星降るベランダ

めざせ、アルプスの空気、体内ツェルマット
クロネコチャンは月に~夜空には人の運命の数だけ星がまたたいている

「雨の木曜パーティ」

2007-06-13 | ネコの本
池田あきこ著(ほるぷ出版、2001年刊)
梅雨の季節になると思い出す挿絵です。
雨に喜ぶカエルさんとあくまで濡れたくないダヤン。
濡れることを恐れなければ、雨の日は楽しいってカエルさんが言ってます。

  古池や 蛙飛びこむ 水の音

という、有名な俳句と初めて出会ったのは、中学の国語の時間。
「旅の途中、松尾芭蕉という人が、古い池のほとりで休んでいたら、一匹のカエルがポチャーンと池に飛び込んだ、水面には波紋が拡がり、それが消えた時、辺りは前よりも、シーンとなりました」と習ったような記憶がある。

ところが、これは大間違いだと、高校の生物の先生は言った。
「芭蕉がこの俳句を作った季節は春だから、オタマジャクシから孵った大勢のカエルが、パシャパシャパシャとひっきりなしに池に飛び込んで、うるさくてうるさくて…という風景を描いたものなんだ。古い池だから静かな風景だという先入観をもってはいけない」と。

それを聞いた途端、私の中で、何かが弾けた。
私はどちらかというと、思いこみの強い方らしい。一度すり込んだイメージを固守しようとする。だからこそ、自分の中のイメージが、大きく変わった瞬間の、感激が後々までも忘れられないほど強烈に残る。

国語の授業じゃなかったけど、俳句は季節を詠むものなんだと、心から納得した瞬間だった。
ものごとを理解するには「いつ?」というのが、欠かせないと認識できた瞬間でもあった。
同じ言葉でも、人それぞれの知識や経験で、全く違うものとして使っていることも知った。

何よりも、知らないことを知るのってステキって思えた瞬間だった。
単なるデータの更新というんじゃない。
いつもこれを思い出したら、少し大げさだけど、生きててよかったー、と思えるのである。

私に、こんな人生の節目を与えてくれたカエルさんが、今ツボカビ症のために、絶滅の危機にあるという。
地球上でパンダが絶滅したら、いったい自分の生活にどんな影響があるのか?「とてもさみしくなる」「中国という国のイメージが完全に悪くなる」くらいしか、今のところ思いつかないけれど、カエルが絶滅したら、生態系が大きく変化して、大変なことになるだろうという、想像はつく。
もうすぐ、梅雨の季節をむかえる。蛙さん達には、元気に池に飛び込んで欲しい。

コメント (2)
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