９０年

　　　　　　　　前後では？

画家　　　　　　１９９０年で正解だ！

　　　　　　　　会長の専属ソムリエには、名探偵も顔負けだね？

会長　　　　　　そのようです。

　　　　　　　　ところで先生、今考えついたのですが、お願いを聞いて

　　　　　　　　くれませんか？

画家　　　　　　お願いとは？

会長　　　　　　二ヵ月後に和さんを私のワイン会に招待するのですが。

画家　　　　　　和さんとは、いつも会長が話しをしている彼のことだね？

会長　　　　　　そうです。

　　　　　　　　ワイン会で使用するグランヴァンは決めているのですが、

　　　　　　　　できれば、他のワイン通倶楽部のメンバーのようにテイスティン

　　　　　　　　グ対決を挑みたいと思っていたのです。

画家　　　　　　今の絵が何かヒントを？　
　

３９ページに続きます。