*フィクションです。
妻「夫に誓った今年の目標は一日一捨」
夫「妻に誓った今年の目標は室内完全禁煙」
妻「夫は、パリのカフェと同じに、目標を低く設定したから、目下のところ完璧に守っている」
夫「妻は、目標の基準が曖昧だから、守っているかどうかわからない」
妻「夜、寝る前に今日は何を捨てたか自分で点検する。今日は
…あれ、夫がいない」
夫「夜、こうして戸を閉めて寒いベランダにいると、ホームレスになった気がする」
(夫、ベランダで喫煙後、室内に入ってくる)
夫「さっぶー。」
妻「(聞こえなかったふり)一日一捨と」
夫「一見我が家は昨日と変わらなさそうだけど、何か捨てた?」
妻「震災の時に買った、水のいらない資生堂フレッシードライシャンプー、未開封だったのに」
夫「13年も前のものかー。もっと大きなものは?」
妻「カネボウ・ティスティモ・スーパーリップ」
夫「何それ?」
妻「キムタクがコマーシャルしてた口紅」
夫「小さくなってる。それは♪夜空の向こう より前のこと?」
妻「たしか、前だと思う」
夫「20世紀に買った消耗物品は全部捨てるという基準を設定したら?」
妻「20世紀抹殺計画かー」
夫「殺さなくても、変質しているよ、みんな」
妻「でも、その絆創膏も、世紀末のものよ」
夫「…確かにまだ使えるものもあるな。
じゃぁ、今後使う予定のないもの、という普通の基準を厳しく適用するのは?」
妻「それは、もしかしたら、サイズの合わなくなったお洋服達のことを言ってるのかな?」
夫「そうじゃなくて、いや、そうかな」
妻「…。それは、いつか元のサイズに戻るという夢を私から奪うことになる」
夫「その時は、もしその時がくるようなことがあれば、また新しいの買ったらいいじゃないか。
色あせた世紀末の夢を追うな。」
妻「(ガーン!)『色あせた世紀末の夢』って…
じゃあ、あなたはあの20世紀に書かれた書斎の本を死ぬまでに全部読むのね」
夫「あー、読むよ。それに本は消耗物品じゃない。」
妻「(フン)…あっ、そうだ。
世紀末っていったら、○十年前結婚祝いにもらった鳩時計、大分前から普通の時計と全然違うリズムで時を刻むようになってるの。鳩さん65分くらいたたないと出てこないし」
夫「ある意味凄いな」
妻「どんな意味ですか?」
夫「5分×24=120分=2時間
2時間×365=730時間=30日10時間。
ということは、鳩時計時間では、まだ2008年になってないんだ。」
妻「いつまでも捨てないというのは、狂った鳩時計時間で生きてるって言いたいのね。…鳩時計、捨てたほうがいい?」
夫「捨てなくていいよ。そのうち修理するから」
妻「修理すれば、世紀末の夢は、捨てなくてもいいということね」
夫「捨てたくないんだね。
捨てたくない理由のある物は、別に捨てなくてもいいんじゃない」
妻「そうよ、捨てたい理由のあるものは捨ててるよねー」
…今年も魔界存続を覚悟した夫であった。
妻「夫に誓った今年の目標は一日一捨」
夫「妻に誓った今年の目標は室内完全禁煙」
妻「夫は、パリのカフェと同じに、目標を低く設定したから、目下のところ完璧に守っている」
夫「妻は、目標の基準が曖昧だから、守っているかどうかわからない」
妻「夜、寝る前に今日は何を捨てたか自分で点検する。今日は
…あれ、夫がいない」
夫「夜、こうして戸を閉めて寒いベランダにいると、ホームレスになった気がする」
(夫、ベランダで喫煙後、室内に入ってくる)
夫「さっぶー。」
妻「(聞こえなかったふり)一日一捨と」
夫「一見我が家は昨日と変わらなさそうだけど、何か捨てた?」
妻「震災の時に買った、水のいらない資生堂フレッシードライシャンプー、未開封だったのに」
夫「13年も前のものかー。もっと大きなものは?」
妻「カネボウ・ティスティモ・スーパーリップ」
夫「何それ?」
妻「キムタクがコマーシャルしてた口紅」
夫「小さくなってる。それは♪夜空の向こう より前のこと?」
妻「たしか、前だと思う」
夫「20世紀に買った消耗物品は全部捨てるという基準を設定したら?」
妻「20世紀抹殺計画かー」
夫「殺さなくても、変質しているよ、みんな」
妻「でも、その絆創膏も、世紀末のものよ」
夫「…確かにまだ使えるものもあるな。
じゃぁ、今後使う予定のないもの、という普通の基準を厳しく適用するのは?」
妻「それは、もしかしたら、サイズの合わなくなったお洋服達のことを言ってるのかな?」
夫「そうじゃなくて、いや、そうかな」
妻「…。それは、いつか元のサイズに戻るという夢を私から奪うことになる」
夫「その時は、もしその時がくるようなことがあれば、また新しいの買ったらいいじゃないか。
色あせた世紀末の夢を追うな。」
妻「(ガーン!)『色あせた世紀末の夢』って…
じゃあ、あなたはあの20世紀に書かれた書斎の本を死ぬまでに全部読むのね」
夫「あー、読むよ。それに本は消耗物品じゃない。」
妻「(フン)…あっ、そうだ。
世紀末っていったら、○十年前結婚祝いにもらった鳩時計、大分前から普通の時計と全然違うリズムで時を刻むようになってるの。鳩さん65分くらいたたないと出てこないし」
夫「ある意味凄いな」
妻「どんな意味ですか?」
夫「5分×24=120分=2時間
2時間×365=730時間=30日10時間。
ということは、鳩時計時間では、まだ2008年になってないんだ。」
妻「いつまでも捨てないというのは、狂った鳩時計時間で生きてるって言いたいのね。…鳩時計、捨てたほうがいい?」
夫「捨てなくていいよ。そのうち修理するから」
妻「修理すれば、世紀末の夢は、捨てなくてもいいということね」
夫「捨てたくないんだね。
捨てたくない理由のある物は、別に捨てなくてもいいんじゃない」
妻「そうよ、捨てたい理由のあるものは捨ててるよねー」
…今年も魔界存続を覚悟した夫であった。