星降るベランダ

めざせ、アルプスの空気、体内ツェルマット
クロネコチャンは月に~夜空には人の運命の数だけ星がまたたいている

猫のいる部屋

2008-08-01 | 持ち帰り展覧会
美術館近くのリンゴ園の林檎は、今は緑の実。
夏の太陽の下、これから赤く染まっていく。

           

今、芦屋市立美術博物館では「3つの柱~コレクションの底力」が開かれている。
1400点にのぼるこの美術館の蒐集品は
①小出楢重とその周辺画家 ②吉原治良と具体 ③中山岩太と芦屋カメラクラブの3本柱からなっている、という。

1Fの小出グループの展示室には、周囲に目力ビーム出している存在感のあるネコさんがいた。

              (絵葉書売っていました)

仲田好江(1902~95)さんの「猫のいる部屋」(1973年 45.5×33.5)
画家の愛猫が亡くなった直後に描いた絵だとホワイエにある小出資料に載っていた。
お名前は?と呼びかけてみる。
あなたはいつもこんなふうに、凛々しい眼差しで画家とコンタクトをとっていたのね。
70代の画家は、旅立ったネコさんをどんな思いで描いたのだろう。
強い意志を感じるこのネコさんは「私待ってるから」と言ってるような気がする。
きっと今頃、仲田さんは、このネコさんのいる部屋で暮らしている。

美術館の所蔵品目録を見ると、芦屋市立美術博物館には、作者寄贈151点を含む155点の仲田作品があって、題名に猫の名がついている作品は、少なくともあと2点ある。
私は「氷原の太陽」のような、彼女の50代以降の、水色が美しい作品が好きだ。
いつかまたコレクション展に、彼女のネコさんが登場する時を待っている。

2Fの芦屋カメラクラブの作品は、まだライカのカメラが家1件値の高価なものだった、戦前の時代に撮られた芸術写真のコレクションである。
阪神大震災の時、倒壊した芦屋のアトリエから、貴重な昭和初期の写真ネガや銀板が、文化財レスキュー隊によって救出された。その後の学芸員さんやのボランティアの尽力で、これらの作品を見ることができる。
昭和初期のモダニズムの粋のような香りがここにはある。
肖像写真より、いかにも遊び的素材を撮った写真が面白い。
中山岩太さんの、タツノオトシゴや貝殻を配置したモノクロなのに涼しそうな空気が漂うコラージュのような作品は、持ち帰って部屋に飾りたいと思う。

一番興味深い、第1展示室の吉原治良と具体美術協会のメンバー作品は、もう一度訪れてからにしましょう。
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