星降るベランダ

めざせ、アルプスの空気、体内ツェルマット
クロネコチャンは月に~夜空には人の運命の数だけ星がまたたいている

ガングリオン

2008-02-29 | NO SMOKING
「ガングリオン」
…まるで、「ハリー・ポッター」か「ライラの冒険」に出てきそうな怪獣の名前だわ。

痛みがなかったから、左手首の突起物に気付いたのは1週間前のこと。
A整形外科は、村上春樹さんの小説に出てくるおさるの公園の近くにある。
4年前、私が転ぶまいと踏ん張ったために右膝靱帯を損傷した時に行って以来である。
無愛想だけど、聞いたことにはごまかさず答えてくれる、不思議と信頼感のわくA先生だった。
あの時は医院を出てくる時、私の右足は白い石膏ギブスに覆われていた。

今度も不安だった。
しかし今日、ドクターAはマジシャンAに変身したのだ。

「では今から、これを消して見せます。1・2・3-」
とA先生が言ったわけではないが、
「どーれ、押しますよ」~ムギュー~
この一押しで、怪物ガングリオンは、消えたのだった。

「どこへいったのですか?」と聞くと「散りました」の答。
私の脳裏に、宇宙の彼方で火花と共に、
飛び散るガングリオンという怪獣の姿が浮かんだ。

帰り道、思わず、歌ってしまった。
♪ガンガン グリグリゴンゴン ガングリオン
 ガンゴン グリグリガンゴン ガングリオン♪(メロディはチキチキバンバン)

医者に行って、こんなに幸せな気分で帰ることができたのは初めてだった。
A先生、ありがとうございます。
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卒展

2008-02-21 | 持ち帰り展覧会
ムンク展の開かれている兵庫県立美術館の通路・ロビーで、神戸芸術工科大学の卒展「カオス2008」が開かれていた。
とても面白かった。学生さん、頑張ってる。
環境・建築デザイン学科の作品の前には、卒業論文が添えてあった。
思わず、自分の○十年前の苦闘の日々が蘇ってしまった。

「羊の女王の衣装部屋」のような作品。羊さんありがとう。
       

何千枚ものMY家族写真で構成した「家族の肖像」ネコさん本人姉妹父母6連作。
きっとそっくりなんだろうな。何だか涙ぐんでしまう。
       

すぐにでも、商品化して欲しい(私買います)切り取り絵本の「動物園」。
動物たちに合わせて紙質を考えているクオリティの高い作品。
       

そして、着れるなら着てみたい素敵な色・素材のシャツ。
               

安藤忠雄設計のこの海辺の要塞のような建物は、美術館として、決して機能的ではない。
ドアが重く、トイレが少ないし、展示室から展示室への移動で、いつも展覧会の雰囲気が遮断される。特にあの奈落の底の縁に無理矢理立たされている気分になる踊り場は苦手だ。
しかし今回、通路やロビーでの展示が、楽しい空間を作っていた。
若者が多く、学園祭のような雰囲気が、漂っていた。
この建物の空間を使いこなすには、こうしたイベントを、建物のあちこちで展開するしかないのでは?と思わせる。というより、そうした使い方を見込んだ設計だっだのかもしれない。
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ラーメンズ的日常④ビリーの行方

2008-02-19 | ラーメンズ的日常
*これは、フィクションです。

妻:(ボールに乗って、歌ってる)
  我が家は毎日バレンタイン、チョッコレイト、チョッコレイト♪
夫:(身体を室内に残し、顔をベランダに出してタバコを吸ってる)
  妻は毎日、日曜日、いいな、いいな(歌ってはいない)
妻:ねぇ、寒いんだけど。煙入ってくるし。
  ホームレスではなく、面会に来た妻の差し入れを吸ってる囚人みたいだよ。
夫:このベランダのラベンダー、葉っぱが枯れてるのに花だけついてるね。
妻:塀のこちら側に咲く一輪の花、
  …あまりの寒さにもしかしたら、初心忘れようとしているのかな?
夫:(少しむっとしながら、戸を閉める)
  初心といえば、ブートキャンプは、やってるの?
妻:ビリー、冬は、九州でキャンプしてるの。
夫:脱走したのか?
妻:新兵が入隊したので、古参兵は除隊しました。
  この間、姪っ子さんが持って帰ったわ。一日一捨。
夫:で、今度はそのボール?
妻:そう、Francfrancのフィットネスボール。只今の記録、58秒。
夫:乗ってるだけでは汗かかないだろう。
妻:人目のあるところではできないけど、いろんなポーズがあるの。
  やってみようか?
夫:いい。
妻:答、早すぎ。
夫:ピノコみたいだ。
妻:どっこがー?
夫:(聞こえないくらい小さな声で)無駄な努力が多い。
妻:(聞こえなかった)お馬さんもいいなぁ
夫:この間メリーゴーランドに乗ってたじゃないか
妻:リボンの騎士…
夫:…次はJOBAか。
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二月猫

