星降るベランダ

めざせ、アルプスの空気、体内ツェルマット
クロネコチャンは月に~夜空には人の運命の数だけ星がまたたいている

サヨナラ3月祈る春

2011-04-04 | 五七五
春夜空リアス式海岸形星座現る
 ~ベランダから仰ぐ夜空。星が見えない夜は、特に地上に伝えたい思いを夜空に探す。
  この空の下に大切なものをなくし、凍える夜を過ごす人たちがいる。

  神も仏もない現実の中で、人を信じるしかないじゃないかと、思う日が続く。

空襲の時の思い出語る母 靴がなくては人は歩けぬと
 ~避難所に靴を送りたいと、老母は言った。66年前神戸の空襲で焼け出された時、避難所のような所で、負傷した目の治療を受けたこと、その際ぐしゃぐしゃに破れた足下を見て靴をくれた人がいて、とても嬉しかったと。
私が、TVの映像と16年前の震災後の時間と今目の前の現実とが同時進行するような、息がつまって涙が胸からこぼれ出る時間を過ごしている時、母は遠い昔の空襲の時の神戸の街と重ねている。きっと日本中で、みんな自分が一番辛く悲しかった時のことを思い出して重ねている。

毎夜ごと申し訳なく入浴するこの幸せの共有手段
 ~「幸せを感じるのはどんな時?」って聞かれたら「お風呂はいる時」と答えるようになったのは、阪神大震災の後からだ。一部損壊でも自宅での入浴は3ヶ月後だった。当たり前の日常は、平和と安全とたくさんの営為によって支えられている。心と身体を温めてくれるお風呂に一日でも早く、と祈る。

被災地の春待つ思い抱きながら今年もふくらむハクモクレン
    ~福田美蘭「淡路島北淡町のハクモクレン」2004
              (兵庫県立美術館2009コレクション展Ⅰチラシより)

~1995年、復興の一歩であるブルドーザーによる瓦礫の片づけが始まった頃の、淡路島の倒壊した民家の庭の写真。地震で亡くなったこの家のお祖母ちゃんが愛したハクモクレンの木の枝には「この木を残してやって下さい」と家族が書いたビニルで包んだ段ボール紙がかかっていた。朝日新聞に載ったこの写真の枝を未来に伸ばして、満開のハクモクレンを花開かせた福田美蘭さんの作品を、昨年兵庫県立美術館で見た。近づくと、花の間でキラキラと、無数の星が燦めいている。震災で亡くなった人への思いが木の周りの空中に広がっていく。

鎮魂花である今年のハクモクレンは散った。
サヨナラ3月。
今日、芦屋市が募集した石巻市に送る救援物資の粉ミルクとオムツをセンターに持っていった。
このミルクを飲んでこのオムツを使ってくれる赤ちゃん、あなたの未来が幸せでありますように。

地震の国で原発をどんどん建てて電気を使ってきた私たちは、今からこの国にうまれてきてくれる赤ちゃんに、
ごめんなさいと、言わなくてはいけない。
せめてベストを尽くそう。現地でベストを尽くしている人をサポートしよう。
コメント (2)
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