星降るベランダ

めざせ、アルプスの空気、体内ツェルマット
クロネコチャンは月に~夜空には人の運命の数だけ星がまたたいている

明日の自分を支えているのは…

2008-02-05 | NO SMOKING
自分が見ているのは、世界の一部分だ。
 でも、それは常に世界の全体につながっている。

芦屋市立美術博物館で、福岡伸一氏の講演を聴いてきた。
開催中の展覧会「ゆっくり生きる」の関連講座である。

おー、あのオタクっっぽいお方は、
秋頃、NHKの「爆笑問題のニッポンの教養」に出ていた先生ではありませんか。
あれは、~「地球上の分子は、刻々と姿を変えていく。
食べたものは人間の体内で身体の一部の分子になり、一年も経てば、人間は全く違う身体になる。」
といった話、であった。
永遠について語る意欲を持った光さんと、方法を持った福岡先生の出会い。

あの番組で、先生の名前は忘れていたが、おさるさんがつぶやいた言葉は、覚えている。

明日のあなたを支えているのはあの雲の一部かもしれない
大いなる循環の中で一瞬限りの存在
  …ではなぜ、私は私でいられるの?


今回の講演テーマは、「もう牛を食べても安心か:〈流れ〉の中にある命のふしぎ」

美術館での催しということで、「見るということ」についての話から始まった。

①「21_21」の意味は?
…英語で「20_20」というのは、20フィート離れた場所から、C(ランドルト環)の隙間の20度離れた2点を識別できるという意味で、とても視力のいい人を示すらしい。それを上回る目で何が見えるか、というコンセプトでつくられた東京ミッドタウンの美術館・デザインスタジオの名称なのだった。生物学から見て、人間の視力はいい方らしい。ただし、<良すぎて、自然に向かった時人工的にみてしまうという難点がある>

ヴィットーレ・カルバッチョ「二人のヴェネツィア夫人」の謎
…このイタリアのコレル美術館にある16世紀の絵は、何もない空間をぼーっと見てたりする虚無的な態度から、長くコルティジャーネ(高級娼婦)を描いた絵だと言われていた。ところがこの絵の花瓶に挿した花が見つかったのだ。その時、彼女達は、上流階級のご婦人方へと、身分が変わったのだった。つまり、この絵の上半分は、アメリカのゲティ美術館所蔵の「ラグーナでの狩猟」絵であり、元は一枚の絵が分割されて市場に出ていたわけである。さらに元々は扉のように対になった絵であり、夫人は何かをおそらく誰かを見ているというのだ。<人間は全体の一部を切り取って見ている>
(ある日、二つの絵の繋がりを発見した人がいたんだ。つながったその幸せな瞬間に乾杯!)

③モザイク消しの秘密
名画を6×6分割してモザイクをかけたパネル…何の絵か?(手を挙げなかったけど、モナリザだと判ったわ)人のパターン認識能力は素晴らしい。<でもそうじゃないものにも、パターンを当てはめて見てしまうことがある>

④幼児が描く頭足人と、フェルメールの青いターバンの女。
人の身体から、嗅覚を掌る器官のみ切り取ることはできない。鼻は個別臓器としてはめ込まれているのではなく全体に繋がるものとして存在している。<私達より17世紀のフェルメールの方が鼻のあり様をよく知っているのではないか?>

と、ここまで35分。
「狂牛病」BSEというおぞましく切実な問題に取り組む第一線の科学者が、人間とは?と常に考えながら歩む、芸術愛好家であること。分子生物学という、細かなものの研究は、この世界の全体像を作り替える力を持つ学問であることが伝わってきた。さぁ、本題はこれからです。
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