2008-02-17 | ネコ日和
神戸異人館通りには、フルートの音に耳傾ける猫がいた。
      
       

図書館の裏通りでも、何かを聴いている猫さんがいた。

               曇り空そこから届くかすれ声
  
               

「寒いわね」って声をかけると、「邪魔する気なの?」って怒られた。
  
       

「ごめんね。何聴いてたの?」
…「あなたの足音よ。それから風の音
…それから、かすかに遠くからなにか近付いて来る音」

こんな寒い日に、外で風に吹かれてる2月猫さんは、何を考えてるのだろう。
きっと私と同じに、ひたすら春を待ってるのかしら。

ワンちゃんはどんな寒い日でも、「あそぼー」と近付いてくる。

       

       君はドッグランで一番元気なワンちゃん。
       雪溶けの土の上に、足跡をいっぱいいっぱいつけていた。 

       この大地足跡つけるためにある
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昭和の時代劇

2008-02-15 | 劇空間
新婚時代5年間、宝塚ファミリーランドをベランダから望める場所に住んでいた。時折賑やかな園内放送がきこえてきた。
2003年に閉園して、今では唯一残ったメリーゴーランドが、住宅展示場の真ん中で、子ども達を乗せて回っている。

 

宝塚大劇場の宙組公演「黎明の風」は、昭和の時代劇。
遠山の金さんのように、後の人が実在の人の名前を借りたフィクションである。
歴史考証を気にしては楽しめない世界。

                 

主役の白洲次郎を演じた専科の轟悠さん、歌声が素晴らしい。
初めて宝塚を観た姪は「かっこいいー」と絶賛。
最初のシーンの背景には、「葬式無用戒名不用」と彼の遺言が書いてある。
白洲次郎という人物の、数々のエピソードを散りばめたストーリーになっている。しかし、これはフィクションである。暴れん坊将軍である。政財界の暗黒面にもどっぷり漬かったけれど、人に言えないことは語らなかった人である。
見せたくない姿は見せないのが、宝塚の舞台である。

幕末の変動期、活躍した人達の年齢は若い。近藤勇も土方歳三も34才で、坂本龍馬も32才で生涯をとじた。
それに比べ、昭和20年代という変動期は、戦争で多くの優秀な若者が命を落とし、歴史の表舞台で若者の活躍した時代ではない。
終戦の昭和20年、白洲次郎は43才、マッカーサーは65才、吉田茂は67才である。それが、宝塚の舞台では青年群像になってしまう。
最も実際とかけ離れたイメージはマッカーサーであった。舞台では大和悠河さん演じる金髪の青年マッカーサーが日本に平和をもたらした人のように描かれてる。ほんとは昭和天皇より20才以上年上の60代後半の狡猾な爺さんなのに。
しかし姪達のマッカーサー像はきっと、大和さんになってしまっただろうなぁ。困ったなぁ。
      

宝塚のパンフレットには、これだけ見たら絶対にひくと思う独特の化粧をした団員達の写真が並ぶ。この化粧の理由は、舞台を観ないと到底理解できないだろう。
2階席の隅っこの席の人にまで、ちゃんとアイコンタクトをとるために、スターの目は大きく輝かなければならないのだ。
全ての客席から直線で見える大階段10段目のセンターはトップスターの聖域で、フィナーレでは必ずここで立ち止まる。その時、大劇場内2550席5100個の視線がこの一点に集まる。

宝塚のプチミュージアムでは、こんなことも体験できるのだった。ランドセルのように背負うの。二人がかりで持ち上げる20㎏の重さのダチョウの羽根を背負ってあの大階段を優雅に歌いながら下りてくるトップスターは、やはり凄いです。

       

