星降るベランダ

めざせ、アルプスの空気、体内ツェルマット
クロネコチャンは月に~夜空には人の運命の数だけ星がまたたいている

フィッシュカツ

2008-08-14 | NO SMOKING
徳島の田舎で育った私は、子供の頃、頻繁に食卓に上った豆腐とそうめんが嫌いだった。
スーパーなどなかった田舎で売られていた豆腐は、キャッチボールができるほど固いものだった。父の好物だったため、ほぼ毎日食卓に上ったが、私は表面の木綿のチェックの地模様を見ていると食べる物ではないような気がしてくるのだった。
絹ごし豆腐に出会ったのは、大学時代県外に出て自炊を始めた時だった。豆腐がこんなに美味しいものだと初めて知った。今、麻婆豆腐を作るときでも、私は木綿豆腐は使わない。

夏の昼ご飯としてほぼ毎日のように登場した半田そうめんは、全国的に言うと、ほぼひやむぎに相当する太さで、中に数本入っているピンクや緑を食べてしまうと、すぐに食べる意気込みを失った。
大学時代に母から送られるありがたい荷物には時々半田そうめんが入っていた。おすそわけした友人は、これを焼きそばのように調理した。そうめんの太さではないと認定されたのだ。そして、彼女がそうめんはこれだと作ってくれた「揖保の糸」の繊細さに驚いた。これは、別世界のものだと思った。
その時から現在に至るまで、夏の昼の主食は「揖保の糸」である。

このように、田舎育ちの私は、徳島の田舎生まれの食べ物に背を向けて、生きてきたのだけれど、何処にいても、これだけは、絶対なくてはならない故郷の味がある。
それは「すだち」。田舎の家にはこの木があって、もうすぐ収穫の時期だ。
あらゆるものにかける。味噌汁の苦手な私もこれを絞ると完食できる。

そして、「フィッシュカツ」である。
高校時代、お弁当のおかずによく入っていた。
カレー風味のピリリとした後味の厚さ5ミリくらいの練り物に衣をつけて揚げた、カツというには、余りにも嘘っぽい、安いお惣菜である。
なくてはならないというのではないが、徳島を離れたら、売っていなかった。県外では作られていない、実にローカルな食べ物だったのだ。少し恋しくなった。
だから、徳島に帰るたびに、高速鳴門のバス案内所の横のコンビニで売られている「小松島カツ」を、お弁当のおかず用に買って帰る。ついでに、エビ竹輪も。

夫のお弁当を作って2年、最近は作るのが楽しくなった。

 
    フィッシュカツ入ってます         
      
 

 
                            フィッシュカツ入ってます 

~「信じられない」って言ってたTさん、私、本当に毎日愛妻弁当作ってるでしょ。 
コメント (4)
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