星降るベランダ

めざせ、アルプスの空気、体内ツェルマット
クロネコチャンは月に~夜空には人の運命の数だけ星がまたたいている

吉田山の三角点

2007-12-01 | NO SMOKING
ガリレオは京都大学にいるのか?
     

11月末、京都の街中には、もうイチョウの木の枝を切る作業車が出ていた。
まだもう少しの間残して欲しいと思うけど、落ち葉の処理に困ってると通報があったのだろうか。
前に住んでいた所で、ある日仕事から帰って来たら、私の部屋の窓の真前のイチョウの木が跡形もなく消えていた。いや、表面が真っ平の50㎝の根元だけ残っていた。大きく育ったイチョウの落ち葉が、隣接した材木置き場に降り積もり、そこの持ち主からの苦情で、県が、住人にそのことを知らせないまま、突然木を切ったのだった。昨日まで金色の光が入っていた私の部屋の窓からは、曇り空しか見えなくなった。いっぺんに冬がきたような気がした。
春になると、その木株から、たくさんの可愛い若草色の芽が出てきて、葉っぱをつけた枝が伸びてきた。イチョウは私が思っていたよりずっと、生命力の強い植物だった。

それもそのはず、生物に詳しい友人によると、イチョウ(銀杏・公孫樹)は、古生代末に出現し、ティラノサウルスら恐竜達が活躍した中生代ジュラ紀に世界各地で繁茂した裸子植物で、メタセコイアとともに「生きている化石」植物だという。生物界では特別に尊敬されている別格の植物らしい。
ジュラ紀に活躍したティラノサウルスは絶えたが、イチョウは生き延びて、今も日本の晩秋を金色に染めている。
でも、最近、茶色くなっているような気がする。10年位前、私の部屋の前のイチョウはもっと黄色い黄金色だった。

京都大学裏門前を、お散歩中の金色のワンちゃんが横切っていく。
 
演劇の立て看「隕石(ほし)降る聖夜(よる)に僕は愛を知る」…観にいこうかなぁ。

                


大学のそばの吉田山に登った。

山頂近くに明治36年(1903)から置かれている三角点には標高105.12㍍とある。北緯35度1分18秒168、東経135度47分19秒724。こうした確かなものに出会うと安心する。三等三角点は、日本中に32699個あるらしい。この数を知ると、日本が確かな国に思えてくるから不思議だ。近代日本政府のイメージ戦略成功。
小さな石柱の横看板に「三角点は地球上の正確な位置(緯度経度)を示し、地図や橋を建設する時の測量の基礎となる大切なものです。『三角点を大切にしましょう』と刻んである。どうか三角点のような確かさで橋やマンションを建てて欲しい。

                

三高(京大)逍遥歌「紅燃ゆる丘の花」の碑の上には美しい金色の雲がたなびいていた。


     おっ、大文字が見える。

京都はやはり不思議な街だ。横道に入れば、すぐそばのバス通りの喧噪からは、別世界の静謐な空間がそこかしこに存在する。吉田山もそんな場所である。



木漏れ日にそそのかされてどんぐりなど拾っていたら、前を歩いていた友人の姿が消えた。
一瞬、彼女が違う時代に行ってしまったような気がした。
いやこの場合は私かな?
コメント
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