                 (4月の舞台頑張ってね)
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雪の翌日

2008-02-13 | 持ち帰り展覧会
先週末、2年ぶりに積もる雪が降った。

こんな日に九州から来た姪達は、USJで一日中遊んでいた。
若いって素晴らしい。

翌朝、自転車置き場には、小さな雪だるまが残っていた。猫さんのようだ。


晴れてきたので、宝塚にある手塚治虫記念館に行った。13年ぶりの訪問。
入り口の火の鳥。
                    

そして雪の溶けたプロムナードに出てきたのは…

ブラックジャック                       

ピノコちゃん

アトム(かわいいなぁ)              

ジャングル大帝も歩いている。


前に来た時には気がつかなかったけど、手塚さんは水彩画も描いていた。
どんな曲を演奏しているのだろう。
                  

天井からは♪アトムのメロディが聞こえてきそうだ。
                   

19年前の冬、彼が亡くなった時、昭和が終わって平成になったんだと思った。
ついこの間のことのような気がする。
でも、私達は手塚治虫のいない時代を生きているわけではない。
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明日の自分を支えているのは…

2008-02-05 | NO SMOKING
自分が見ているのは、世界の一部分だ。
 でも、それは常に世界の全体につながっている。

芦屋市立美術博物館で、福岡伸一氏の講演を聴いてきた。
開催中の展覧会「ゆっくり生きる」の関連講座である。

おー、あのオタクっっぽいお方は、
秋頃、NHKの「爆笑問題のニッポンの教養」に出ていた先生ではありませんか。
あれは、~「地球上の分子は、刻々と姿を変えていく。
食べたものは人間の体内で身体の一部の分子になり、一年も経てば、人間は全く違う身体になる。」
といった話、であった。
永遠について語る意欲を持った光さんと、方法を持った福岡先生の出会い。

あの番組で、先生の名前は忘れていたが、おさるさんがつぶやいた言葉は、覚えている。

明日のあなたを支えているのはあの雲の一部かもしれない
大いなる循環の中で一瞬限りの存在
  …ではなぜ、私は私でいられるの?


今回の講演テーマは、「もう牛を食べても安心か:〈流れ〉の中にある命のふしぎ」

美術館での催しということで、「見るということ」についての話から始まった。

①「21_21」の意味は?
…英語で「20_20」というのは、20フィート離れた場所から、C(ランドルト環)の隙間の20度離れた2点を識別できるという意味で、とても視力のいい人を示すらしい。それを上回る目で何が見えるか、というコンセプトでつくられた東京ミッドタウンの美術館・デザインスタジオの名称なのだった。生物学から見て、人間の視力はいい方らしい。ただし、<良すぎて、自然に向かった時人工的にみてしまうという難点がある>

ヴィットーレ・カルバッチョ「二人のヴェネツィア夫人」の謎
…このイタリアのコレル美術館にある16世紀の絵は、何もない空間をぼーっと見てたりする虚無的な態度から、長くコルティジャーネ(高級娼婦)を描いた絵だと言われていた。ところがこの絵の花瓶に挿した花が見つかったのだ。その時、彼女達は、上流階級のご婦人方へと、身分が変わったのだった。つまり、この絵の上半分は、アメリカのゲティ美術館所蔵の「ラグーナでの狩猟」絵であり、元は一枚の絵が分割されて市場に出ていたわけである。さらに元々は扉のように対になった絵であり、夫人は何かをおそらく誰かを見ているというのだ。<人間は全体の一部を切り取って見ている>
(ある日、二つの絵の繋がりを発見した人がいたんだ。つながったその幸せな瞬間に乾杯!)

③モザイク消しの秘密
名画を6×6分割してモザイクをかけたパネル…何の絵か?(手を挙げなかったけど、モナリザだと判ったわ)人のパターン認識能力は素晴らしい。<でもそうじゃないものにも、パターンを当てはめて見てしまうことがある>

④幼児が描く頭足人と、フェルメールの青いターバンの女。
人の身体から、嗅覚を掌る器官のみ切り取ることはできない。鼻は個別臓器としてはめ込まれているのではなく全体に繋がるものとして存在している。<私達より17世紀のフェルメールの方が鼻のあり様をよく知っているのではないか?>

と、ここまで35分。
「狂牛病」BSEというおぞましく切実な問題に取り組む第一線の科学者が、人間とは?と常に考えながら歩む、芸術愛好家であること。分子生物学という、細かなものの研究は、この世界の全体像を作り替える力を持つ学問であることが伝わってきた。さぁ、本題はこれからです。
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