星降るベランダ

めざせ、アルプスの空気、体内ツェルマット
クロネコチャンは月に~夜空には人の運命の数だけ星がまたたいている

めぐりめぐって~

2010-11-15 | 劇空間
南河内万歳一座の「ラブレター」初演は、1989年。当時のチラシとチケットが残っていた。

               オレンジルーム、前売2000円。

チラシの裏にはこんな文字が

~内藤流ペレストロイカか?役者陣のクーデターか?噂の革命軍団、東京・名古屋初見参!戦慄の三都市征伐!!~

当時、内藤裕敬さんは30代前半。一座には、西野勝弘、原謙二郎両ヘビー級レスラーに、小粒だけどその声でガラスさえ割りそうな松下安良さんなどもいた。死人が出てもおかしくない迫力の軍団パワーの合間に、信じられないくらい繊細なロマンティックな言葉が行動の動機として存在するという、南河内万歳一座ならではの、名作だったと記憶している。ただ、ストーリーなるものは全く忘れていてコインランドリーで大暴れくらいしか覚えていない。

さて、2010年の「ラブレター」である。

               エイトスタジオ、当日4000円

テーマは、♪憎い 恋しい 憎い 恋しい めぐりめぐって 今は 恋しい~♪ かな?

いやー、今回は、重定礼子さんをはじめとする、女性陣が大活躍。
派手派手女子高生軍団も、ドサマワリ演歌歌手シスターズも、心と言葉と動きがいいわー。
「謝肉祭の次は復活祭」「虹の谷はどこにあるの?」彼女たちの要求に、さぁ、前田君応えるのよ、とだんだん思ってくる。
河野洋一郎さんのちぐはぐなズボン丈が、とってもキュート。
藤田辰也さんはテンポをつくる銭湯のおかみさん。

本当は、今回もストーリーはよく分からない。
でも、「人って、いとおしいなぁ」という読後感のようなものが残る、面白いお芝居だった。

古布つぎはぎ旅芝居風の万歳一座の幕(これがあると、オレンジルームも、扇町ミュージアムも、大阪城ウルトラマーケットも、万歳空間になる)今回、その幕が開く前にかかっていた、少年か少女かわからない歌声。いいんですよ、これ。日曜日の朝♪狼少年ケンを聴いている感じに似ている。
…消えたアイドル「スターボー」の「♪百億光年の恋人」、早速amazonで買ってしまった。教えてくれたのは、大阪千秋楽の客を見送り中のカッコイイ木村基秀さん。次回の出演楽しみにしていますね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ダリア

2010-11-13 | 持ち帰り展覧会
昭和の時代、ポンポンダリアのような女の子という誉め言葉は一般的だった。
今はほとんど聞かなくなった。花屋の店先でもダリアはあまり見なくなった。

思いがけず大きなダリアと出会ったのは、京都で4年ぶりに会った友達と、「この辺は『京都地検の女』で、名取さんがお着物着てよく歩いている所ね。」とか、「『マザーウォーター』のカフェもこの辺り?」などと、話しながら、白河沿いの柳の下を歩いていた時だった。

  

赤いダリアは、咲いてないかしら?
紅葉の季節に、私は京都の街で赤いダリアを探していた。

…美術館で、あの絵を見てから、赤いダリアが、気になるのだ。

      ~天王寺谷卓三「ダリア」1960年代前半 ~展覧会図録より

「~没後20年 芦屋の風土に生きた画家~天王寺谷卓三展」
芦屋市立美術博物館の階段を上がった踊り場の、自然光の中で、50年近く前に咲いた赤いダリアが、今も鮮やかに咲いていた。しかもその花は一輪ずつ、まるで異なる咲き方をしているのだ。
「同じ花はない」
花瓶の花は、写真で撮ったらきっと同じ花に写るだろう。私の目にも同じに見えるかもしれない。
絵って凄いなぁ。画家の目と心を通ると、花は一輪ずつ、新しく生まれていく。

よく見ると、このダリアの絵は紙に描かれていて、右上が少し破れていた。
作者の、天王寺谷卓三(1919~90)は、売るための絵を描かなかった。600年続く芦屋の旧家の27代目当主。大阪市立美術研究所を創立し1956年から1980年にかけて、研究生とともに、日本各地を写生旅行した。今回の出品98点のうち、64点は、紙に描かれている。地元の芦屋の風景はないが、ダリアや牡丹を描いた静物画が、芦屋の風土に近い気がする。

ボナールのような空気感の、色彩豊かな、ヨーロッパの人物と風景を描いた大作もいい。
私が生きている時代と重なる、日本各地の風景画は、私が行ったことのある場所も、行ったことのない場所も、なぜか懐かしい。♪いい日、旅立ち~♪のメロディのような、心地よさに酔いながら、展覧会場を観てまわった。

                       

その中で、初めて触れた風景があった。
佐渡の海岸沿いの洞窟の中のお地蔵様。巡礼の親子のようにも見える。
実際は、きっと日本海の波音がきこえる、暗い風景なのだろう。
でも、画家は、明るい光がさす賽の河原を描いている。145.0×112.0

        ~「佐渡願賽河原 地蔵巡礼」1972頃~展覧会図録より

♪シャラ~ン、シャラ~ン♪ 巡礼の持つ金剛杖の鈴の音が聞こえてきた。
    
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

六甲枝垂れ

2010-11-02 | 散歩計
あっ、平太君(Q10)の好きな鉄塔だ!

       

脚本の木皿泉さんは、神戸在住ということなので、イメージは、この六甲山上の鉄塔なのかもしれない。

7月にできた自然体感展望台「六甲枝垂れ」(作:三分一博志)を訪れた休日は、
ちょうど、六甲ミーツ・アート開催中で、カントリーハウスに向かう道は大渋滞。
途中で止まってしまった六甲山上バスの運転手さんの「歩いた方がきっと早く着きますよ」と言う言葉に、
先ほどから続くカーブのたびにぐっと力を入れて腕が痛くなっていた私は、即座に反応。
バスを降りてゆっくり坂道を歩いた。

ガーデンテラスには、美しい秋咲きのバラが咲いていた。

                  

このブログでは、季節をひとつスルーしてしまったけど、
あの日、六甲山上には、今年の秋の風が吹いていた。
風車(作:藤江竜太郎「Red or White」)は新しい風が吹くと、赤から白へ、白から赤に変化する。
そのたびに風景が動き、こころの中にも風が吹いてくるようだ。
         
    

枝垂れの内側から望む10月の空は、青く、不思議な形をしている。
大木の中に入ると、全身ヒノキの香りと、ぽっかり開いた丸い天井からの光に包まれる。
空に向かってのびる壁の木肌のグラデーションの美しいこと。

   

木漏れ日のような光は、美しい影をつくる。

          

小学生の頃、星模様の透明下敷き越しに、空を、太陽を見た時のことを、思い出した。
太陽と自分との間に、何かが、存在することを感じた。

    
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする