星降るベランダ

めざせ、アルプスの空気、体内ツェルマット
クロネコチャンは月に~夜空には人の運命の数だけ星がまたたいている

キンモクセイ

2008-10-06 | NO SMOKING
今朝、窓を開けたら、どこからか、キンモクセイの香りが漂ってきた。
雨上がりの今日は、2期制の単位制高校の秋の入学式。
校長先生は「桜の花満開の下、君たちを迎え…」とではなく、
「キンモクセイの香る秋空の下、君たちを迎え…」と挨拶したのだろうか。
それもいい、ピンク色ではなく金色の香りが祝っている。

先週、茶碗・箸・医者・椅子…身の回りのあらゆるもので、詰め碁をし始めた父には、病院の庭で丸くなっている犬さんも、碁石に見えるのだろうか。

       

     「いいな、おまえ(犬)は」という普段の彼の声を真似してみる。

 ~秋 どこかで石英のぶつかる音がする~

誰の詩だったのか忘れたけれど、頭の中で何かがぶつかっているのかもしれない。
澄んだ空気の中か、澱んだ空気の中か、黒白の碁石がぶつかっている。

戦時下の旧制中学の入学式は、どんな風だったのだろう。
28年後、私も父と同じ学校(高校)に入学した。
その日、母が、黒絵羽織にチューリップの柄の帯をしめていたこと以外、
覚えていない。新入生挨拶なんかしたというのだけれど…
長い時を経た後、自分が何を覚えているのか、自分にもわからないのだ。
桜の花やチューリップの花を見るたびに、気付かないけど、その時の幸福感は、自分の内部で自然に沸き上がっているのだろうか。

将来、自分が「せんもう」状態になった時は、何を怖れるのだろう。
何を大切にするのだろう。
そんな時でも自分が守ろうとするものは何だろう。
父にとっての囲碁は、私にとっては何だろう。

私にとって、キンモクセイは、自動販売機のホットココアを友達と飲んでいたキャンパスの幸せな青春時代を思い出す幸せな香り。
今日入学式を迎えた新入生にとって、キンモクセイの香りがいい思い出に繋がりますように。
そして
父にとって、キンモクセイの香りが幸せな記憶と結びついていますように
                             …祈る秋。
コメント (2)
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