星降るベランダ

めざせ、アルプスの空気、体内ツェルマット
クロネコチャンは月に~夜空には人の運命の数だけ星がまたたいている

たま駅長

2015-06-29 | 私の星々
JR和歌山駅で、ホームについた猫の足跡をたどると、いつのまにか和歌山電鉄の改札に着く。この電車に乗って、終点の貴志駅までは、20分。

           
     
2009年秋、初めてたま電車に乗って、たま駅長に会いに行った。
しっかりお勤めしてました。

   

2013年、たま駅長がいる貴志駅は、駅舎が改装されて猫形の駅になっていた。
カフェもできたけれど、駅長室は狭くなって、たまちゃんは最初の頃のように、自由に動き回ってはいなかった。壁には、若い頃のたま駅長の写真が。
   
        

2015年、今年のたま駅長は、少し目力が、優しくなっていて、もうそろそろ引退したいんですけど、と思っているのではないかしら。とふと思った。
でも、あの日(5月5日)も、眠たそうではあったけど、
「た~まちゃん」「えきちょうさん、また来ましたよ。」とガラス越しにつぶやくと、小さな声だったのに、こっちを向いてくれた。




あなたとパンダに会いに行くという和歌山の旅は、ここ数年、我が家のGWの定番コースでした。楽しい時をありがとう。お疲れ様でした。
ガラスケースのない虹の向こうでは、お日様の下、野山を駆けめぐる、自由な猫生活を送ってね。
でも、駅長さんの帽子、持っていってるかもしれないなぁ。

     ネコだからお仕事なんかしたくない
      ネコだから帽子はかぶりたくないの
       でもわたし 駅長さんと呼ばれたら
        ついついついつい返事する

     
…そんなあなたが好きでした。 
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坂道と影の幻想

2015-06-28 | 持ち帰り展覧会
臨港線の遊歩道から、図書館横の坂道を、自転車に乗って駆け下りる瞬間が好き。「ヒュー!」
坂道は子供が駆け下りても転ばない、これくらいの長さでこれくらいの傾斜がちょうどいいわ。

          
高校生の時、25分の自転車通学の途中に、「ヒューヒューヒューヒュー」が続く長い坂道があった。傾斜は40度くらいあったような気がする。当時田舎のその辺では、唯一整備された主幹道路だったが、交通量は多くなかった。
最初は、とても気持ち良かった。途中でスピードが増して、まるで空中を飛んでいる気分になる。足を浮かせてスカート翻して「ヒュー!」
少しカーブしているので、ブレーキハンドルはしっかり握っていた。
ある日、「今、手を離したらどうなるかなぁ」と、ふと思った。
それからは、毎朝そこを通るたびに、「この手を離したらどうなるだろう?」と、必ず思うようになった。
やがて「手を離したい」という誘惑と戦うようになった。。
毎朝、坂道にさしかかると、もの凄い緊張感が自分を襲うようになった。
足を浮かすことができない。ハンドル握る手のひらがいつも汗をかいていた。
何にも考えず、最初の時のように、浮遊感をただ味わえたらいいのに、どうしてそう自分はできないんだろう?と悩んだ。
受験生を自覚し始めた3年の春、朝の緊張感に絶えきれず、自転車通学をやめて、バス通学に変えた。
恐怖感は、自分でつくり出すことを知ったのだ。

今から思えば、それ以前にも、私は、恐怖心は自分がつくり出すことを体験していた。そして、その時も、これはしてはいけない遊びだと、自分でやめたのだった。
それは、物心ついた頃、近所の遊んでくれるお姉さん達が、学校から帰ってくるのを待っている昼下がり、やっていた、一人で自分の影と遊ぶ、という不思議な時間。
炎天下の影は小さいけど強い。夕方が近づくとだんだん長くなる。

     「私なのに、私じゃない」

つかもうとしても変な形になるばかり。

     「そこにいるのにいない」

キリコの絵のような、午後の不思議な時間。
自分の影を見てるうちに、いつも頭がくらくらしてきた。
ある日、どこにいてもついてくる影を、もうこれからは見ないことにしようと思った。


先日行った、国立国際美術館の「高松次郎~制作の軌跡」展。
「そこにいるのにいない」「そこにいないのにいる」影は、美しい。

          ~高松次郎「女の影」のクリアファイル

子供の影ではなく、大人の影。自分ではなく、他人の影は、怖くない?
フランソワーズ・アルディの歌声が、聞こえてくるような影だった。
この影にぴったりの「もう森へなんか行かない」は1968年の曲。
高松次郎さん(1936~98)も、彼女の歌声を聴いたことがあるかもしれない。
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